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風邪予防が不可欠!部屋の掃除も忘れずに
慢性副鼻腔炎の中には、治りにくい症状もあるため、日頃から予防に努めるのがなによりです。急性副鼻腔炎や慢性副鼻腔炎は、風邪が発症のきっかけになります。いまの時季は風邪の流行シーズンなので、風邪をひかないことが大切です。
予防の3本柱は、マスク、手洗い、うがいです。鼻詰まりを起こしやすい人、ぜんそくを患っている人など、慢性副鼻腔炎になりやすい人は、次のページの鼻洗浄も一助になるそうです。
「好酸球性副鼻腔炎の患者さんには、再発予防として鼻洗浄をすすめています。朝晩2回が基本ですが、忙しいときには1回でも行うとよいでしょう。鼻洗浄用の製品は市販されていますので、コップで行うのが難しい場合は、活用してみてください」と大塚先生はアドバイスします。
コップで行う鼻洗浄は、鼻がツンとしやすいので注意が必要です。マスク、手洗い、うがいをこまめに行うと同時に、1日1~2回の鼻洗浄も習慣化を。そして、日頃の体調管理も大切です。不規則な生活などで免疫力が下がっていると、風邪をひきやすくなることに加え、部屋のカビ(真菌・しんきん)による感染症も起こしやすくなります。
カビによる副鼻腔炎は、副鼻腔真菌症と称します。カビは細菌と仕組みが異なり、抗生物質は効きません。そのために、日頃から体力を維持して免疫力を落とさないために、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、そして、部屋をこまめにキレイにすることが大切になるのです。
冬場は、閉め切った部屋で暖房をつけ、湿度を上げるために加湿器を使用しますが、換気の悪い部屋ではカビも繁殖しやすくなります。時々換気をしつつ、こまめに掃除をするようにしましょう。
「急性副鼻腔炎を悪化させないためには、鼻の調子がおかしいときには、かかりつけ医などに相談することも重要です。早めの対処を心掛けるようにしてください」と大塚先生。
急性副鼻腔炎の治療で、抗生物質を処方されたときには、自分勝手に服用を止めないようにしましょう。「症状が治まったから」と中途半端に抗生物質の服用を止めると、生き残った細菌が抗生物質に対する抵抗力を持つ耐性菌になるからです。それらが増殖して慢性副鼻腔炎になると、治療が難しくなります。薬の服用は、主治医の指示に従って適切に行うことが大切です。
「急性副鼻腔炎の原因となる肺炎球菌には、ワクチンがあります。65歳以上の方は、公費助成の定期接種が受けられますので、主治医と相談の上で活用しましょう。また、鼻の症状に限らず、発熱などの症状があるときには、自己判断せずにかかりつけ医を受診することも忘れないでください」と大塚先生。副鼻腔炎を防いでスッキリとした鼻の状態を維持し、快適な日常生活を過ごしましょう!
取材・文/安達純子
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大塚康司(おおつか・こうじ)先生
東京医科大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科准教授、外来医長。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医・指導医。副鼻腔炎やアレルギーの病気、めまいなどの診断・治療を行い、顔の表面に傷が残らない内視鏡下副鼻腔手術を得意として数多く実施。