睡眠への関心が高まっている昨今ですが、ぐっすり眠ることは認知症の70%を占めるアルツハイマー型認知症の予防にも大きく関わっていることが明らかにされています。今回は脳神経外科医の奥村歩先生に、「睡眠時の脳内の働き」についてお話をうかがいました。
この記事は月刊誌『毎日が発見』2024年2月号に掲載の情報です。
脳の掃除のためには
ぐっすり眠ることが第一
「認知症にならないためには、ぐっすり眠れているかどうかが重要」と、奥村歩先生。
認知症の70%を占めるアルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβ(ベータ)と呼ばれるごみ(老廃物)がたまることが原因といわれます。
「若いうちはアミロイドβを排出する脳のお掃除機能がしっかり働いていますが、高齢になると、思うようにごみを排出できなくなります。すると、アミロイドβが脳のいたるところにたまり、認知症の原因となります」
近年、脳にも老廃物を排出させる仕組みがあることが発見されています。
「脳には脳脊髄液(せきずいえき)という液体が循環しています。睡眠中には、脳内のグリア細胞が縮んですき間を作り、そのすき間が脳脊髄液の通り道となります。脳脊髄液は熟睡中に流れが活発になり、アミロイドβを一掃するのです(下図)」
ぐっすり眠ると、脳のごみは洗い流されます。
この機会に熟睡するための習慣を身に付けましょう。