粉瘤の手術は意外と安い? 具体的な費用と知っておきたい術後の注意点/粉瘤

粉瘤(ふんりゅう)という病気をご存じでしょうか? またの名をアテロームやアテローマといい、誰にでも、全身のどこにでもできる可能性がある良性の腫瘍です。はじめは米粒大の小さな袋ですが、だんだん大きくなって、数cm以上の大きさになることもあります。押すと悪臭がします。さらに放っておいて炎症を起こすと腫れて痛くなってしまうこともあるので、やっかいな腫瘍です。

粉瘤とは何か、原因や予防法、治療法などを、はなふさ皮膚科の理事長で、粉瘤の手術経験が豊富な花房火月先生にお聞きしました。

粉瘤の手術は意外と安い? 具体的な費用と知っておきたい術後の注意点/粉瘤 pixta_29803814_S.jpg前の記事「皮膚を切らずに粉瘤を抜き取る「くりぬき法」とは?/粉瘤(4)」はこちら。

 

術後48時間は飲酒と運動は禁止

粉瘤を手術するとなると気になるのが費用です。また手術後は日常生活を送れるのかどうか、という不安がありますよね。

粉瘤は診察、検査、手術、病理検査すべてに保険が効きます。たとえば、はなふさ皮膚科の場合は以下になります。

手術料金そのものは
〈患者の負担が3割の場合〉
●露出部(顔、頭、首、肘から指先まで、膝から足先まで)の場合、切除した粉瘤の直径が
・2cm未満:4,980円
・2cm~4cm未満:11,010円
・4cm以上:13,080円

●露出部以外の場合、切除した粉瘤の直径の合計が
・3cm未満:3,840円
・3~6cm未満:9,690円
・6~12cm未満:12,480円
・12cm~:24,960円

露出部と露出部以外で金額が異なるのは、露出部は見える位置のため、より傷跡がきれいになるように仕上げないといけないためです。

さらに病理検査および病理判断料が3割負担の人で3,030円かかります。病理検査は必須ではありませんが、粉瘤との診断を確定させるため、そして粉瘤から悪性腫瘍が発生する可能性がゼロではないため、行なっておいた方が安心です。

「手術後は通常通りに日常生活を送れます。手術の当日と翌日は出血するリスクがあるため入浴は控えて、翌々日以降はシャワーで石鹸を使って傷を洗います。そのあと、薬をつけてガーゼとテープで覆います」(花房先生)

手術当日は飲酒や運動も控えます。48時間後からは飲酒は通常の量であれば問題ありません。また軽い運動も問題ありませんが、患部に圧や衝撃が加わらないように注意が必要です。

「お尻の粉瘤を手術した場合は、デスクワークなどの際に圧をかけすぎないように30分に一度、10秒ほどお尻を浮かせます」(花房先生)

 

手術の際の危険性とそのケアについては以下になります。

1. 内出血を起こしてしまうことがある
7~10日ほどで自然に治るので心配はいりません。

2.多少、傷が残ってしまう
赤みや黒ずみは半年程度で消えるため、赤みや黒ずみが消えればそれほど目立たなくなることが多いです。赤みや黒ずみを早く消したい場合は、はなふさ皮膚科ではフォト治療(光治療)やハイドロキノンといったクリームによる治療をします。またどのような手術を行なっても若干の傷跡が残るのはやむ得ない部分もあります。現代医学では、傷が残るリスクをゼロにすることはできません。

3.体質によっては傷が盛り上がってしまうことがある
ケロイド体質の人は、手術後の傷が盛り上がってしまうことがあります。はなふさ皮膚科ではフォト治療(光治療)やステロイド注射で治療します。

4.傷がすぐに開いてしまうことがある
通常は、適切な処理をして軟膏を塗れば1週間~10日ほどで治ります。

5.再発してしまうことがある
粉瘤を取り残した場合は、そこから粉瘤が再発してしまいます。

「以前に比べて手術法が発展したこともあって危険性は少ないです。なにか不安なことがあれば医師に相談してみてください」(花房先生)

 

次の記事「粉瘤をつぶすのは絶対NG!/粉瘤(6)」はこちら。

取材・文/桑沢香里(デコ)

 

<教えてくれた人>
花房火月(はなふさ・ひづき)先生

医師。はなふさ皮膚科理事長。米国皮膚外科学会、日本皮膚科学会、日本小児皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会に所属。2006年東京大学医学部卒業後、がん研有明病院、東京大学医学部附属病院、NTT東日本関東病院などを経て、2011年はなふさ皮膚科三鷹院を開設。その後、新座院、国分寺院、久我山院、志木院も開設する。皮膚科において低侵襲手術の独自性および術式を広めた実績が評価され、皮膚科医としては唯一、The Japan Times紙により「アジアの次世代を担うリーダー100人」(100Next-Era Leaders IN ASIA2015-2016)に選出される。著書に『だから差がつく! やっぱり美人は、かかりつけの美容皮膚科を持っていた』(雷鳥社)

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