中年期からの高血圧でリスクは10倍に! 血管性認知症にご注意を

年齢とともに、物覚えが悪くなったり、人の名前が思い出せなくなったりすることは誰にでも起こります。しかし、認知症は「老化によるもの忘れ」とは異なり、何らかの病気によって脳の神経細胞が壊れるために起こる症状や状態を指します。
高血圧などが関わる血管性認知症について鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座環境保健学分野教授で、日本認知症予防学会理事長の浦上克哉先生にお話をお伺いしました。

前の記事「料理の作り方がわからない、注意力がない...「糖尿病性認知症」とは?(5)」はこちら。


中年期からの高血圧が認知症の大きなリスクに

高血圧とは、血管への圧力が高い状態のこと。加齢に伴い血管は硬く厚くなりますが、そのことで血液の流れが悪くなることが、加齢とともに高血圧の人が多くなる原因です。

●高血圧の仕組み早分かり
1812p017_02.jpg

1812p017_03.jpg

1812p017_04.jpg

1812p017_05.jpg 

この高血圧も認知症の大きなリスクの一つ。慢性的に高血圧が続くと脳の血管に常に負担がかかり、それが脳卒中のリスクになるからです。同じ脳卒中でも発作を起こすこともあれば、症状が現れないほどの小さな血栓がたくさんできることもあり、その血栓が脳細胞を死滅させ、血管性認知症を引き起こすのです。

久山町研究では、中年期及び老年期に血圧が高いほど、血管性認知症を発症しやすく、特に中年期に高血圧の人は正常の人と比べて、リスクが10倍にもなると報告されています。高血圧の改善は、認知症予防に不可欠といえるでしょう。

 

●老年期、中年期の高血圧と認知症発症リスク

1812p017_01.jpg

※ 1 高血圧前症とは、最高血圧120 ~139㎜Hg /最低血圧80 ~89㎜Hg(高血圧ではないがやや高めの状態)。 
※ 2 ステージ1 高血圧症とは、最高血圧140 ~159㎜Hg /最低血圧90 ~99㎜Hg。 
※ 3 ステージ2 高血圧症は、最高血圧160 ~179㎜Hg /最低血圧100 ~109

 

●高血圧の予防・改善には
塩分の摂り過ぎに注意
食事でまず気を付けたいのが塩分。過剰摂取は血圧を上昇させます。日本人は特に塩分摂取量が多いともいわれており、普段から減塩を心がけることが大切です。

汗をかいたら水分補給を
大量の汗で体内の水分が不足すると、血液中の水分も不足して血流が悪くなり、血圧上昇を招いてしまいます。汗をかいたら、たっぷりと水分を摂るようにしましょう。

激しい運動より、簡単な体操
高血圧の予防には、息が上がるような激しい運動より、ウォーキングや軽いジョギングといった有酸素運動が適しています。日常的に気軽にできる簡単な体操もオススメ

 

次の記事「知らないうちに起こる「微小脳出血」や「慢性腎臓病」も認知症のリスクに!(7)」はこちら。

取材・文/佐藤あゆ美 イラスト/福々ちえ 

 

<教えてくれた人>
浦上克哉(うらかみ・かつや)先生

医学博士。鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座環境保健学分野教授。日本認知症予防学会理事長。認知症診断・予防の第一人者。『認知症&もの忘れはこれで9割防げる!』(三笠書房)など著書多数。

この記事は『毎日が発見』2018年12月号に掲載の情報です。
PAGE TOP