普段はあまり気にすることのない、足の爪。小さなパーツですが、変形したり、色が変わったりしていませんか? 巻き爪をはじめとする足の爪の異常は、実は歩き方や姿勢などの生活習慣や外反母趾など、さまざまな要因の積み重ねから複合的に起こっているもの。大したことないと思っていると、やがて強い痛みを伴い、歩行困難にもつながるので、注意が必要です。
さまざまな足の爪の異常やその原因、正しいセルフケアの方法を、皮膚科医で、「日本フットケア学会」の理事も務める高山かおる先生にお聞きしました。
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爪の上・下それぞれが厚くなる2種の症状があります
「肥厚爪(ひこうそう)」は、その字のとおり爪が厚くなる病変で、原因不明の場合も少なくありません。「巻き爪」や「陥入爪(かんにゅうそう)」、「外反母趾(がいはんぼし)」と合併して発症したり、何らかの原因で爪をはがしたあとに発症する人もいます。
主に2つのタイプがあり、その1つは爪が上に厚くなる「爪甲鉤弯症(そうこうこうわんしょう)」、もう1つは爪の下が厚くなる「爪甲下角質増殖(そうこうかかくしつぞうしょく)」です。高山先生に1つずつ説明してもらいました。
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タイプ1 爪甲鉤弯症(そうこうこうわんしょう)
爪全体が上に重なって厚く硬くなる症状で、症状が進むと鉤形(かぎがた)に湾曲します。これは、爪がカタツムリの殻のように膨らみ、先が前向きではなく、鉤形にくるんと曲がって後ろ向きになってしまう状態です。
主に親指に生じますが、ほかの爪に生じる場合もあります。爪の色も濁ってきます。
放置すると、爪が厚く硬くなるだけでなく、爪が厚くなっているため、靴を履くと指先が当たって痛んだり、湾曲した爪が指に食い込んで痛みを感じたりします。その時が受診のタイミングです。予防法としては、深爪をしない、自分の足に合った靴を履くことなどが大切です。
【主な原因】
靴などによる圧迫のほか、スポーツなどによる外傷などがこの症状を引き起こします。これらが要因となって爪が欠損すると、地面から足の指に受ける上向きの力によって、軟部組織が盛り上がってきます。
爪が伸びる時にこの軟部組織に当たると、それ以上前に向かって正常に伸びることができません。それでも爪は下からどんどん生えてくるので、古い爪は押し上げられていきます。上へと厚くなりながら成長した爪は層のように次々と重なり、さらに厚くなっていきます。
【主な治療法】
現在、有効な治療法は確立されていません。厚くなった部分を削るなどして、保存的治療を目的としたフットケアをするのが主流です。爪が曲がっている場合は爪の繊維の向きをまっすぐに整えたり、本来の方向に伸びるように溝づけを行ったりします。
タイプ2 爪甲下角質増殖
爪の下の角質が増殖し、爪の下に皮膚の部分である爪床(そうしょう)から押し上げられる症状です。それに伴い、押し上げられた爪が厚く盛り上がり、爪と爪床の間にはボロボロとした角質がたまっていきます。5本の指すべてに発症する可能性があります。
【主な原因】
■爪白癬(つめはくせん)
この変形を引き起こす、最も可能性の高い原因です。
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■爪の変形
「巻き爪」のトラブルのほか、外部から強い圧力が加わった時にも生じやすくなります。例えば、窮屈な靴を履いて圧迫を受けたり、体重が増えて足の指先に力がかかったりすると、爪の周りの軟部組織(皮膚や肉)が盛り上がって爪が圧迫されます。そうなると、5本の足の指の爪が全体的に小さく厚く変形すると考えられています。
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■足の変形(外反母趾)
「外反母趾」によって、足の人さし指と中指が「ハンマートゥ」(足の指の関節が「く」の字に縮こまったまま曲がっている状態)になって変形していると、これらの指に症状が出ます。足の指が変形することによって地面に強く接してしまうため、下からの圧迫を受け、指先の先端部分の皮膚が硬くなり、爪も厚くなるといわれています。
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■親指より人さし指が長い足
こういうタイプの足を「ギリシャ型」の足と呼びます。欧米人に多い足の形ですが、人さし指が最も長いため、外からの圧迫を受けやすく、この症状を起こしやすくなるので注意が必要です。
【主な治療法】
まず「爪白癬」の検査をし、該当する場合は、医師が処方する内服薬を服用して治療します。「巻き爪」や「外反母趾」が原因の場合は、それらの症状を改善させるための治療を行います。
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取材・文/岡田知子(BLOOM)