悪者にされがち? 「コレステロール」は低ければいいというものではない/やさしい家庭の医学

悪者にされがち? 「コレステロール」は低ければいいというものではない/やさしい家庭の医学 pixta_27244542_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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体内になくてはならない脂質の一種
「コレステロール」

●「善玉」と「悪玉」とは?

コレステロール」といえば、血管に溜まることで動脈硬化や心筋梗塞(しんきんこうそく)を引き起こす原因と一般的に考えられていますが、実は、コレステロールは体内になくてはならない大切なものです。

 
世間でコレステロールが悪者のようにいわれているのは、摂(と)り過ぎを前提にした話と捉えることができるでしょう。
 
コレステロールは脂質(ししつ)の一種で、実は体内にあるコレステロールのうち約70%が体内で合成されたものです。つまり、食事によってコレステロールを摂らなくても、血液中には少しのコレステロールがあることになります。
 
コレステロールという名前は、「胆汁(たんじゅう)≪コレ≫の固形化したもの(ステレオス)」に由来します。細胞膜や性ホルモン(男性ホルモン、女性ホルモン)、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン、胆汁酸、ビタミンDなどの原料ともなりますので、体になくてはならないものといえます。
 
コレステロールについては、「善玉」と「悪玉」という表現を耳にした方もいるでしょう。善玉はHDLコレステロール、悪玉はLDLコレステロールのことで、前者は血管内に残された余分なコレステロールを、その貯蔵場所である肝臓に運んで再利用させるという役割があり、後者は酸化されることで血管壁に付着することによって動脈硬化などを起こす原因になると考えられています。

HDLコレステロールはタンパク質を多く含み、LDLコレステロールはタンパク質が少ないとされています。一般的にコレステロールが悪者だといわれているのは、後者をさした場合といえるでしょう。

元来は体内に存在するコレステロールですから、必要以上に摂取しなければとくに問題はないと思われます。脂身の多い肉や油で揚げたインスタントラーメン、乳製品、ポテトチップスなどはコレステロールを増やしてしまう飽和脂肪(ほうわしぼう)を多く含む食べ物ですので、食べすぎに注意しましょう。
 
また、コレステロール値を下げる不飽和脂肪を多く含む食べ物には、豆腐や油揚げ、魚介類などが挙げられます。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)


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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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