カルシウムとコラーゲンが、強くてしなやかな骨の秘訣/圧迫骨折

pixta_10262404_S.jpg背骨は、首から腰まで24個の骨がつながってできていて、それぞれの骨の積み重なっている円筒形の部分を「椎体(ついたい)」といいます。圧迫骨折とは、この椎体が潰れてしまう骨折です。高齢の女性に多く、尻もちをつく、重い物を持つなどの大きな負荷、そして骨粗鬆症が主な原因です。背骨は体を支え、脊髄を保護する重要な役割を果たしています。この背骨が潰れてしまうと、強い痛みや日常生活への支障が出るほか、身長が縮んだり、背中が丸まったりして、見た目の老化にもつながります。

今回は圧迫骨折の症状や治療法、圧迫骨折の原因となる骨粗鬆症について、伊奈病院整形外科部長の石橋英明先生にお話を伺いました。

前の記事「骨粗鬆症が圧迫骨折の主原因。加齢で骨はもろくなるの?/圧迫骨折(5)」はこちら。

 

カルシウム:コラーゲン。対等なバランスが健康な骨です

「骨は、タンパク質の一種であるコラーゲンに、カルシウムとリンでできているハイドロキシアパタイトと呼ばれるリン酸カルシウムの結晶(石灰分)が沈着して形成されます。コラーゲンと石灰分の比率は半々で、骨にとってはカルシウムと同程度にタンパク質が重要です」と、石橋先生。

コラーゲンは強い線維状のタンパク質で、骨の成分の中で鉄骨のような役割を担っています。その頑丈さで骨を支えるだけでなく、強い力がかかるとしなることで外からかかる力を吸収します。一方、石灰分であるハイドロキシアパタイトは、セメントのような働きをもちます。硬くて丈夫ですが、外からの力のかかり方によっては、ポキッと折れてしまうもろさがあります。この異なる性質の二つの成分によって、強くしなやかな骨が作られます。どちらが欠けても、強くてしなやかな骨はできないことを覚えておきましょう。

 
血液中のカルシウム濃度の調節も骨の重要な役割です

血液中のカルシウムは、神経の伝達や筋肉の収縮などに欠かせない、重要な役割を担っています。そのため人の体は、血液中のカルシウム濃度を一定に保つ必要があります。ですが、食事で十分なカルシウムが摂取できていないと、血液中のカルシウム濃度が低下してしまいます。そんなとき、人の体には骨のカルシウムを溶かし出して、不足分を血液中に補う仕組みがあります。

「骨はカルシウムの貯蔵庫のようなもので、人の体のカルシウムの99%が骨に蓄えられ、残りの1%が血液や体液中にあります。必要な場合には、骨を溶かしてカルシウムを血液に供給します」(石橋先生)。

健康で丈夫な骨を作るためには、毎日の食事から十分なカルシウムを摂取することが大切です。また、血液中のカルシウム濃度を保ち、丈夫な骨を作る働きがあるビタミンDは皮膚で作られますが、この過程には日光にあたることが必要です。地域によって差はありますが、春・秋ならば15分程度、夏ならば7分程度、日差しを浴びることで日光からのビタミンDを皮膚で生成できます。ただし、冬場は日光浴での十分なビタミンDの合成は期待できないことを覚えておきましょう。食事やサプリメントでビタミンDを補う必要があります。

 

次の記事「骨量のピークは20歳。女性の骨は閉経前後から急減します/圧迫骨折(7)」はこちら。


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石橋英明(いしばし・ひであき)先生

伊奈病院整形外科部長、NPO法人高齢者運動器疾患研究所代表理事。1988年東京大学医学部医学科卒業。三井記念病院、東京都老人医療センター(現・東京都健康長寿医療センター)整形外科などの勤務を経て、1992年より東京大学大学院医学系研究科にて骨代謝研究に従事。1996年に博士学位を取得し、米国ワシントン大学医学部に留学。帰国後、東京都老人医療センター整形外科に勤務、2001年より同センター整形外科医長。2004年より現職。専門は骨粗鬆症、関節リウマチ、関節外科。著書に『よくわかる最新医学 骨粗鬆症 予防・検査・治療のすべてがわかる本』(主婦の友社)、『骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン(共著)』(ライフサイエンス出版)ほか。

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