「うつ病は心がは心が弱い人がなる」は誤解。逆に注意すべき「考え方」を精神科医の和田秀樹先生が解説

良い面を認められずに否定してしまう
【肯定的な側面の否定】
物事に対して否定的に見てしまい、それと相反するような肯定的な経験を「大したことではない」などと言い、否定するパターンです。

例えば、友人や同僚が自分の仕事ぶりをほめてくれているのにも関わらず、「みんなはお世辞でそう言っているだけだ」と、良い面を否定して考えます。
いいことがあっても気分が明るくなれないので、うつになりやすいし、うつ病になった場合、治りにくい思考パターンと言えます。

相手の気持ちを決め付けていないか
【読心】
相手の気持ちを決め付けて、勝手な解釈をするパターンです。

根拠はないけれど、周りが自分に好意的だと思う分にはそれほどメンタルには悪くないのですが、特に証拠があるわけでもないのに、「他人が自分を悪く思っている」と決めつけてしまうことが多くなります。

たまたま相手があいさつをしなかっただけで、「彼は、私のことをバカだと思っているに違いない」などと思い込み、それが事実だと信じて疑わないようなケースです。気づかなかっただけかもしれないのに、そうとは思えません。これでは落ち込むことだらけになってしまいます。

将来起こることを否定的に考える
【占い】
これは、将来起こるかもしれない出来事に対して否定的な予測をし、それがまるで確立された事実のように捉えてしまうパターンです。
「自分は将来リストラされる」とか、「夫は私を捨てるに違いない」などと根拠もなしに決めつけて、それが絶対の真実のように思ってしまうのです。

こういう思考パターンをもっている場合、ちょっと悪いことが起こるとそれを拡大解釈してしまいます。例えば、「会社は自分を嫌っている」とか、「友人はみんな私を裏切ろうとしている」といった考えがふと思いつくと、それを疑うことができなくなって、ひどく落ち込むことになるのです。

最悪の事態になると決めつけてしまう
【破局視】
将来、生じる可能性のある否定的な出来事について、事実関係を正しく判断して捉えるのではなく、耐えることができない破局のように、最も悪い事態を想定して「そうなるに違いない」と決めつけてしまうパターンです。

南海トラフ地震にしても、地球温暖化による大水害にしても、確かにいつか起こる可能性はありますが、少なくとも、いますぐに起こる可能性は低いであろうと思われます。しかし、ちょっと地震が続いたり、暑い日が続いたりすると、「もう地球は終わりに違いない」と、考えてしまうのです。
「そうなったら、なったとき」と考えられればいいのですが、そういうわけにはいかず、いつも不安なので、やはりうつになりやすいといえるでしょう。

 

<教えてくれた人>

和田秀樹(わだ・ひでき)先生

東京大学医学部卒業。精神科医。ルネクリニック東京院院長。高齢者専門の精神科医として30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わる。近著『80歳の壁』(幻冬舎新書)は59万部を超えるベストセラー。他、著書多数。

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『65歳からおとずれる 老人性うつの壁』

(和田秀樹/KADOKAWA)

1078 円(税込)

幸福な高齢者になるには、65歳からおとずれる「老人性うつ病」の壁を乗り越えることが必須。30年以上にわたって高齢者の精神医療に携わってきた著者が教える「うつに強い人間になって、人生を楽しむための一冊」。

※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

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