皮膚を切らずに粉瘤を抜き取る「くりぬき法」。対応できる病院は限られている/粉瘤

粉瘤(ふんりゅう)という病気をご存じでしょうか? またの名をアテロームやアテローマといい、誰にでも、全身のどこにでもできる可能性がある良性の腫瘍です。はじめは米粒大の小さな袋ですが、だんだん大きくなって、数cm以上の大きさになることもあります。押すと悪臭がします。さらに放っておいて炎症を起こすと腫れて痛くなってしまうこともあるので、やっかいな腫瘍です。

粉瘤とは何か、原因や予防法、治療法などを、はなふさ皮膚科の理事長で、粉瘤の手術経験が豊富な花房火月先生にお聞きしました。

pixta_40177600_S.jpg前の記事「粉瘤だと思ったら違う病気だった!? 粉瘤によく似た病気/粉瘤(3)」はこちら。

 

従来の手術よりもメリットがたくさん!

「粉瘤かもしれない」と思ったときのためにチェックリストを用意しました。粉瘤だった場合は手術が必要になりますが、最新の「くりぬき法」という手術法は従来の手術法に比べてメリットがあります。

もしいま気になる袋状の膨らみがあったら、以下の5つの項目をチェックしてみましょう。2つ以上当てはまったら粉瘤の可能性が高いです。

・中央に黒点状の開口部がある
・1か月以上ある
・圧迫すると悪臭がする
・表面がくりっとしている(ゴツゴツしていない)
・皮膚を動かすと腫瘍も一緒に動く(皮膚の表面とつながっている)

これらはあくまで目安で、自己判断は禁物です。ただし1か月以内に消えたらニキビの跡の可能性が高いかもしれないので、「これはニキビの跡かな?」というくらいだったら1か月ほど様子を見てもよいかもしれません。

やはり「粉瘤の可能性がある」となったら、皮膚科か形成外科を受診してください。

粉瘤は皮膚腫瘍のため、外科的に切除するしかありません。粉瘤の手術には、従来の手術法と「くりぬき法」の2種類があります。

従来の手術法は、皮膚を切開し、粉瘤を取り除き、縫い合わせるという方法です。

くりぬき法、別名ほぞ抜き法、へそ抜き法は、粉瘤に小さな孔をあけて、そこから粉瘤の中にたまった垢や皮脂を絞り出したあとに、しぼんだ粉瘤の袋を抜き取る方法です。

従来の手術方法では
・手術時間が15~60分程度
・傷跡が腫瘍計のサイズの3倍以上

でしたが、くりぬき法は
・手術時間が短い(通常は5~10分程度)
・傷跡がきわめて小さい(2~5mm程度)
・傷を縫わなくて済むことも多い

といったメリットがあります。

そのため、はなふさ皮膚科では極端にサイズが大きいものを除いて、ほとんどくりぬき法を行なっています。くりぬき法は保険適用されます。しかし、くり抜き法は新しい手術法式のため、対応できる病院は限られています。大きな病院よりは小さな皮膚科の方が対応できる傾向があります。

 

炎症性粉瘤の手術は、くりぬき法と二期法の2種類になります。

サイズが5cm以上ある場合や何度も炎症を繰り返している場合はくりぬき法が難しいため、二期法になります。

二期法は、手術を2回にわける方法です。1回目は皮膚を切開して、中にたまった垢や膿を取り除きます。その後、抗生物質の内服と外用によって炎症をおさえます。2回目は炎症がおさまった3か月後くらいで、皮膚と粉瘤をまとめて切り取ったあとに皮膚を縫合します。その後1週間して抜糸するという流れです。場合によっては少し傷跡が残ってしまう可能性があります。

「炎症性粉瘤は手術をすると術後に縫ったところに細菌が感染し、膿がたまって痛み、熱が出て傷が開いてしまうことがあるため、炎症がおさまるまで手術をしないのが一般的でした。そのため、『炎症性粉瘤はきれいに治せない』『炎症を起こす前にどうして来なかったのか?』という医師がいますが、炎症を起こしてからでも遅くはありません」(花房先生)

粉瘤も炎症性粉瘤も、診察を受けた当日にそのまま手術をするか、予約して手術をします。病院によっては当日手術ができないところもあるのでご注意ください。

どの手術の場合でも、局所麻酔をする際に少し痛みを感じます。またくりぬき法の場合は手術中に粉瘤を絞ることもあるため、その際に少し痛みを感じる場合があります。

はなふさ皮膚科では手術で縫合した場合は、抜糸の1か月後に最終チェックをします。摘出した検体(粉瘤)は最終的に病理検査を行ない、診断が正しかったか、悪性腫瘍の可能性がないかなどを確認して、治療は終了になります。

 

次の記事「粉瘤の手術は意外と安い? 具体的な費用と知っておきたい術後の注意点/粉瘤(5)」はこちら。

取材・文/桑沢香里(デコ)

<教えてくれた人>
花房火月(はなふさ・ひづき)先生

医師。はなふさ皮膚科理事長。米国皮膚外科学会、日本皮膚科学会、日本小児皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会に所属。2006年東京大学医学部卒業後、がん研有明病院、東京大学医学部附属病院、NTT東日本関東病院などを経て、2011年はなふさ皮膚科三鷹院を開設。その後、新座院、国分寺院、久我山院、志木院も開設する。皮膚科において低侵襲手術の独自性および術式を広めた実績が評価され、皮膚科医としては唯一、The Japan Times紙により「アジアの次世代を担うリーダー100人」(100Next-Era Leaders IN ASIA2015-2016)に選出される。著書に『だから差がつく! やっぱり美人は、かかりつけの美容皮膚科を持っていた』(雷鳥社)

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP