40代を過ぎて、肩が痛い、腕が上がらないという時にまず思い浮かべるのが、四十肩・五十肩ではないでしょうか。「そのうち治るだろう」「年をとったから痛くなっただけ」と自分で判断し、放っておく人も多いですが、実は、いつ爆発するかわからない「爆弾」を抱えているのと同じ。気づかないうちに重症化していて、手術が必要となる場合もあるので、軽く考えるのは禁物です。
肩の仕組みをはじめ、四十肩・五十肩の原因や症状、予防法などを、麻生総合病院 スポーツ整形外科部長で、肩関節の治療を専門とする鈴木一秀先生にお聞きしました。
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「イタ気持ちいい」までゆっくり伸ばします
肩の痛みの予防や軽減には、ストレッチも効果的です。首から肩、背中の上部にかけて広がっている僧帽筋(そうぼうきん)などを伸ばして緊張をほぐしましょう。筋肉は30秒ほど持続的に伸ばすとほぐれるとされています。ゆっくり行って、「イタ気持ちいい」と感じる程度に伸ばします。
いずれの場合も、痛みを感じたり、首を後ろに倒した時にしびれを感じたりする場合は、すぐに中止します。無理をすると、逆効果になってしまいます。
■肩甲骨を動かして首から肩をほぐす
肩甲骨は僧帽筋をはじめとする15の筋肉に支えられているので、動かすことで首、肩、背中の筋肉がほぐれ、血行もよくなります。
1 肩甲骨を内側に寄せる
2 肩甲骨を上に上げ、首をすくめる
3 肩甲骨を外側に広げる
■大胸筋(だいきょうきん)や肋間筋(ろっかんきん)を伸ばして胸郭を開く
硬くなっている大胸筋や肋間筋を伸ばして緊張をほぐすことで胸を開き、前屈みの姿勢を正します。浅い呼吸も改善します。
1 椅子に腰掛け、両手を机の上に置く
2 おなかを引いて、背中を丸める
3 胸とおなかを前に突き出すように張り、背中を反らせる。お尻も突き出すイメージで行うのがポイント。
■わき腹を伸ばす体幹運動
日常生活であまり使うことのない腹斜筋(ふくしゃきん)など、わき腹の筋肉を伸ばします。
腹斜筋は、肋骨の下あたりの体の側面から骨盤にかけて斜めにある筋肉。その下にある外腹斜筋、深層部にある内腹斜筋を使うことで体幹が鍛えられ、正しい姿勢を保ちやすくなります。
1 椅子に腰掛け、背筋を伸ばす
2 後ろを見るようにして体をねじり、片方のわき腹を伸ばす
3 反対側のわき腹も同様に伸ばす
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取材・文/岡田知子(BLOOM)