塩分の摂りすぎは、高血圧はもちろん、老化や肥満の要因にも。健康に美しく過ごすために、塩分を控えることはとても大切です。塩分の摂りすぎが気になるかたにオススメしたいのが調理や食事の際に塩分を含む調味料を使わず、塩分を添加した加工食品を控える「塩なしレシピ」。その基本を見てみましょう。
※この記事は『3日で2キロやせる おいしい塩なしレシピ』(KADOKAWA)からの抜粋です。
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塩なしレシピ7つの基本
「塩なし料理」は、ちょっとした工夫で味わいに差が出ます。
素材の組み合わせや、塩分を含まない調味料を効果的に使って、「おいしい!」「これなら続けられる!」という味を目指して。
1. だしを効かせる
塩なし料理でいちばんのポイントとなるのが、「だし」。だしの旨みや香りで味にメリハリがつき、味気なさがやわらぎます。また、調味料の味のまとまりをよくし、まろやかにしてくれる効果もあります。だしは好みの素材でとったもので構いませんが、異なる種類の旨み成分を組み合わせることで、旨みが格段に濃く、強く感じられるようになります。和食によく使われる「一番だし」は、かつおだしと昆布だしを合わせたもの。単独で使うより、奥深い味わいになります。このほか強い旨みのある貝柱などをアクセントにすると、メリハリのある味に。
[アクセントに使うといいだし素材]
●煮干し
煮干しはカタクチイワシを干したもの。さまざまな大きさのものがありますが、中くらいの大きさを選び、頭やはらわたを取って裂いておくと、早くだしが出て、具のひとつとして食べやすくなります。
●干し貝柱
帆立貝の貝柱を干したもので、濃厚な旨みのだしが出ます。含有塩分が高めなので、たくさん使うときにはもどし汁は使うのを控えましょう。それでも独特の香りや旨みが、満足感を高めてくれます。
●干しえび
干し貝柱と同様に、風味の強いいいだしが出ます。風味が強いので、単独で使うというより、ほかのだしと混ぜて使うようにし、味のアクセントにすると効果的です。
基本のだしの素材とだしのとり方
塩を使わない分、風味が重要となります。
だしをとるときの香りもごちそう。
[だし素材]
●削りがつお、混合だし削り
基本的には削りがつおを使いますが、麺類など、もっと強い風味がほしいときは「混合だし削り」を使います。混合だしは削りがつおのほか、まぐろやさばの削りぶしをブレンドしたもので、ぐっと濃い味わいになります。
●昆布
多く流通しているのは、「日高昆布」「真昆布」「利尻昆布」「羅臼昆布」の4 種類。日高昆布はやわらかく、香りが強め。真昆布は上品な甘みがあり、澄んだだしがとれます。利尻昆布はくせがなく、旨みが強い昆布。羅臼昆布は濃厚なだしがとれます。この本では香りと旨みのバランスがいい真昆布を使っています。
[だしのとり方]
一番だし
基本のだしです。かつおと昆布を合わせ、深みを出します。
作り方
水1リットルと昆布(15×15㎝ )2 枚を鍋に入れ、一晩おく。弱めの中火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出す。削りがつお20g をほぐしながら加え、煮立ったら火を止め
る。アクを除いて、ざるなどにペーパータオルを敷き、こす。
昆布だし
かつおだしより、すっきり仕上げたいときに。ふくよかな味。
作り方
水1リットルと昆布(15×20 ㎝)2 枚を鍋に入れ、一晩おく。弱めの中火にかけ、沸騰する直前に昆布を取り出す。グラグラと煮立ててしまうと、ぬめりや苦み、酸味が出るので注意する。
昆布水
昆布だしよりやさしい昆布の風味がほしいときに。
作り方
水1リットルと昆布(15× 20㎝ )2 枚を密閉容器に入れ、冷蔵室に一晩おいてじっくりと抽出する。
2. 旨み素材を活用する
だしだけでなく、旨みの強い食材を活用しましょう。貝類は旨み成分も多く、素材そのものに塩分(ナトリウム分)が含まれています。塩なし食を続けていると味覚が鋭敏になり、かすかな量でも塩けを感じやすくなりますから、貝類は調味しなくても十分おいしく感じられます。トマトも旨み成分が多いので、塩なし食の強い味方。きのこは旨みがあるだけでなく、食感に変化がつき、カロリー(熱量)も低いので、活用を。
*干すことで旨みが増す素材も
きのこは干すと旨みが凝縮します。さらに、酵素が変化して旨み成分に変わるので、生のときよりもぐっとメリハリのある味に。
3. 酸味で素材の塩味を引き立てる
酸味にはごく薄い塩味を感じやすくさせる作用があるといわれます。もともと素材に含まれているナトリウム分を引き立てるとともに、食欲を増進させる効果も。酢、かんきつ類など、バリエーションも豊かなので、料理や季節によって使い分けを。
4. 辛味でアクセントをつける
塩味がないと味がぼんやりしがちですが、辛みをアクセントにすると、ぐっと食べやすくなります。とうがらしやラー油、わさびやからし、カレー粉などのスパイスを取り入れてみましょう。こしょうの辛みもとても効果的。いつもの料理より少し多めにふって、辛みのひとつとして生かしましょう。
5. 砂糖で旨みを封じ込める
塩ほど強くありませんが、砂糖にも脱水作用があります。魚の下ごしらえに使うと、余分な水分やくさみが抜けて、引き締まった味になります。また、たんぱく質と水分を結びつけるので、肉や魚をふっくらやわらかくし、旨みを封じ込める効果も。こっくりとした甘みは味に深みを出しますし、焼くときに少しこがし気味にして、こうばしさを楽しんでも。
6. コクで満足感を高める
塩なし料理は「コク」も重要です。だしや甘みのほか、脂肪分でコクをプラスしましょう。この本では通常のごま油のほか、香りがマイルドでさらりとした味わいの太白ごま油や、みずみずしい風味のエキストラバージンオリーブオイルを使いました。入手しにくければ身近なオイルで代用しても構いませんが、塩けのかわりに少しこだわって上質な油を加えると、豊かな気分に。バターも無塩のものは使ってOK です。コクが出て、料理が香りよく仕上がります。
7. 食感に変化をつける
味気ない料理にならないように、食感にもひと工夫しましょう。たとえばフレッシュトマトを使ったソースでも、仕上げにみじん切りのしょうが、せん切りのみょうがを加えると、歯ざわりに微妙な違いが出て、飽きずに食べ進められます。カリカリとしたトッピングをのせたり、かたさに変化をつけるのもおすすめ。
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撮影/浮田輝雄