腸を整えると自律神経も整い調子が良くなるのはなぜ?/結局、自律神経がすべて解決してくれる

自律神経が人間の体や心をちょうど良く整えてくれていることを知っていますか? 最近では、腸内環境が整うと自律神経が整うこともわかってきているそうです。そこで、自律神経研究の第一人者・小林弘幸先生の著書『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム)より、自律神経と生活習慣の関係などをご紹介いたします。

【前回】自律神経は体の調子をちょうど良くするって知ってた?/結局、自律神経がすべて解決してくれる

【最初から読む】あなたはどのタイプ? 自律神経には4つのタイプがある/結局、自律神経がすべて解決してくれる

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腸内環境が整うと自律神経も整うのはなぜでしょう?

自律神経を整えられれば、多くの症状が緩和され、生き生きと楽しく、しかも若々しく生きていける。

では、何をすれば自律神経が効率よく整うのか、気になりますよね。

私が強くおすすめしたいのは、「腸を整える」生活習慣です。

腸が整えば、自律神経も整うといっていいくらいです。

腸と脳は位置的にもけっこう離れているのに、なぜ? と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

ところが、じつは「脳」と「腸」は強く連携しているネットワークです。

自律神経によって腸の動きがコントロールされているという意味でもそうなのですが、自律神経のシステム自体が整うかどうかに、腸の動きが深く関連しているからです。

朝の1杯の水で腸内環境も自律神経も整います

私はよく自律神経を整える第一歩として、「朝起きたら、食事の前にまずコップ1杯の水を飲む」ことをおすすめしています。

わかりやすい効果は、便秘の解消です。

便秘は女性だけでなく、男性高齢者にも悩んでいる方が少なくありません。

朝の水は、腸を刺激して「蠕動運動」を促してくれます。

1杯の水は、便秘解消以外の作用ももたらします。

腸は副交感神経の支配下にあるため、腸を刺激することは副交感神経を刺激することにもなるからです。

腸の動きが鈍るのは副交感神経が低下しているからなので、朝に水を1杯飲むことは、腸を刺激して動きを活発にするだけでなく、起床後の交感神経が高まるタイミングで副交感神経が低下しすぎないようにする効果も期待できます。

冷水が苦手なら白湯や常温水でもOK。

朝だけでなく、1日を通じて合計1・5リットル程度の水を毎日飲むように心がけるといいでしょう。

1週間も続ければ、多くの方が効果を実感できると思います。

そして、改善は便通だけではないことにも気づくでしょう。

頭痛が和らいだ、疲れがとれた、体が冷えにくくなった......などなど。

そう、すべて自律神経が整ったための効果です。

そして、便秘の改善は腸の動きをさらに活発にしてくれます。

自律神経と血流には強い関係がありますが、よい血液を送り出すために働いているのは腸です。

腸がよければ全身の状態もよくなると考えてみてください。

アタマとおなかの不思議な関係。脳腸相関って何?

脳と腸の密接な関係のことを、医学では「脳腸相関」と呼んでいます。

わかりやすく説明するために、多くの方が普段の生活で実感している「脳腸相関」の例を挙げてみましょう。

重要な会議や大勢の前での発表、大切な試験や面接を控えたタイミング......こんなとき、急におなかが痛くなる症状に襲われたことがある人は、少なくないですよね。

慌ててトイレを探すはめになり、スケジュールに影響を与えてしまうこともあります。

これが、典型的な「脳腸相関」の悪い例です。

脳の感じた強いストレスが副交感神経を弱めてしまい、腸の働きが急に悪くなるというわけです。

反面、いい例はあまり実感しにくいかもしれません。

普段からおなかを壊しやすい人なら「最近調子いいな」と感じるかもしれませんが、そこまででもない場合は、なかなか状態を感じ取りにくいでしょう。

腸内環境がよくなれば、心も体も健康になります

ところが、「脳腸相関」のいい例は、まさにその「幸せだ」「充実している」と感じる頭のなかそのものです。

なぜなら、私たちが感情や気持ちとして認識している状態を決定づけるための神経伝達物質の多くが、じつは腸で生産されているからです。

「幸せホルモン」という名前を聞いたことがあると思います。

その正体であるセロトニンのおよそ95%は、腸で作られています。

セロトニンには、「交感神経」と「副交感神経」の2種類の神経を調節する働きを活性化させることにより、心のバランスを整える作用があります。

つまりは、腸が健康でいるとおなかの調子がよくなるだけでなく、自律神経も整い、「幸せ」を感じることもできてしまうというわけです。

脳腸相関においては、最近、慶應義塾大学の研究チームによって、腸の情報がすべて肝臓に集まり、迷走神経を通じて脳へ伝わることが明らかになっています。

近年のいわゆる「腸活」ブームは、多くの人たちがこのメリットに気づき始めたからだと思います。

腸は人体を病気から守る免疫器官としてもっとも大きい役割を担っていて、免疫を司る細胞の7割が腸に存在します。

そして腸は、いわば「第二の脳」でもあります。

腸を整え、よい血液を作り、自律神経を自発的に整えていくことが、心と体の健康を守るうえでとても大切なのです。

【次回】早寝早起きの規則正しい生活は自律神経を整える基本!/結局、自律神経がすべて解決してくれる

【まとめ読み】『結局、自律神経がすべて解決してくれる』記事リストはこちら!

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全4章にわたって腸内環境など自律神経に関わるさまざまな情報を公開。4つのタイプ別診断付き

 

小林弘幸

順天堂大学医学部卒業。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。自律神経研究の第一人者としてコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。同大学に便秘外来を開設した腸の専門家

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『結局、自律神経がすべて解決してくれる』

(小林弘幸/アスコム)

自律神経研究の第一人者、また便秘外来を国内初に解説した腸の専門家として「体調不良やストレスに悩まされる人たちの糸口になれば」と新しく出版された良書。自律神経が乱れたり整ったりする仕組み、また腸内環境との関係など、読者の生活にアドバイスしてくれます。

※この記事は『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(小林弘幸/アスコム)からの抜粋です。
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