骨量のピークは20歳。女性の骨は閉経前後から急減します/圧迫骨折

pixta_17209848_S.jpg背骨は、首から腰まで24個の骨がつながってできていて、それぞれの骨の積み重なっている円筒形の部分を「椎体(ついたい)」といいます。圧迫骨折とは、この椎体が潰れてしまう骨折です。高齢の女性に多く、尻もちをつく、重い物を持つなどの大きな負荷、そして骨粗鬆症が主な原因です。背骨は体を支え、脊髄を保護する重要な役割を果たしています。この背骨が潰れてしまうと、強い痛みや日常生活への支障が出るほか、身長が縮んだり、背中が丸まったりして、見た目の老化にもつながります。

今回は圧迫骨折の症状や治療法、圧迫骨折の原因となる骨粗鬆症について、伊奈病院整形外科部長の石橋英明先生にお話を伺いました。

前の記事「カルシウムとコラーゲンが、強くてしなやかな骨の秘訣/圧迫骨折(6)」はこちら。

 

運動、食事、日光浴で骨量の減少を抑えましょう

骨量とは、文字通り体の中の骨の量です。骨量は成長期にぐんぐん増えていき、男女とも20歳ごろが一生のうちで最も骨量の多い時期になります。高い骨量の状態は平均して40歳から50歳くらいまで続きますが、その後は年をとるにつれて、男女とも自然に減少していきます。骨量が一定量(20~44歳の骨量平均値の70%)を下回ると、ちょっとしたことでも骨折しやすくなります。この状態が、骨粗鬆症です。

「女性の場合は、閉経期を迎えてエストロゲンの分泌量が減る50歳前後から、急激に骨量が減っていきます。この急激な骨量の減少は10~15年ほど続きます。やがて減少のスピードは緩やかになりますが、その後も骨量は減り続けます。ですから、できるだけ骨量の減少を穏やかにさせる努力が必要です。そのためには、習慣的な運動とバランスのとれた食事、特にカルシウムを多く摂って骨量を減らさないことが大切です。また、皮膚でビタミンDを生成するための日光浴も欠かせません。そういった日常生活の中で実践できることを習慣化することで、骨量の減少を緩やかにすることができます」と、石橋先生。

 
エストロゲンが破骨細胞の働きを抑制。
骨量の維持に役立ちます

ところで、なぜ女性は閉経前後から急激に骨がもろくなるのでしょうか? それには、女性ホルモン、すなわちエストロゲンの働きが関係しています。

エストロゲン(女性ホルモンのことです)にはさまざまな働きがありますが、破骨細胞の働きを抑えるという、骨にとって大変重要な役割をもっています。

関連記事:「骨粗鬆症が圧迫骨折の主原因。加齢で骨はもろくなるの?/圧迫骨折(4)

「エストロゲンの働きは、妊娠中や授乳期の骨量の維持に大きくかかわっています。女性は妊娠中、胎児の体を作るために、胎盤を通じて胎児にカルシウムを大量に与えます。また、出産後の授乳時もカルシウムを沢山使います。こうしてカルシウムがどんどん使われると、お母さんの血液中のカルシウムが不足してしまいますが、人の体は血液中のカルシウム濃度を一定に保つ必要があります。そのため、破骨細胞が骨を溶かして血液中にカルシウムを供給して不足分を補うことになっています。

ただ妊娠中や授乳期にこの状態が続くと、骨がどんどん弱くなってしまいます。そこでエストロゲンが破骨細胞による骨吸収を抑えるように働きかけることで、骨が弱くなることを防いでいるのです」と、石橋先生。

しかし、残念ながらエストロゲンは、閉経期以降は減ってしまいます。その結果、破骨細胞の働きが盛んになって骨吸収が進み、骨芽細胞による骨形成が追いつかなくなって骨量が減ってしまいます。つまり、骨粗鬆症になりやすくなる訳です。

ただし、閉経後の骨量の減り方は人それぞれ個人差があり、すべての女性が骨粗鬆症になるわけではありません。まずは、自分の骨の状態を知ることが大切です。自治体の骨粗鬆症検診や人間ドックの骨密度検査などを積極的に受けてみましょう。

 

次の記事「骨粗鬆症?と思ったら...骨密度はどこで測定できる?/圧迫骨折(8)」はこちら。

取材・文/笑(寳田真由美)

 


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石橋英明(いしばし・ひであき)先生

伊奈病院整形外科部長、NPO法人高齢者運動器疾患研究所代表理事。1988年東京大学医学部医学科卒業。三井記念病院、東京都老人医療センター(現・東京都健康長寿医療センター)整形外科などの勤務を経て、1992年より東京大学大学院医学系研究科にて骨代謝研究に従事。1996年に博士学位を取得し、米国ワシントン大学医学部に留学。帰国後、東京都老人医療センター整形外科に勤務、2001年より同センター整形外科医長。2004年より現職。専門は骨粗鬆症、関節リウマチ、関節外科。著書に『よくわかる最新医学 骨粗鬆症 予防・検査・治療のすべてがわかる本』(主婦の友社)、『骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン(共著)』(ライフサイエンス出版)ほか。

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