『静かに退職する若者たち』 (金間大介/PHP研究所)第1回【全5回】
1on1をして少し経ったころ、部下が前兆なしに退職をした...そんな話を聞いたことはありませんか? 若者たちが退職する裏には、彼らの世代特有の悩みが隠れているかもしれません。金沢大学融合研究域融合科学系教授の金間大介氏は、著書『静かに退職する若者たち』にて、若者目線からこの問題に向き合い、上司や先輩の課題に寄り添いました。新卒や第二新卒の入社を控えたいま、世代間における価値観の差や求められるスキルについて考えてみませんか。
※本記事は金間大介著の書籍『静かに退職する若者たち 部下との1on1の前に知っておいてほしいこと』(PHP研究所)から一部抜粋・編集しました。
「スタンプラリー化」する就活インターンシップ
インターンシップはここ数年で急速に普及した。しかし、「本当に効果があるのか?」と疑問に思う人も少なくない。
以前、「インターンシップは『スタンプラリー』」、といったテーマでWEB記事を書いたところ、多くの反響があった。
「マイナビ2024年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査」によると、2024年3月卒業予定となる大学生や大学院生約1800名のうち、2022年10月の時点でインターンシップに参加した学生は87.6%と報告されていた。
1人当たりの平均参加回数は5.7回で、コロナ禍でやや踊り場を迎えた感があったが、再び参加率も参加回数も上昇に転じている。
これだけ多くの学生が多数のインターンシップに参加するとなると、受け入れる企業側もさぞ大変だろう。インターンシップは、日本語に訳せば仕事体験。そう簡単に大量の学生を相手にできるわけがない。
と、思いきや、そうでもない。
同調査によると、インターンシップに参加したかったのに参加できなかった、という学生はわずか5.7%しかいなかった。
この5.7%の学生が不参加となった理由は、選考に落ちたり、抽選に外れたりしたからだが、それにしても、ざっくり50万人の就活生が、平均5回以上のインターンシップをこなすとは、一体どういう仕組みがなせる技なのか。
参加したインターンシップの期間(長さ)を見てみると、半日が最多で74.4%、次いで1日が67.1%となっている。
また、その参加形式は「ウェブのみ」が32.2%、「どちらかというとウェブが多かった」が38.6%だ。これらを合わせると70.8%。
要するに、半日あるいは1日で終わるウェブ中心の仕事体験。これが今のインターンシップの主力というわけだ。
まさにスタンプラリー的仕事体験の様相を呈する。
ちなみに、「インターンシップに参加して、自分自身に変化があったと感じられる点は?」という問いに対し、58.1%でトップとなったのが「自分に合う仕事・合わない仕事など、職業適性がわかった」とのこと。
「半日あるいは1日で終わり、ウェブ中心」という、実に充実した職業体験で、自分に合う・合わないが判断できて何よりだ。