圧迫骨折の治療後は、イスを使うスクワットで筋力強化/圧迫骨折

圧迫骨折の治療後は、イスを使うスクワットで筋力強化/圧迫骨折 pixta_43008138_S.jpg背骨は、首から腰まで24個の骨がつながってできていて、それぞれの骨の積み重なっている円筒形の部分を「椎体(ついたい)」といいます。圧迫骨折とは、この椎体が潰れてしまう骨折です。高齢の女性に多く、尻もちをつく、重い物を持つなどの大きな負荷、そして骨粗鬆症が主な原因です。背骨は体を支え、脊髄を保護する重要な役割を果たしています。この背骨が潰れてしまうと、強い痛みや日常生活への支障が出るほか、身長が縮んだり、背中が丸まったりして、見た目の老化にもつながります。

今回は圧迫骨折の症状や治療法、圧迫骨折の原因となる骨粗鬆症について、伊奈病院整形外科部長の石橋英明先生にお話を伺いました。

前の記事「背骨の圧迫骨折、主な治療は3タイプあります/圧迫骨折(3)」はこちら。

 

治療後の予防には
下半身の筋肉を強化

一度圧迫骨折を起こした人は、骨粗鬆症のリスクが大変高まっています。また、一度骨折を起こすと、その後に新たな骨折を起こす確率は2~3倍にもなります。そのため、圧迫骨折の治療後は、新たな骨折を起こさないよう注意することが大切です。しかし、「また転ぶのではないか」「転ぶのが怖い」と慎重になるあまり、外出を避けたり、体を動かさなくなったりしてしまうと、本当に動けなくなってしまうので、安全な範囲で体を動かすようにしましょう。

「脊椎圧迫骨折の治療後におすすめの運動の一つが、イスを使ったスクワットです。スクワットは、ひざを伸ばす大腿四頭筋(だいたいしとうきん:太ももの前側の筋肉)だけでなく、大殿筋(だいでんきん:お尻の筋肉)やハムストリング(太ももの後ろ側の筋肉)も強化します。バランスを取るため、上体は前傾させてかまいません。手は前に出しても、下に下ろしてもいいです。大切なのは、腰をしっかり後ろに引いてひざがつま先よりも前に出ないこと。そしてゆっくりと行うことです」と、石橋先生。

ここで、イスを使った安全なスクワットのやり方をご紹介しましょう。
(1) 足を肩幅より少し広く開いてイスの前に立ちます。つま先は30度くらい外向きに開きます。
(2) ゆっくりとイスに座ります。深く腰掛けるようにしましょう。スクワットと同じ動作になります。
(3) ゆっくり立ち上がって(1)の姿勢に戻ります。(1)(3)を約10秒かけて行います。5~10回を目標にしましょう。

 

次の記事「骨粗鬆症が圧迫骨折の主原因。加齢で骨はもろくなるの?/圧迫骨折(5)」はこちら。

 

取材・文/笑(寳田真由美)

 

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石橋英明(いしばし・ひであき)先生

伊奈病院整形外科部長、NPO法人高齢者運動器疾患研究所代表理事。1988年東京大学医学部医学科卒業。三井記念病院、東京都老人医療センター(現・東京都健康長寿医療センター)整形外科などの勤務を経て、1992年より東京大学大学院医学系研究科にて骨代謝研究に従事。1996年に博士学位を取得し、米国ワシントン大学医学部に留学。帰国後、東京都老人医療センター整形外科に勤務、2001年より同センター整形外科医長。2004年より現職。専門は骨粗鬆症、関節リウマチ、関節外科。著書に『よくわかる最新医学 骨粗鬆症 予防・検査・治療のすべてがわかる本』(主婦の友社)、『骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン(共著)』(ライフサイエンス出版)ほか。

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