親指に多い「巻き爪」。外反母趾、靴、深爪が主な要因です/足の爪の変形

pixta_18253038_S.jpg普段はあまり気にすることのない、足の爪。小さなパーツですが、変形したり、色が変わったりしていませんか? 巻き爪をはじめとする足の爪の異常は、実は歩き方や姿勢などの生活習慣や外反母趾など、さまざまな要因の積み重ねから複合的に起こっているもの。大したことないと思っていると、やがて強い痛みを伴い、歩行困難にもつながるので、注意が必要です。

さまざまな足の爪の異常やその原因、正しいセルフケアの方法を、皮膚科医で、「日本フットケア学会」の理事も務める高山かおる先生にお聞きしました。

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治療は手術をしない保存的治療が主流

足の爪の変形の主な症状は、「巻き爪」「陥入爪(かんにゅうそう)」「肥厚爪(ひこうそう)」「爪白癬」(つめはくせん)となります。

最も多い「巻き爪」は爪の変形の代表的な疾患で、爪の端がアルファベットの「C」のように内側に巻き込んだり、ホチキスの針のように直角に曲がったりする症状です。ひどくなると、「C」状から「O」状になってしまうこともあります。

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親指に起こることが多いですが、その他の指でも起こります。放置しておくと、痛みや炎症を伴うほか、普段は痛くなくても、運動したり歩いたりして靴が爪に当たったりすると痛みを感じることもあります。周囲の皮膚に食い込んで炎症を起こすと、「陥入爪」となります。

予防法としては、窮屈な靴を履かないようにするほか、爪を正しく切ることで、ほぼ防ぐことができます。

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【主な原因】

■足の変形(外反母趾)
「外反母趾(がいはんぼし)」など足の変形があると、爪は横や下からの圧迫を受けやすくなり、爪に覆いかぶさるように周りの軟部組織(皮膚や肉)が厚くなります。すると、爪もその軟部組織に押されて内側に巻いていきます。高山先生のフットケア外来に来る巻き爪の患者の60%に外反母趾があったそうです。

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■靴などによる外からの圧迫
窮屈な靴や圧迫しすぎる靴下を履くと、爪が両側から強く押されて、皮膚を挟み込むように内側に巻いてしまいます。

■爪の切り方(深爪)
多くの場合、深爪が原因。深爪をすると、爪のふちが内向きに伸びやすく、伸びてきた時に軟部組織に当たって成長が阻害され、正しい方向に向かって伸びることが難しくなります。また、本来、爪が皮膚をきちんと覆っていれば、下の地面からの力に上から対応できますが、爪の面積が小さいと、周りの皮膚が盛り上がって爪が埋まってしまいます。そのため、地面から強い力が加わるとその力に負けて爪が皮膚の中にどんどん埋もれてしまいます。

 

【主な治療法】

医療機関では、従来は爪の巻いている部分を切除する手術療法が行われていましたが、再発や爪の変形も多かったことから、現在は手術を行わない以下のような保存的治療が主流。痛いからといって皮膚に食い込んだ爪を切り取ると、いったんは痛みが和らぎますが、爪が伸びてくるとさらに悪化します。

 

■自分で痛みを緩和できる応急処置

○コットンパッキング法
爪の先が2㎜程度あればできます。脱脂綿や不織布を米粒くらいの大きさに丸めて、痛みのある爪と皮膚の間に挟み、食い込む爪と皮膚の間を広げます。

○テーピング法
痛みのある爪と皮膚の間をテーピング用テープや布製ばんそうこうの力で引っ張って広げ、痛みを緩和させます。

 

■医療機関で行う矯正治療(保存的治療)
○超弾性ワイヤー法
爪が指先から2mmほど伸びたら治療可能。爪の先端2カ所に穴を開け、太さ0.4~0.5㎜の特殊な弾性ワイヤーを通し、ワイヤーがまっすぐに戻ろうとする力を利用して巻き爪を矯正します。ワイヤーは1~2カ月ごとに入れ替えます。

○超弾性クリップ法
爪の先に形状記憶合金製のクリップを差し込み、上に戻る力を利用して爪の形を少しずつ改善します。爪が薄く柔らかい人に向いており、爪を切る時などは自分で着脱することもできます。

○ガター法
爪が深く食い込んで、溝(ガター)のようになった側面に、細くて柔らかな医療用チューブを差し込んで固定。爪と炎症の間にすき間を作り、食い込みを防ぎます。

 

「矯正治療は『痛そう』『怖い』というイメージがありますが、所要時間は5分程度で、痛みもありません」と高山先生。

医療機関によって得意とするもの、用意されている装具が異なるほか、治療に通える頻度、セルフケアができるかできないかなどでも、治療法の選択が変わってくるといいます。自費治療となり、治療費は医療機関によってまちまちなので、治療法と合わせてよく確認しておきましょう。

「矯正治療を行う医療機関はまだ多くはありません。皮膚科のほか、形成外科、整形外科、フットケア専門外来、爪専門外来を持つ病院などで治療を行っているので、よく確認しましょう。歯の矯正と同じように時間はかかりますが、やがて痛みがなくなり、だいたい半年~2年ほどでよくなります」(高山先生)。

 

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取材・文/岡田知子(BLOOM)


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高山かおる(たかやま・かおる)先生

医師・医学博士。済生会川口総合病院皮膚科主任部長、東京医科歯科大学臨床准教授。接触性皮膚炎、フットケアを専門とする。難治性の巻き爪、陥入爪、肥厚爪などの疾患に対し、トラブルの根治を目指した原因の追求、診察、専門治療のほか、セルフケアの指導を行う。「100歳まで自分の足で歩ける社会」を目的に発足した「足育研究会」の代表、日本フットケア学会の理事を務め、フットケアの啓発活動も行っている。著書に『巻き爪、陥入爪、外反母趾の特効セルフケア』(マキノ出版)、監修に『皮膚科医が教える本当に正しい足のケア』(家の光協会)

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