病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。
書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。
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問診やカルテの作成のための受診料
「初診料・再診料」
●2014年からは若干の値上げも
「初診料」とは、病気やケガなどにより、患者さんが保険医療機関ではじめて診察を受ける際に払わなければならない診察料のことです。
保険医療機関とは、厚生労働大臣の指定を受けている、保険証が使える病院、診療所、薬局のことで、逆にいえば、保険医療機関に属さない医療機関では保険証を使うことができないため、医療費は全額自己負担になってしまいます。診療報酬(保険診療における医療サービスの公定価格)のもとでは、細かく分けられた医療行為ごとに点数が付けられています。
この点数を定めたものが診療報酬点数表で、診療報酬は1点=10円として計算されているわけです。診察が終わり、会計したあとにもらうレシートに内訳が書かれているので、目にした方も多いでしょう。
通常の病院で用いられている医科診療報酬点数表の場合、初診料は270点(=2700円)です。国民健康保険の自己負担の割合は3割ですので、270点×10×0.3=810円が初診料ということになります。なお、一般的には、自己都合で受診を停止したあと、1か月が経過してしまうと、同じ疾患によって受診したとしても初診料を取られてしまいます(ただし、病院によって異なる)。
初診のとき、医師は患者さんがいまどのような症状にあるのかを見極めるため、それまでに患わずらった病気や服用していた薬、現在の症状などを聞きながら診療方針を決めます。これを問診(もんしん)と呼びますが、初診ではこのように時間がかかるため、また、カルテをつくったりするため、初診料が設定されているわけです。
「再診料」とは、一般病床数が200床未満の保険医療機関において、2回目以降に診察を受ける際に払わなければならない診察料のこと。再診料は医科診療報酬点数表で69点ですので、69点×10×0.3=207円となります。
2014年4月からの消費税アップにともない、初診料と再診料もともに値上げされ、初診料は2700円から120円、再診料は690円から30円がそれぞれ加算されることになりました。
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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)
1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。
『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)
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