粉瘤をつぶすのは絶対NG!/粉瘤

粉瘤(ふんりゅう)という病気をご存じでしょうか? またの名をアテロームやアテローマといい、誰にでも、全身のどこにでもできる可能性がある良性の腫瘍です。はじめは米粒大の小さな袋ですが、だんだん大きくなって、数cm以上の大きさになることもあります。押すと悪臭がします。さらに放っておいて炎症を起こすと腫れて痛くなってしまうこともあるので、やっかいな腫瘍です。

粉瘤とは何か、原因や予防法、治療法などを、はなふさ皮膚科の理事長で、粉瘤の手術経験が豊富な花房火月先生にお聞きしました。

粉瘤をつぶすのは絶対NG!/粉瘤 pixta_21476688_S.jpg前の記事「粉瘤の手術は意外と安い? 費用や術後の注意点/粉瘤(5)」はこちら。

 

粉瘤はつぶせばつぶすほど炎症が起こりやすくなる

発生の原因が不明な粉瘤。まだまだ疑問がつきません。そこで粉瘤にまつわるさまざまな疑問を花房先生に聞いてみました。

Q.粉瘤は多発しますか?
A.「ときに数か所同時に粉瘤ができることがありますが、多い人でも2箇所程度です」(花房先生)

 

Q.粉瘤ができたときに、やってはいけないことはありますか?
A.「つぶして、垢や皮脂などの内容物を絞り出すことです。つぶせばつぶすほど炎症が起こりやすくなってしまいます。そうすると粉瘤が周りの組織に癒着して剥離しにくくなり、くりぬき法ができなくなってしまいます」(花房先生)

※「くりぬき法」についてはこちら。

 

Q.粉瘤は必ず手術しないといけないですか?
A.「基本的に良性の腫瘍なので必ず取らなければいけないわけではありませんが、だんだん大きくなることが多く、細菌が入って感染してしまうことや、悪臭の原因になることもあるので、手術をして取ることをおすすめします」(花房先生)

 

Q.粉瘤は飲み薬で治せませんか?
A.「残念ながら飲み薬だけでの治療は困難です。この先も手術の技術はより進歩すると思いますが、飲み薬のみによる粉瘤治療は期待できないと考えられています」(花房先生)

 

Q.粉瘤はすぐに手術して取ってもらえますか?
A.「1~2cm程度の小さな粉瘤はすぐに取れます。また痛みや腫れを伴う粉瘤はすぐに手術をすることが多いです。しかし5cmを超えるような大きな粉瘤は後日改めて手術をすることが多いでしょう」(花房先生)

 

Q.粉瘤の手術後、どのくらいの頻度で通院が必要ですか?
A.「通常の手術であれば、1週間後の抜糸まで通院する必要はありません。ただし、5cm以上の大きな粉瘤や強い炎症を伴う炎症性粉瘤を手術した場合は、翌日の通院をすすめることもあります」(花房先生)

 

Q.これまでに診察した中でとくに大きかった粉瘤は?
A.「肩のあたりに15cmにもなる大きな粉瘤をつくってしまった人や、お尻にこぶし大の粉瘤をつくってしまった人もいます。でも手術は可能ですので、諦めずに病院を訪ねてください」(花房先生)

 

Q.粉瘤は再発しますか?
A. きちんと取り切れば再発はしません。しかし炎症を何度も繰り返している粉瘤の場合、粉瘤の病変があちこちに飛び散っているため、まれに取り残してしまうことがあります。そうすると数か月から数年後に再発することがあり、再手術が必要になります。また、再発とは異なりますが、体質によってはきちんと取り切ったのに別のところにできてしまう人もいます」(花房先生)

 

取材・文/桑沢香里(デコ)

 

<教えてくれた人>
花房火月(はなふさ・ひづき)先生

医師。はなふさ皮膚科理事長。米国皮膚外科学会、日本皮膚科学会、日本小児皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会に所属。2006年東京大学医学部卒業後、がん研有明病院、東京大学医学部附属病院、NTT東日本関東病院などを経て、2011年はなふさ皮膚科三鷹院を開設。その後、新座院、国分寺院、久我山院、志木院も開設する。皮膚科において低侵襲手術の独自性および術式を広めた実績が評価され、皮膚科医としては唯一、The Japan Times紙により「アジアの次世代を担うリーダー100人」(100Next-Era Leaders IN ASIA2015-2016)に選出される。著書に『だから差がつく! やっぱり美人は、かかりつけの美容皮膚科を持っていた』(雷鳥社)

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