鼻詰まりで頬や額が痛む原因は炎症!?
風邪の季節には、鼻水が出る、鼻が詰まるといったことがありがちですね。薬を服用して症状が治まるとよいのですが、鼻水が喉に流れ落ち、頬や眉間の辺りが重くて痛いなど、強い症状を引き起こす人がいます。これらは単なる風邪の症状ではなく、鼻の奥で炎症が起こる副鼻腔炎が関わるそうです。
「副鼻腔は、鼻の穴に隣接した頬や目と目の間、額に位置する空洞のことで、これらの空洞で起こる炎症を副鼻腔炎といいます。急性副鼻腔炎は、風邪がきっかけになります」と大塚康司先生は説明します。
風邪の主な原因はウイルスですが、鼻の症状や発熱、咳などで体力を奪われます。すると、風邪のウイルスとは別に、細菌の二次感染を起こしやすくなってしまうのです。風邪のウイルスの後に感染した細菌が、副鼻腔の中で炎症を引き起こします。これが急性副鼻腔炎です。
副鼻腔で炎症が起こってしまうため、頬や額、目の付近に痛みや重い感じなどの、鼻炎と異なる強い症状が現れます。「風邪をこじらせてしまうと、急性副鼻腔炎になりやすいのですが、抗生物質などの薬による治療で多くの人は治ります。
ただし、症状が長引く慢性副鼻腔炎に移行する人もいるので気を付けましょう」と大塚先生。慢性副鼻腔炎は、重症化しやすいので注意が必要です。
ご存じですか?「副鼻腔炎」
◎そもそも「副鼻腔炎」って「ちくのう症」のこと?
「ちくのう症」は正式な医学用語ではなく、古くから使用されている「俗称」です。一般的にちくのう症は、慢性の副鼻腔炎を指すことがほとんどですが、急性と慢性の境界線が曖昧なため、単に副鼻腔炎の意味で使用されることもあります。
◎患者数は?
推定患者数は200万人とも。年々増加傾向にあります。
◎どんな特徴があるの??
―汚く濁った鼻水が出る
―鼻水が喉に詰まる
―なんとなく頬のあたりが重い、痛みがある
―頭の前側が重く感じる、痛みがある
◎放置すると
―鼻詰まり、鼻水が悪化
―痰たんや咳がひどくなる、気管支炎に進行することも
―においが分からなくなる(嗅覚障害)
―夜間の鼻詰まりはいびき、睡眠時無呼吸にもつながる
取材・文/安達純子
次の記事「気を付けて! 嗅覚障害に発展する副鼻腔炎もある/副鼻腔炎(2)」はこちら。
大塚康司(おおつか・こうじ)先生
東京医科大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科准教授、外来医長。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医・指導医。副鼻腔炎やアレルギーの病気、めまいなどの診断・治療を行い、顔の表面に傷が残らない内視鏡下副鼻腔手術を得意として数多く実施。