双極性障害の治療後、長く続く抑うつ状態と向き合ってきた筆者。ネガティブな世界からのサバイバルをあと押ししたのは、意外にも簡単な7つの「行動」でした。2ヶ月ぶりの換気、10秒片付けからはじまる、抑うつ状態への行動療法、認知療法的アプローチの実践と記録に、「自分を好きになる」ためのヒントを探してみましょう。
※この記事は『自分を好きになろう うつな私をごきげんに変えた7つのスイッチ』(KADOKAWA)からの抜粋です。
前の記事「徹底的にものの捨て方を学び、2週間で大きな片付けを完了。/自分を好きになろう(5)」はこちら。
【前回までのあらすじ:1章】
記者として東日本大震災の被災地取材を続けるうちにうつ病を発症。
のちに双極性障害の診断を受けて、2年間の休職と投薬治療後、社会復帰を果たした筆者。
それでも、喜びや悲しみ、意欲などの感情を取り戻すことはできずにいました。
しかし、ある1本の電話をきっかけに、ゴミだらけの部屋の片づけを始めます。
掃除ができたことが自信に
ペットボトルをゴミ袋に入れた日から1年と4ヶ月ほどが経った今、部屋はキレイなままです。仕事が忙しい時など、たまに散らかることもありますが、部屋にものが少ないため、ひどくは散らかりません。ものをひとつ買うと、家にあるものの何かをひとつ捨てるということが習慣になりました。
そして、今私は、床の拭き掃除にはまっています。
Googleが従業員のメンタルヘルス向上のために取り入れたという「マインドフルネス」という考え方が最近ではよく知られていますが、この考え方は簡単に言うと「今、ここ」に意識を集中させ、余計なことを考えないということです。そのことで気持ちが安定し、作業の効率が上がるのです。
床の拭き掃除をしている時に私は、マインドフルネス的なリラックスと、雑念が消えてすっきりした感覚が得られることに気がついたのです。床を拭く時リズミカルに手を動かしているのが、雑念を消すためのペース作りになっているのでしょうか。私はスマホ依存気味ですが、ながらスマホはできないですから、床を拭くことだけに集中するしかありません。
そして、拭き掃除を終えると、本当に気分がすっきりしているのです。
彼に振られて、ベッドに寝ながら惣菜弁当を食べている時の自分には想像もつかなかったこと。それは、掃除のやり方をすっかり身につけ、床掃除をしている今の自分です。
38歳からでも新しい習慣を身につけることができるんだなと、今、掃除ができる自分になったことがとても自信につながりました。
何か新たな挑戦をする前、片付いた部屋の真ん中に立って、「こうやって、掃除もできるようになったんだから、私はいつでも、なりたい自分に変われるんだよ」って思うと、「本当にそうだな」と感じるのです。
キレイになった部屋が、その何よりの証拠です。
私は私が変われるという「証拠」の中で毎日暮らしているようなものなのです。
そう考えると、変化のきっかけを与えてくれた失恋も、悪くないなと思えます。
●人生が変わる「大掃除」実践編
・窓を開けるところからやろう(私は窓すら開けられなかった)。換気で気持ちはだいぶ変わる。
・やる気の出る本を読むのもいい。
・一気にやろうとしない。どこか1ヶ所10秒片付けから。
・ゴミの処理は「軽トラ積み放題」や友達にも頼る。自分でなんでもやろうとしない。
・長い目で見て、本当の意味での捨てグセをつける。
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