わけもなく悲しい...。50代以降の女性の「うつ状態」のサイン

女性は、50代を過ぎて更年期以降から体が新しいモードに入る----。そう指摘するのは、女性家庭医の常喜眞理先生。加齢や老化に伴う変化を知り、対策をしっかり立てて、素敵に年を重ねるにはどうすれば...? そこで常喜先生の著書『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る! 』(さくら舎)より、「健康寿命を楽しく伸ばす方法」を抜粋してご紹介します。

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誰にも起こる「うつ状態」

「眠れない」「食べられない」「楽しめない」がサイン

50代ともなると、若い頃にはなかった悩みが持ち上がってきます。

子育てが終わったとはいえ、子どもが大きくなればなったで別の問題が浮上してくるものです。

また、退職へのカウントダウンが始まり、老後の生活に対する不安も出てくる上、老親の介護が始まることもあるでしょう。

環境の変化に気持ちが追いつかず、心身ともに疲れがたまっていくと「うつ状態」になることがよくあります。

人によってはうつ病を発症する恐れもあります。

うつ病の症状には個人差がありますが、以下が代表的なものです。

・眠れない、眠りが浅い

・憂うつな気分に支配され、わけもなく悲しい、何の希望ももてない

・興味や喜びの感情を失い、何をしても楽しくない、何かをしたい気持ちもなくなる

・食欲がなくなる

・性的な関心や欲求が低下する

・人と会うのがうっとうしく、自分の世界に引きこもり、外との接触を絶つ

「眠れない」「食べられない」「楽しめない」状態が長く続いているのなら、うつ病を疑ったほうがいいでしょう。

ただし、ときどきそんな状態になるけれど、普通に日常生活を送れているというのであれば、まだうつ病ではありません。

ここでは中高年の誰もがなりやすい「うつ状態」(以下、うつと記載)について取り上げたいと思います。

うつは、何か自分にうまくいかないことがあって、気持ちが落ちこんでしまう状態。

家族のこと、仕事のこと、人間関係のことに加え、予期せぬ災害に遭ったり、ショックな出来事があったりして、気持ちがズドーンと沈んでしまう状態です。

手塩にかけて育てた子どもが巣立ったときに陥る「空の巣症候群」もその一つでしょう。

何かをしているときは気が紛れても、ふとしたときに気分がどんよりしてしまいます。

うつは誰にでも起こりうる。

誰だって気分が晴れやかな日と落ちこむ日があるように、うつうつした日もずっと続くわけではありません。

でも〝心ここにあらず〟の状態がずっと続くと、取り返しのつかない間違いをしたりケガをしたりするので、その状態からうまくフェードアウトしていく方法を探っていきましょう。

心の急降下を防ぐ法

うつに陥ると「自分だけがなぜ......」「どうせ私は......」と悲観的になり、そうなるとますます気が滅入って自分の殻に閉じこもりがちになります。

でも「加齢で体の機能が変わってきたせい」とわかれば、「自分だけじゃない。これも年齢相応のことなんだ」と少しは気が楽になるような気がします。

中高年になると脳の老化が進み、ホルモン値も下がるので心の状態に影響を与えます。

そう、これはみんなに起こっていることなんです。

まず加齢によって脳の視床下部の働きが低下することで、外からの刺激に素早く反応できなくなります。

つまり〝感じる力〟が鈍くなり、「そのお笑い番組の何がおもしろいのかわからない」「みんながいうほど感動しなかった」となってしまうんですね。

また〝心の若さと元気の素〟である性ホルモンが減少すると、楽しさを感じにくくなります。

若い頃はたわいもないことに笑い転げ、箸が転んでもおかしかったのに、花盛りの時代が終わって人生のピークが過ぎると、昔ほど笑えなくなっていることに気づくはずです。

そして疲労を回復してくれる成長ホルモンの低下により、体が疲れやすくなって心の活力をも奪っていきます。

中高年は生活サイクルが大きく変わる時期。

子どもの自立や定年退職、親しい人や身内が亡くなるなど、それまでの人間関係や環境が一変することも心の揺らぎにつながります。

自分の拠り所にしていた大切なものを失って、喪失感が生じやすくなるんです。

体や頭の衰えも感じはじめ、これまでできたことができなくなるとため息ばかり。

行動力は落ちるし決断力もなくなるわで、心が夕暮れどきになってしまいます。

でも本当にたいへんな渦中にいるときは、うつになりにくいんです。

渦中から抜け出て、「ああ、やっと終わった」とホッと一息ついたときが危険。

ほら、超絶に忙しいときは火事場の馬鹿力で乗り切れたのに、これでようやく休めるとなったとたん風邪で寝込んだりすることってあるでしょう?

それと同じような感じです。

たいへんな介護から解放されたときや子どもが手を離れたとき、仕事を退職したときなど、がんばって自分を支えてきた軸がポキンと折れてしまったときが危ない。

戦闘モードの「交感神経」がずっと優位になっていたので、急に気がゆるむと落差の波も大きいのです。

だから忙しいときほど休息時間を設けて、適度な波に調整していくことが大切です。

あえて意識的に自分を休ませる「休息できる力」を養っておけば、環境の変化に対応しやすくなり、心の急降下が防げます。

【まとめ読み】『「加齢ゲーム」で若返る! 』記事リスト

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ゲーム感覚で気楽に健康寿命を延ばす「実践的な老いの攻略法」が4章構成でわかりやすく解説されています

 

常喜眞理(じょうき・まり)
家庭医、医学博士。1963年生まれ。常喜医院の院長としての診療とともに、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として、健康診断(人間ドック)の内科診察を務め、婦人科や乳腺外科の診察結果を総合的に最終診断。長年、大手企業で職場における産業医としても活躍。

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『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る! 』

(常喜眞理/さくら舎)

来るべき体の変化をあらかじめ知り、対策を立てて加齢ゲームに勝ち抜けば、健康寿命は確実に延びる、と著者は言います。加齢ゲームを勝ち抜くための「正しい健康知識」をわかりやすく解説してくれる、50代からの健康人生のバイブル的な一冊です!

※この記事は『「加齢ゲーム」で若返る! 』(常喜眞理/さくら舎)からの抜粋です。

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