帯状疱疹は、神経節に潜んだ「水痘・帯状疱疹ウイルス(水ぼうそうのウイルス)」が免疫力低下により活性化することにより発症し、小さい頃水ぼうそうになった人は誰でも発症する可能性がある身近な病気です。
帯状疱疹はいったいどういう原因・仕組みで起こる病気なのでしょうか?日本アレルギー学会認定アレルギー専門医の蒲原 毅先生にお話を伺いました。
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帯状疱疹は、小さい頃にかかった水ぼうそうのウイルス「水痘・帯状疱疹ウイルス」によって発症します。このウイルスは水ぼうそうが治った後も、知覚神経の神経節に潜み続け、ストレスや疲労の蓄積、加齢などで免疫力が低下したときに、暴れ出します。がんや糖尿病など免疫力の働きが低下する病気の人や、リウマチなど免疫を抑制する薬を服用中の人などが発症しやすくなります。多くは一生に一度だけ発症しますが、近年高齢者で再発する人が増えています。
症状は、初期はかゆみだけを感じる場合もありますが、進行すると痛みが激しくなります。胸、腹部、背中、顔などの片側に赤い発疹が生じ、やがて発疹は神経に沿って帯状に広がり水疱(すいほう)になります。「激痛で眠れない」「顔や首の発疹が気になって外出できない」など日常生活に支障を来すこともあります。
→水ぼうそうが治った後も、水痘・帯状疱疹ウイルスは死滅せずに神経節に潜み、免疫力で活動が抑えられている。
→加齢やストレスなどで免疫力が低下すると水痘・帯状疱疹ウイルスが暴れ出す。神経に沿って移動し、皮膚に到達する。
■帯状疱疹ってうつるの?
●子どもの頃水ぼうそうにかかった人→発症しない
●これまで水ぼうそうにかかったことがない人→水ぼうそうとして発症
2014年に小児への水痘ワクチンの定期接種が開始され、今後、水ぼうそう患者と接する機会が減ることが予想されます。それにより体内のウイルスに対する免疫力が活性化せず、逆に帯状疱疹の患者が増えるのではないかと懸念されています。
高齢者は、ひどい水ぶくれや潰瘍などの重症化や、つらい痛みが残る帯状疱疹後神経痛、顔面神経まひや難聴、視力低下など合併症に陥りやすいので、初期段階で適切な治療をすることが大切です。発疹後3日以内に必ず皮膚科などの医療機関を受診しましょう。
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取材・文/古谷玲子(デコ)