自律神経が人間の体や心をちょうど良く整えてくれていることを知っていますか? 最近では、腸内環境が整うと自律神経が整うこともわかってきているそうです。そこで、自律神経研究の第一人者・小林弘幸先生の著書『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム)より、自律神経と生活習慣の関係などをご紹介いたします。
【前回】腸を整えると自律神経も整い調子が良くなるのはなぜ?/結局、自律神経がすべて解決してくれる
【最初から読む】あなたはどのタイプ? 自律神経には4つのタイプがある/結局、自律神経がすべて解決してくれる
朝日を浴びて自律神経を元気にしましょう
自律神経を整えるためには、どのような生活をすればいいのでしょうか。
そんなご質問に対して、私はおもに「睡眠」「食事」「呼吸」「メンタル面」での考え方を中心にアドバイスしています。
具体的にどのような習慣を取り入れると自律神経が整いやすくなるかについて、掘り下げて述べていきましょう。
まずは睡眠です。
すでに説明したとおり、睡眠の基本である光の取り入れ方をそのまま応用するなら、自律神経を整えるための睡眠とは、「早寝早起き」が基本になります。
暗くなったら眠り、明るくなったら光を浴びて起きる。
これが、古くからずっと続いてきた、ごく自然な生活のリズムです。
照明ができて夜もスムーズに活動ができるようになったのは、長い歴史を見ればごく最近のこと。
人間本来の自律神経が、社会や技術の「急な変化」に戸惑っていたとしても、まったく不思議ではありません。
光を味方につけるにはカーテンの使い方を工夫しましょう
起床のもっとも好ましい形は、たっぷりの朝日を浴びて、自然に目が覚めることです。
自律神経は、朝日を浴びた瞬間から活性化します。
もちろん、朝日を浴びなくても起きることは可能ですが、言うならば、起きたことは起きたけれど、なかなかスイッチが入らずだらだらしている状態が続きます。
できることなら、朝日を味方につけてさわやかに起床したいものです。
しかし、現代のほとんどの寝室にはカーテンが引かれています。
もっとも簡単な対策は、寝る直前、照明を消したあとにカーテンを開けておくか、光を通すレースなどのカーテンだけにしておくことです。
最近はカーテンを自動で開けてくれる装置も販売されているそうです。
スマホなどで設定することができて、あらかじめカーテンを開ける時間をセットしておけばいいそうです。
少し費用はかかりますが、自律神経を整えるにはこれもおすすめです。
とはいえ、私たち医療従事者を含め、朝早く起きて夜早く寝るという習慣を取り入れるのが難しい環境の方々も一定数います。
夜勤や不規則な勤務形態で、朝や昼間に睡眠をとらなければならない人にとっては、光はむしろ大敵になってしまいます。
そういった方々は、質のいい睡眠を確保するために遮光性の高いカーテンを使用するのがよいでしょう。
まずはよく眠ることが基本ですので、光を避けて深い睡眠がとれるようにしましょう。
週に1回だけ「睡眠のための日」を作りましょう
質のいい睡眠とは? と聞かれて、その中身を科学的、医学的にスラスラ答えられる人はなかなかいないと思います。
しかし、目覚めたときにすっきりしていて、「今日はよく眠れた!」と感じる場合は、その日の眠りの質はよかったといえると思います。
反対に、「しっかり寝たはずなのに、なんだかまだ眠い」なんていう日は、あまり熟睡できていなかったのでしょう。
睡眠と自律神経の関係、そして規則正しい睡眠を続ける方法について解説しましたが、質のいい睡眠をとるには、それらをぜひ習慣化していただけるといいでしょう。
よい睡眠の確保は、自律神経を整えるためにもっとも大事な要素のひとつですし、何より「気持ちよく眠れた!」という日の活力がどれほど豊かで生き生きとしているかは、みなさんよくご存じでしょう。
そういう日をもっと増やすために、ほかにどんな習慣を心がけると助けになるでしょうか。
良質の睡眠をとるためには睡眠環境を整えることが大切
基本は、「毎日○時間寝る」「夜△時に寝て朝×時に起きる」と決めておくことが大切です。
そのとおりにはいかないことも多いと思いますが、眠る際に「枕に向かって誓う」だけで、意識は変わってきます。
そのためには、副交感神経を出せるような、よい眠りのためのスイッチをたくさん作っておきましょう。
たとえば、寝室内にリラックスして眠れるような仕掛けや環境を整えてみるというのはどうでしょうか。
リラックスできる音楽、眠りを誘う香り、読むと必ず眠くなる本......そんな、睡眠のきっかけになるものをつねにそろえておくようにするといいでしょう。
温めたタオルを首に巻き、首の筋肉を温めるのもおすすめです。
首には神経や血管が集まっていて、温めると副交感神経が活性化しやすくなります。
忙しくてなかなかまとまった睡眠時間をとれない場合は、せめて週に1回は「睡眠のための日」を作りましょう。
睡眠不足のまま仕事や勉強を続けても、やがてパフォーマンスは落ちてしまいます。
今日は寝る日と決めたら、昼間は適度に運動をするようにしましょう。
運動で生まれるセロトニンは夜寝るためのメラトニンを生成するので、スムーズに眠りにつくことができます。
私の場合、夜は仕事のメールチェックはなるべく控えて、起きてから見るようにしています。
交感神経のスイッチが入らないようにすることで、睡眠の質を下げないようにするためです。
メールだけでなく、ネットなどでネガティブな情報を、寝る直前まで見ることをやめることも大切です。
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全4章にわたって腸内環境など自律神経に関わるさまざまな情報を公開。4つのタイプ別診断付き