自律神経が乱れるとこれまでの自分が自分でなくなる?/結局、自律神経がすべて解決してくれる

自律神経が人間の体や心をちょうど良く整えてくれていることを知っていますか? 最近では、腸内環境が整うと自律神経が整うこともわかってきているそうです。そこで、自律神経研究の第一人者・小林弘幸先生の著書『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム)より、自律神経と生活習慣の関係などをご紹介いたします。

【前回】あなたはどのタイプ? 自律神経には4つのタイプがある/結局、自律神経がすべて解決してくれる

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自律神経の乱れは、病気の入り口です

「自律神経失調症」という言葉を聞いたことはありますか?

詳細はのちほど解説しますが、不安や緊張感が高まり、吐き気や多汗、倦怠感、頭痛、肩こり、手足のしびれ、動悸、不整脈、めまい、不眠などなど、自律神経の乱れから生じるさまざまな症状の総称を「自律神経失調症」と呼び、いま注目を集めています。

自律神経とは、「脳が人を操るために伸ばした糸」とでも呼ぶべきものです。

私たちの体は、知らないあいだに「自動運転」されています。

心臓が動き、呼吸をし、汗をかき、眠くなったり起きたりします。

このような動きは、わざわざ意識して行なっているわけではありませんよね。

それを担当してくれているのが自律神経のシステムです。

とてもよくできているシステムですから、非常に精密で、少しでも狂ってしまうと、すぐに体の不調として現れてしまうのです。

自律神経のバランスを崩すと、体のあちこちに悪影響を及ぼします。

具体的には、以下の病気を発症することがあります。

●自律神経失調症
精神的なストレスや過労が引き金となって自律神経が乱れ、心や体に不調が現れる状態。全身の倦怠感、頭痛、肩こり、手足のしびれ、動悸、不整脈、めまい、不眠などの症状が現れます。

●神経性胃炎
ストレスや過労が原因となる胃炎。自律神経のバランスを崩して胃酸が過剰に分泌され、のどがつかえる、胸やけがする、胃が痛む、胃がもたれるなどの胃炎の症状を引き起こします。

●過敏性腸症候群
ストレスで腸の働きが悪くなり、腹痛を伴う慢性的な下痢や便秘などを引き起こします。ときに下痢と便秘が交互に起こることもあります。

●メニエール病
睡眠不足や過労、ストレスなどが原因で内耳のリンパ液に異常が生じ、めまいや耳鳴り、難聴などの症状が現れます。

●過呼吸症候群
過剰な精神的ストレスが引き金となって、突然浅く速い呼吸を繰り返す疾患です。息苦しさや胸の痛みなどの症状が現れます。

これらの病気は、すべて自律神経の乱れから起こりうるものです。

さらには自律神経の乱れから、命に関わる大病を発症することも少なくはありません。

自律神経を整えることは、健康を守るうえでもっとも大切な基本事項なのです。

自律神経が乱れると好きだったことが嫌いになります

些細なことでも大きく乱れ、不調の原因になる自律神経ですが、私が医師として自律神経の研究を始めたのは、じつは私自身に起きた症状がきっかけでした。

大学院を修了後、イギリス、アイルランドで研修医などを務めた私は、30代半ばで日本に帰国し、母校・順天堂大学の助手になりました。

私はもともと外科医で、当初、自律神経について、あまり意識することはありませんでした。

もちろん、医師ですから自律神経についてはひととおり学んでいましたが、それはあくまでも「勉強」のためで、私自身の健康に当てはめて考えたことはそれまでまったくありませんでした。

まして、自律神経がどれほど人間の生活に大切かということについては、ほとんど無頓着でした。

小児外科医として忙しく働いていた私は、やがて、想像もしていなかった不調に悩まされることになります。

仕事が好きなはずなのに、日曜の夜は憂鬱な気持ちに

忙しさに比例して体調を崩すことが多くなり、いつでも風邪を引いているような状態で、頭痛や不整脈に苦しめられました。

精神的にもイライラすることが多くなり、いま考えると申し訳ない話ですが、周囲に当たり散らすようなことも少なくありませんでした。

それでも、医師としての私は自分自身を「病気」とは判断せず、ただ忙しすぎて疲れているからだろうと考えていました。

ところが、休日に体をゆっくり休めても、症状はいっこうによくなりません。

それどころか、とある日曜日の夕方、テレビから流れてきた「サザエさん」のテーマ曲を聞いて、どんよりした気持ちになっている自分に気づきました。

月曜日が来なければいいのに......という、あの感覚です。

私はそれまで、仕事が嫌いになったことは一度もありませんでした。

朝早くから夜遅くまで、長期休暇もとらずに働いていて、周囲からは仕事好きをあきれられていたような状態です。

いまならわかります。

大好きな仕事のはずなのに憂鬱な気持ちになってしまったのは、自律神経のバランスを崩していたからだと。

当時の私は自分自身の「自律神経」に無頓着だったばかりに、危うく充実していた仕事人生を失いかねないところでした。

自分自身が自律神経のバランスを崩してしまったことで、「自律神経」を整えることの大切さに気づくことができたのです。

【次回】自律神経は体の調子をちょうど良くするって知ってた?/結局、自律神経がすべて解決してくれる

【まとめ読み】『結局、自律神経がすべて解決してくれる』記事リストはこちら!

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全4章にわたって腸内環境など自律神経に関わるさまざまな情報を公開。4つのタイプ別診断付き

 

小林弘幸

順天堂大学医学部卒業。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。自律神経研究の第一人者としてコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。同大学に便秘外来を開設した腸の専門家

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『結局、自律神経がすべて解決してくれる』

(小林弘幸/アスコム)

自律神経研究の第一人者、また便秘外来を国内初に解説した腸の専門家として「体調不良やストレスに悩まされる人たちの糸口になれば」と新しく出版された良書。自律神経が乱れたり整ったりする仕組み、また腸内環境との関係など、読者の生活にアドバイスしてくれます。

※この記事は『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(小林弘幸/アスコム)からの抜粋です。
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