年収1000万円超でも、親族のせいで「弱者男性」に――高額療養費制度の「落とし穴」

女性に生まれていたら「パパ活女子」になっていた

こういった苦境は、男女問わず訪れる。だが、そこで対処法は変わってくる。

「自分がもし女性だったら、すぐ風俗嬢になっていただろうなと思います。パパ活もやるでしょうね。犯罪ではないまでも、あまり褒められたものではない副業も実際やってきましたし、生きるためなので手段を選んでいられません」

こうして見ていくと、関口さんの人生はすべてが綱渡りだ。もしカードローンの借金を低利で貸し替えてくれた友人がいなかったら。もしがん保険に入っていなかったら。もし、関口さん自身が借金を返していこうと思うバイタリティや、体力の持ち主でなかったら。関口さんはインタビューに応じることすら不可能な場所へ、追いやられていたかもしれない。

「よく、女性が『男らしさから降りていい』って言うじゃないですか。あれって、意味ないよなって思うんですよね。降りても生きていく道がないじゃないですか。そうやって、ただの弱者になった男性と暮らせる女性って、いないと思うんですよ。僕も元恋人との交際は破綻したわけですし。女性が稼ぐようになっても、いまだに下方婚する人は少ないですよね。マインドの話だから、女性に変われと言って変わるものでもない。安全圏から言うのは簡単ですけれども、こういう事実がある限り、自分で強くなって、逆境をはねのけるしかないんです」

男性たるもの、一家の大黒柱になるだけの稼ぎを持つべきだ。男性たるもの、苦難に襲われても自分で何とかすべき。こういった言葉を聞くと「昭和かよ」と笑いたくなる気持ちはわかる。だが、現在の男性は実際のところ、昭和とそう変わらない環境に置かれているのではないか。

「男だって弱音を吐いていい、泣いていい」と言われたところで、その声に耳を傾けてくれる人は少ない。最終的には自助努力で何とかしろと言われるのならば、最初から弱みを見せることに意味はあるのだろうか。そんな疑問を、すべての男性は抱かざるを得ないはずだ。

 

トイアンナ
ライター・経営者。慶應義塾大学を卒業後、P&G ジャパンとLVMHグループにてマーケティングを担当。同時期にブログが最大月50 万PVを記録し、2015 年に独立。主にキャリアや恋愛について執筆。書籍『就職活動が面白いほどうまくいく 確実内定』(KADOKAWA)、『モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門』(イースト・プレス)、『ハピネスエンディング株式会社』(小学館)など。これまで5000 人以上の悩み相談を聞き、弱者男性に関しても記事を寄稿。

※本記事はトイアンナ著の書籍『弱者男性1500万人時代』(扶桑社)から一部抜粋・編集しました。

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