副鼻腔炎のいちばんの予防は風邪とインフルエンザにかからないこと! /副鼻腔炎

風邪を引いた後に鼻水が出続けたり、鼻づまりが治らなかったり、緑色の鼻水が出る......。もしかして、その症状は風邪ではなくて「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」かもしれません。副鼻腔炎はその名前の通り、顔の内側にある「副鼻腔」という部位が細菌によって炎症を起こしてしまう疾患です。鼻づまりや鼻水がたれるなどをはじめとした症状が現れ、頭痛や鼻づまりによる息苦しさなどもあるため、日常生活にも支障をきたすことも多いです。

副鼻腔炎の症状や原因、治療方法、予防法などについて、副鼻腔炎の診断と治療を専門とする東京女子医科大学病院の野中学先生にお聞きしました。

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温度や湿度を管理して、ワクチン接種をしよう

副鼻腔炎は、急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎の2つのタイプがあります。また、慢性副鼻腔炎は、原因によってさらに「蓄膿症」「好酸球性副鼻腔炎」「副鼻腔真菌症」の3つのタイプに分かれます。

「急性副鼻腔炎は、風邪やインフルエンザをきっかけに発症します。また、風邪やインフルエンザによって、慢性副鼻腔炎の症状が悪化したり、一度治ったはずの副鼻腔炎が再発したりしてしまいます。副鼻腔炎を予防するためのいちばんの方法は、ずばり、風邪やインフルエンザにならないようにすることです!」(野中先生)

●風邪やインフルエンザを予防
ワクチンを接種してインフルエンザを予防したり、風邪やインフルエンザのような症状が出たらすぐに受診するなどして、症状の悪化を防ぎましょう。乾燥した環境では、ウイルスに感染しやすくなります。室温は20~25℃、湿度は50~60%が理想的です。夏場は風通しを良くして、冬場は加湿器を使うとよいでしょう。

●体を温める
体を温めることも副鼻腔炎の予防に効果的です。入浴時に湯船につかったり、体が冷えないようにすることで、鼻づまりを改善することができます。

●ほこりやカビを避ける
ほこりやカビも副鼻腔炎の原因になります。部屋は清潔にして、床や畳、マットレスや布団も丁寧に掃除機をかけましょう。

●ぜんそく治療を行う
ぜんそくの症状がある方や、以前ぜんそく治療を受けていたけれど自己判断で治療を中止してしまった方は、しっかりとぜんそくの治療を行ってください。そうすることで、アレルギーと関連する好酸球性副鼻腔炎を防ぐことができます。

●鼻をしっかりかんで鼻水を出す
鼻水を溜めないことも大切です。鼻水のなかにはウイルスや細菌、好酸球などが含まれています。鼻水を放置していると、症状が悪化してしまう原因になります。鼻水はすすらずに、しっかりと鼻をかんで出しましょう。ただし、あまり強く鼻をかみすぎると「中耳炎」になってしまうことも......。鼻をかむときには、一気にかむのではなく、やさしく鼻から息を長く出すようにしてください。

「ちなみに......、鼻洗浄(鼻うがい)が副鼻腔炎の改善に良いといううわさもあるようですね。ドラッグストアなどで、鼻洗浄用のキットが多く発売されているようです。確かに、鼻洗浄は急性副鼻腔炎の治療のひとつとして、行われることがあります。しかし、自宅などで自己流の鼻洗浄を行うよりも、病院で鼻腔内の鼻水の吸引を行い、ネブライザー治療(薬を霧状にして鼻腔内に噴射する)を行うほうが効果的でしょう。そもそも、鼻洗浄で洗えるのは鼻腔だけ。副鼻腔は鼻腔よりも奥にあるため、鼻洗浄で洗うことができません。副鼻腔の洗浄は、病院で治療の一環として行われることがあります。あらかじめ鼻腔内に麻酔を行ってから内部に溜まった膿を吸い出し、副鼻腔内を洗浄します。薬物療法や手術療法と併用して行われることが一般的です」(野中先生)

 

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取材・文/東江夏海(デコ)

 

 

<教えてくれた人>

野中 学(のなか・まなぶ)先生

東京女子医科大学病院耳鼻咽喉科教授、講座主任。1985年日本医科大学卒業。副鼻腔炎や中耳炎などの疾患、内視鏡下副鼻腔手術、鼻中隔矯正術、下甲介手術、鼓室形成術、アブミ骨手術、顔面神経減荷術などの手術を専門とする。

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