健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
文明人の宿命から体を解放しよう
みなさんはふだん、空を見上げることがありますか? 日常生活のなかで、背筋を伸ばして顔を上げた姿勢をとる機会はどれほどあるでしょう。
近年では運動量が少なく、座ったまま前かがみの姿勢をとり続ける人たちが増えています。また、歩いていても手にスマートフォンを握りしめ、小さい画面をのぞき込むように、前かがみになっている人が少なくありません。
いくら口を酸っぱくして「姿勢をよくしましょう」と言っても、〝廊下は右側を歩きましょう〞程度の注意と同じく、軽く聞き流されてしまいがちです。
しかし、姿勢が自己治癒力に及ぼす影響は、非常に大きいものなのです。何より、1日の3分の2の時間は、立っているか座っているかしているわけですから、姿勢が悪いと、体にとって非常に大きなダメージになるからです。
文明人の特徴として、前かがみ、うつむき加減で近くを見ることが挙げられるわけですが、この姿勢が交感神経を優位にし、呼吸を小刻みにし、全身の血の巡りを低下させることになります。つまり、自己治癒力が低下してしまうのです。
当然、座って仕事をするときは誰でも前かがみになりますが、1日の大半を座って過ごしている人の場合、睡眠時間以外のほぼすべてで、前かがみの姿勢を取り続けることになります。生物本来の体の構造からすれば、このような体の使い方は、不自然きわまりないことです。
日常では胸を張る姿勢を意識して、気がついたら、上半身を反ったり、少し視線を高くして空を見上げたりして、姿勢を正すことをお勧めします。ついでに体を軽く動かしたりすれば、なおいいでしょう。
いくら仕事や勉強に熱中しているからといって、同じ姿勢をとり続けることがないように注意してください。
しつこい腰痛や肩こりが、姿勢を正すだけで治ってしまう人も少なくないのです。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
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(岡本 裕/KADOKAWA)
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