よく「憂うつ」になってしまう人は、実は「未来」を見ている!? 憂うつになる原因を、「未来の自分を考えすぎているから」というのは心理カウンセラーの大嶋信頼さん。そんな大嶋さんの著書『憂うつデトックス』(ワニブックス)には、先々のことを想像しすぎることで憂うつになってしまう原因と、そこから解放される思考メソッドがまとめられています。今回はそのエッセンスを厳選して、連載形式でお届けします。
憂うつが行動の邪魔をする
朝起きたら憂うつな気分で「会社に行きたくない」なんて思うことはありませんか?
私は、毎日のようにありました。
学生の頃は「勉強をする」とか「片付けをする」と思うと憂うつな気分になって「こんな気分じゃできない」と行動できなくなっていました。
また、友達と食事に行くって元気よく約束したはずなのに、当日になったら憂うつな気分になってしまって「行くのが面倒くさいな」とものすごく足取りが重くなる。
これもいつもでした。
勉強や片付けができないと、学校の友達と顔を合わせるのも憂うつで、もちろん学校に行くのも憂うつな気分になっていて、今振り返ってみると「よくあんな気分で学校に行っていたよな」と思います。
周りの人たちは楽しそうに学校に行ったり、勉強に集中したり自由に行動できるのに、どうして私はいつも憂うつになって何もできないんだろう? というのがずっと私の悩みでした。
仕事を始めても「上司に相談するのが憂うつ」になってしまって、失敗をしてしまい「なんでちゃんと事前に相談しないんだ!」と怒られます。
電子メールのやり取りで仕事をするようになってからは「メールを返信するのが憂うつ」でいつまでたっても返信を書くことができなくて「相手の信用を失ってしまう!」と焦ることが何度もあっても「憂うつでできない」となっていたんです。
会議で発表をする時に「資料を用意しなければいけない」と思うと「憂うつになって資料を作成する気になれない」となってしまって「直前になって慌ててやったって駄目だ!」と上司から怒られていました。
でも「やらなきゃ」と思うと憂うつな気分になって行動できなくなってしまう。
私はずっとこれを「私がだらしないから」とか「甘えているから(人が何とかしてくれる)」と思っていました。
だから「ちゃんとした人間にならなきゃ」とか「責任感がある大人になろう」と思って努力をするのですが、外から見てわからないだろうけど、何をするにも憂うつな気分が消えません。
そして、憂うつな気分のままでいると元気がないし、明るくもなれないから、空元気で明るいふりをして虚しさを感じ、「誰も私の大変さをわかってくれない」という孤独感でいっぱいになります。
でも、憂うつな気分の正体を知った時に「だらしない」とか「甘えん坊」というのとは全然関係なくて、ものすごく深い仕組みがあったんだ、とびっくりしました。
「憂うつな気分になるのは先のことを考えるから」。
そしてただ先のことを考えているだけでなくて、考えるだけで未来に時間旅行をしてしまうから憂うつな気分になってしまうのです。
そんなバカな、と私も最初の頃は思ったのですが、何か行動を起こす時に感じる、人にわかってもらえないであろう、あの憂うつな気分のことを考え「ありえるかも」と興味を持つようになりました。
だって、あの憂うつな気分って本当に他人にはわかってもらえないぐらい、ものすごく憂うつだから。
あれってただの考え方、とか行動の仕方じゃなくて、突然襲ってくるような憂うつさで表現のしようがないもの。
それが「憂うつな時は時間旅行をしている」でなんとなく自分の中で腑に落ちてしまった。
そう、先のことを心配しない人には、この憂うつな気分のことを説明してもわかってもらえない。
常に先のことを心配する人だけが体験するあの憂うつさ。
あんなちょっとしたことで、なんであんな憂うつな気分になるのか? ということが、脳の時間旅行という物語でちょっと腑に落ちてきます。
そして、その時間旅行を意識することで「憂うつな気分からどんどん元気」になっていき、それまで憂うつな気分で隠されていた勇気というものが自分の中から湧いてきて、さまざまなことに挑戦できるようになります。
さらに、脳の時間旅行という物語でそれまでとは違ったたくさんの選択肢が目の前に広がるようになって、周りの人たちから「明るくなった!」と言われるように変わっていきました。
憂うつな気分の背後にある時間旅行という物語をちょっと知るだけで「自分だけの憂うつさ」という孤独から解放されて、自分に対する信頼感を取り戻す助けになってくれたら、と心から願っております。
もしかしたら未来を見すぎかも?
あなたの憂うつ度診断
未来を見てしまう人ほど憂うつ度は高い。
まずはここにある項目で、当てはまるものをチェックしてみましょう。
□朝起きたら仕事や学校に行きたくないと感じる
□何をするにもかったるい
□新しいことをする気力がない
□何をするにも興味も喜びも感じない
□周りから「元気がないね」と言われることがある
□元気な振りを演じている自覚がある
□みんなが笑うところで笑顔を作っている
□食事を変えていないのに体重が増えたり減ったりした
□食欲がない
□食べ物を食べていてもおいしいと感じられない
□いくら寝ても「よく寝た」という感覚がない
□なかなか寝付けない
□寝ても途中で目が覚めてしまう
□よく悪夢を見る
□思ったように体が動かない
□以前より、勉強や仕事が遅くなってしまった
□作業をしていて「どうしたの?」と心配されることがある
□疲れを感じることが多くなった
□疲れがなかなか抜けない
□身体を動かすことがおっくうである
□失敗が頭の中に浮かんで「申し訳なかった」と罪悪感
□「自分には価値がない」と考えることが多くなった
□「人に迷惑をかけている」という感覚がある
□集中力がなくなってしまった
□物事を決めることができなくなってきた
□将来に希望が持てない
□人前で緊張することがある
□朝起きた時に嫌なことが真っ先に浮かんでしまう
□不快な記憶が襲ってくることがある