爪がボロボロに...実は足より怖い爪白癬/白癬菌

pixta_32320477_S.jpg足の指の間がかゆい、水ぶくれができる、皮がむける...これらはすべて水虫の症状です。日本人の5人に1人が水虫に感染しているといわれています。水虫の原因は「白癬菌(はくせんきん)」というカビ(真菌・しんきん)です。白癬菌による感染症を「白癬」といい、実はこのカビ、足だけでなく手や頭など体のいろいろなところに棲みつくことができるのです。

そんな白癬菌の性質や特徴、治療法や予防法を、白癬治療の第一人者、仲皮フ科クリニック院長の仲 弥先生に伺いました。

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爪白癬は根治するのに時間がかかります

白癬菌の栄養源は、たんぱく質の「ケラチン」です。爪は主にケラチンから構成されていて、白癬菌がうつると「爪白癬」、いわゆる爪の水虫になります。
爪白癬は足白癬よりも治療に時間がかかる、厄介な病気です。

◆爪白癬は進行すると、爪がはがれてしまうこともある
爪白癬は爪の先端から始まり、徐々に根元へと広がることが多いです。
症状としては爪の一部が白や黄色、茶色に濁ったりし、厚くなります。進行すると爪全体に広がり、しだいにもろくなってはがれることもあります。また靴を履いたときなどに患部が当たって痛くなり、歩行しづらくなることもあります。

◆爪白癬は白癬菌の温床になりやすい
爪白癬はかゆみが出ないために放置してしまう人が多いのですが、そうしますと爪に棲みついている白癬菌が家の中にばらまかれて足白癬が再発したり家族にうつしたりする恐れがあります。

◆治療には根気が必要
爪は厚みがあるために薬が浸透しづらく外用薬では治療が困難なため、主に内服薬で治療します。しかし、薬を飲めばすぐ治るわけではありません。
爪白癬は薬が効き始めると爪の根元から新しいきれいな爪が生え、白癬菌におかされた爪は上に押し出されます。足の爪は第1趾(親指)で1カ月に約1.5㎜、完全に生え替わるには1年以上かかるといわれています。ですから、根元まで侵されている爪白癬では治療しても爪から病巣がすべてのぞかれるまで早くて1年かかります。でも内服薬は治療終了後も爪の中に残り効果が持続しますので、約3~6カ月の治療期間でよいのです。

◆爪白癬であることに気付いていない人が多い
爪白癬はかゆみが伴わず、また爪の変色を靴による圧迫のせいだと思ったり、加齢のせいだと思ったりして、自身が爪白癬だと気付いていない人が多くいます。気付かず何年も放置されるため、高齢になるほど患者数が増える傾向にありますが、爪白癬の内服薬は副作用が強く、高齢で持病がある場合は治療が困難なこともあります。爪に部分的でも白や黄色い変色があったり、爪が厚くもろくなったりしている場合は、皮膚科の診療を受けることをおすすめします。

爪白癬は、おもに足白癬(足の水虫)をきちんと治療しなかったために、足の白癬菌が爪に感染して引き起こされたものです。足の水虫も爪の水虫も放置せず、根気よく治療していくことが肝心です。

 
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取材・文/ほなみかおり

さん
仲 弥(なか・わたる)先生

慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部皮膚科医長、同・皮膚科専任講師を経て、1996年に仲皮フ科クリニック(埼玉県川越市)を開業。真菌のエキスパートとしてメディアに多数出演。埼玉県皮膚科医会会長、日本臨床皮膚科医会参与(前副会長)、日本皮膚科学会代議員、埼玉県皮膚科治療学会理事、日本医真菌学会評議員、日本皮膚科学会認定専門医。

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