急性副鼻腔炎になって目の痛みや顔面痛があるときは、重篤な症状のサインかも。すぐに病院へ/副鼻腔炎

風邪を引いた後に鼻水が出続けたり、鼻づまりが治らなかったり、緑色の鼻水が出る......。もしかして、その症状は風邪ではなくて「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」かもしれません。副鼻腔炎はその名前の通り、顔の内側にある「副鼻腔」という部位が細菌によって炎症を起こしてしまう疾患です。鼻づまりや鼻水がたれるなどをはじめとした症状が現れ、頭痛や鼻づまりによる息苦しさなどもあるため、日常生活にも支障をきたすことも多いです。

副鼻腔炎の症状や原因、治療方法、予防法などについて、副鼻腔炎の診断と治療を専門とする東京女子医科大学病院の野中学先生にお聞きしました。

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急性副鼻腔炎では激しい痛みに注意して

副鼻腔炎には、急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎の2つのタイプがあります。さらに、慢性副鼻腔炎は、「蓄膿症」「好酸球性副鼻腔炎」「副鼻腔真菌症」の3つのタイプに分かれます。タイプによって、それぞれ症状が異なります。

急性副鼻腔炎は、はじめはサラサラとした鼻水が出て、次第に緑色の膿のような鼻水に変化します。鼻水がのどの奥にたれる「後鼻漏」や鼻水が鼻から出る「鼻漏」の症状があり、しばしば、においを感じにくくなる「嗅覚障害」が現れることもあります。

さらに、炎症を起こした副鼻腔の位置に痛みが現れることもあります。「上顎洞(じょうがくどう)」が炎症をおこした場合は頬の痛みが、「前頭洞(ぜんとうどう)」ではおでこに、「篩骨洞(しこつどう)」では目と目の間や目の奥に、「蝶形骨洞」では、頭頂部や後頭部の頭痛が現れたりします。

「痛みは、治療を受けることで改善できます。しかし、まれに危険な症状が現れることも......。篩骨洞の炎症が目の中まで広がってしまうと、『眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)』になり、最悪の場合には視力低下を引き起こすことがあります。また、前頭洞の炎症が脳にまで広がると、脳自体に炎症が起きて最悪の場合には死にいたることもある『脳炎』や脳内に膿が溜まり発熱やけいれんの症状が現れる『脳膿瘍(のうのうよう)』などを引き起こすこともあります。急性副鼻腔炎になったときに、強い痛みとともに目が腫れてきたり、激しい頭痛、顔面痛がしたらすぐに病院へ行ってください」(野中先生)

一方、慢性副鼻腔炎の症状は、急性副鼻腔炎よりも比較的穏やかです。強い痛みを伴うことは少なく、重篤な症状も出現しにくい傾向があります。

ただし、副鼻腔真菌症では、ごくまれに、副鼻腔に感染したカビが目の奥や脳にまで広がることがあります(浸潤型)。浸潤型は、失明や脳損傷などの重篤な症状を引き起こすため、強い頭痛や目のかすみの症状が出たときには、すぐに受診することが必要です。

ほかにも、鼻水がのどの奥にたれる「後鼻漏」によって、喉頭(こうとう)に炎症が起こって声を出しにくくなる「慢性咽喉頭炎(まんせいいんこうとうえん)」や、咳や痰が出続ける「慢性気管支炎(まんせいきかんしえん)」が起こることがあります。

「さらに、慢性副鼻腔炎では、鼻の孔のなかに鼻ポリープである『鼻茸(はなたけ)』というものができていることがあります。胃や大腸などにできるポリープと同様に、イボのようなものです。ただし、がんになるような悪性ポリープではありません。鼻ポリープは1~2個のこともありますが、数多くできたり、大きくなったりすることもあります。そうなると、鼻呼吸ができなくなり、集中力が低下したり睡眠時の寝苦しさを感じたりします。慢性副鼻腔炎のうち、好酸球性副鼻腔炎はとくに鼻茸がたくさんできやすいです」(野中学)

副鼻腔炎はただの鼻づまりや鼻水の症状だと油断せずに、早めに治療を受けて、しっかりと治しましょう。

 

次の記事「副鼻腔炎の検査は症状に応じてさまざま。問診によって受けるべき検査が決まる/副鼻腔炎(3)」はこちら。

取材・文/東江夏海(デコ)

 

 

 

<教えてくれた人>

野中 学(のなか・まなぶ)先生

東京女子医科大学病院耳鼻咽喉科教授、講座主任。1985年日本医科大学卒業。副鼻腔炎や中耳炎などの疾患、内視鏡下副鼻腔手術、鼻中隔矯正術、下甲介手術、鼓室形成術、アブミ骨手術、顔面神経減荷術などの手術を専門とする。

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