『幸せに生きるための政治』 (西田 亮介(著), 池上 彰(責任編集)/KADOKAWA)第4回【全9回】
物価も税金も高くなり、日々の暮らしがたいへんになっていく一方で、政治家がらみのさまざまなニュースを耳にする毎日。「このままじゃいけないんだろうけど、でも政治のことはやっぱりよくわからないし...」と過ごしている人も多いのでは? そんな人に向けて社会学者の西田亮介さんが身近な例を挙げてアドバイスし、池上彰さんが責任編集をした書籍『幸せに生きるための政治』(KADOKAWA)から一部抜粋してご紹介します。
※本記事は西田 亮介(著), 池上 彰(責任編集)の書籍『幸せに生きるための政治』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。
物価は上がるのに給料は上がらない。私たちは政治のせいで損している?
給料が上がらないのは先に述べたように、政治じゃなくて大企業のせいです。
日本の物価は欧米と比べれば、まだうまくコントロールされている方です。
物価上昇率が前年比3%超えで、歴史的に高い数字になっているといわれますけど、アメリカや欧州はそれよりも程度高い。エネルギー価格に限定すれば40%超えの水準ですから、そういう意味では日本は物価のコントロールに関しては比較的うまくやっているんじゃないでしょうか。
もちろん、「税金をつぎ込んだ(補助金を出した)から」ですが、そうでなければ今ごろパンにしてもパスタにしても、物凄く値上がりしているはずなんです。
ただし、政府が出す補助金の〝規模感〟を許容できるのかどうか。
原油高によるガソリン価格の高騰を抑制するために導入している「燃料油価格抑制制度(激変緩和措置)」で、石油元売り会社(石油を輸入している大企業各社)に支給されている補助金は1カ月当たり3000億円です。すでに投入された税金は、なんと6兆円を超えています。
他方、児童手当の所得制限を撤廃するのにかかるお金は、年間で1500億円(1カ月じゃなくて年間ですよ!)という話ですから、毎月それ以上の金額が企業に投入されています。
もちろんその見返りとして、選挙のときには票も投じてくれるし、献金もしてくれるし、当然、天下りも受け入れてくれるのでしょう。国にしてみたら、個人にお金を配ったところでこうしたメリットはありませんから。