「体の不調」や「老後の貯蓄」などの心配事は、誰もが抱えているはず。考えすぎて心の重荷を増やす、嫌なサイクルに陥ってしまっている人もいるかもしれません。そこで取り入れたいのが「禅の習慣」。今回は、google本社で禅の講義を行う話題の禅僧による、「心配を取り除くための"ちょっとした思考のクセや生活の習慣を変える方法"」について、連載形式でお届けします。
※この記事は『心配事がスッと消える禅の習慣』(松原正樹/アスコム)からの抜粋です。
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■禅の習慣
「もう一人の自分」と対話すれば、苦しいときもポジティブ思考になれる
この職場には優秀な人が大勢いて、自分が活躍する場がないかもしれない。
あの人と一緒に暮らしていても、幸せな未来を描けない。
こんなふうに一瞬でも思うと心は沈みますが、自分が沈ませた心を引き上げられるのも、やはり自分。自分で蒔いた種は、自分で刈り取るしかないのです。
こんなときは次のように自己との対話を試みるのがよいでしょう。
「この職場には優秀な人が大勢いて自分は活躍できないっていうけど、本当にそうかな?」
視点を転換し、まず、心配したことを疑ってみる。すると、違った発想が生まれ、自己との対話がスムーズに展開することが、私の経験上からも多いものです。
「優秀な人の仕事を間近に見られるって、実は、幸せなことなんじゃない?」
「確かにそうかもなぁ。だとしたら、もっとよく見て真似できることは真似してみる、とか?」
「そうしたら仕事の仕方も変わってきて、何かが変わるかもしれないな」
ポジティブな気持ちを持てたら、「よし、がんばろう!」と気合の一つでも入れて、ここの話題は終わりにしましょう。
家庭に不満を持っているときも同じです。
「あの人と一緒に暮らしていても、本当に幸せな未来はないのかな?」
心に湧き上がった疑問を、まずは疑ってみます。
「もしかしたら、今を幸せと感じられていないから、未来も幸せになれないって思っているだけじゃない?」
「今の幸せ?住む家もあって、多少の節約はしているけど普通に生活できて、たまには旅行にも行ける。環境だけ見たら、十分、幸せなんだけど......」
「幸せと感じるには、何が足りない?」
「掃除も洗濯も料理も、いつも人のため。自分がいないというか......」
「だったら、何か始めてみるのはどう?」
「そうね。この間テレビで見たアクセサリー作りが面白そうだったから、やってみようかな」
ふと心に浮かんだ心配事をどんどん追求して迷宮に入り込んでしまうのではなく、その心配事はそもそも本当に心配すべきことなのかを疑ってみる。
たったそれだけのことで見える世界に広がりが持て、心配だったはずのことが、次へと進むステップになってくれたりするのです。視点を転換することで、ネガティブをポジティブにも変えられる。心一つです。
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