副鼻腔炎の治療の新常識! アレルギー性の副鼻腔炎はぜんそく治療とセットで行う/副鼻腔炎

風邪を引いた後に鼻水が出続けたり、鼻づまりが治らなかったり、緑色の鼻水が出る......。もしかして、その症状は風邪ではなくて「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」かもしれません。副鼻腔炎はその名前の通り、顔の内側にある「副鼻腔」という部位が細菌によって炎症を起こしてしまう疾患です。鼻づまりや鼻水がたれるなどをはじめとした症状が現れ、頭痛や鼻づまりによる息苦しさなどもあるため、日常生活にも支障をきたすことも多いです。

副鼻腔炎の症状や原因、治療方法、予防法などについて、副鼻腔炎の診断と治療を専門とする東京女子医科大学病院の野中学先生にお聞きしました。

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ぜんそく治療で好酸球性副鼻腔炎が改善!

「副鼻腔炎は、急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎の2つのタイプがあります。また、慢性副鼻腔炎は、原因によってさらに『蓄膿症』『好酸球性副鼻腔炎』『副鼻腔真菌症』の3つのタイプに分かれます。『好酸球性副鼻腔炎』は、厚生労働省が定める『指定難病』にもなっているとくにやっかいなタイプの副鼻腔炎です。鼻ポリープ(鼻茸)が多くでき、粘りの強い鼻水が発生するため、鼻づまりや嗅覚障害が現れます。さらに、副鼻腔の炎症が耳にまで広がることで、中耳炎を伴うこともあります(好酸球性中耳炎)。好酸球性中耳炎によって、最悪の場合には聴力障害になってしまうことも......。好酸球性副鼻腔炎は再発しやすいのも特徴です。手術をしても、術後約6年で約半分の方が再発してしまいます。繰り返し手術を受ける患者さんも多いです」(野中先生)

しかし、近年、好酸球性副鼻腔炎についての研究が進み、これまでよりも効果的な治療が行えるようになってきています。

好酸球性副鼻腔炎はぜんそくと深い関連があることがわかってきました。好酸球性副鼻腔炎の患者さんのうち、約30%がぜんそくを併発していると考えられています。また、これまで受けていたぜんそく治療を自己判断で治療を中止したために、好酸球性副鼻腔炎を発症している例も多くあります。

ぜんそくの症状が悪化すると好酸球性副鼻腔炎も悪化し、ぜんそくが改善すると好酸球性副鼻腔炎も改善する......。ぜんそく治療によって体内の好酸球が減少すれば、副鼻腔の炎症も改善するという研究結果も出ています。

これまでは、ぜんそく治療と好酸球性副鼻腔炎の治療は、まったく異なる分野と考えられていて、治療もそれぞれ別々に行ってきました。しかし、近年では鼻のアレルギーと気管支のアレルギーはひとつの病気であるとする「one airway, one disease(ひと続きの気道はひとつの疾患)」(※)という考え方のもと、好酸球性副鼻腔炎とぜんそくの治療がセットで行われるようになってきています。

※気道には、上気道と下気道がある。副鼻腔炎は上気道の疾患で、ぜんそくは下気道の疾患であるが、互いに影響しあうと捉える概念。

現在は、好酸球性副鼻腔炎の患者に対して、ぜんそくの既往歴を調べたり、好酸球によってぜんそくの症状が出ていないかを調べることが主流になってきています。ぜんそくの症状がないタイプの好酸球性副鼻腔炎の患者もいますが、くわしく調べてみると、咳などによる息苦しさが現れていないものの「ぜんそく」を発症していることもあります。

「これまで、好酸球性副鼻腔炎はとても再発頻度の高い疾患でした。しかし、好酸球性副鼻腔炎の治療を、耳鼻咽喉科と呼吸器外科が連携して行う取り組みが始まったことによって、大幅に再発の頻度を下げることができるようになっています。また、ぜんそくと好酸球性副鼻腔炎の治療を同時に行うことで、好酸球性副鼻腔炎で使う治療薬を減らして、副作用のリスクを軽減できるようになりました。今後さらに、研究が進むことが期待されています」(野中先生)

 

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取材・文/東江夏海(デコ)

 

 

<教えてくれた人>

野中 学(のなか・まなぶ)先生

東京女子医科大学病院耳鼻咽喉科教授、講座主任。1985年日本医科大学卒業。副鼻腔炎や中耳炎などの疾患、内視鏡下副鼻腔手術、鼻中隔矯正術、下甲介手術、鼓室形成術、アブミ骨手術、顔面神経減荷術などの手術を専門とする。

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