爪は健康のバロメーター。白、黄色や黒、緑色などになったら注意!/足の爪の変形

爪は健康のバロメーター。白、黄色や黒、緑色などになったら注意!/足の爪の変形 pixta_37079263_S.jpg普段はあまり気にすることのない、足の爪。小さなパーツですが、変形したり、色が変わったりしていませんか? 巻き爪をはじめとする足の爪の異常は、実は歩き方や姿勢などの生活習慣や外反母趾など、さまざまな要因の積み重ねから複合的に起こっているもの。大したことないと思っていると、やがて強い痛みを伴い、歩行困難にもつながるので、注意が必要です。

さまざまな足の爪の異常やその原因、正しいセルフケアの方法を、皮膚科医で、「日本フットケア学会」の理事も務める高山かおる先生にお聞きしました。

前の記事「その外反母趾、放っておくと爪の変形を引き起こすかも!?/足の爪の変形(3)」はこちら。

 

爪の色や形、線などから体の状態がわかります

「爪は健康のバロメーター」とよく言われます。それはなぜでしょうか?
「爪の色は、指先の毛細血管の血流が透けて見えるものです。爪が通常のピンク色の人は、指の末端まで血液が行き届いており、全身の健康状態もよいと考えられています。爪の状態は体の病気を知らせるサインにもなるのです」と、高山先生は言います。

いつもと爪の色が違うな、と思ったら、注意しましょう。

●白っぽい
「爪白癬(つめはくせん)」に感染しているかも。体の疾患としては、肝疾患(肝硬変、慢性肝炎)、腎疾患が疑われます。

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●黄色っぽい
加齢や「肥厚爪(ひこうそう)」などによって爪が厚くなると、血管が透けて見えにくくなるので、黄色く見えることがあります。また、「黄色爪(おうしょくそう)症候群(イエローネイル)」と呼ばれる爪病変もあり、心臓や肺の病気、リンパ浮腫が疑われる場合もあります。

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●黒っぽい
爪を強くぶつけるなどして内出血している場合は、たいていは軽症であることが多く、自然に治ります。爪が伸びると共に内出血した部分もきれいな爪に生え変わります。内出血した部分がいつまでも痛んだり、炎症を起こして赤黒く腫れていたりする時は、皮膚科を受診しましょう。

まれに「メラノーマ(悪性黒色腫)」という皮膚がんの一種である場合も。特に黒い縦線がある場合や、それが時間が経つにつれて濃くなったり、太くなってきたりしたときは、すぐに皮膚科へ。

●緑色っぽい
「グリーンネイル(緑色爪)」と呼ばれる爪の感染症です。「緑膿菌(りょくのうきん)」という、どこにでもいる弱毒の菌に感染する、日和見感染(免疫の働きが低下しているときに病原性の弱い微生物に感染すること)の1つです。

症状が進むと、爪の色は緑色から黒っぽくなりますが、痛みはありません。
主な原因は、ジェルネイルやスカルプチュア(人工爪の一種)などのネイルアート。長い間つけっぱなしにしていると、自分の爪から少し浮き上がってすき間ができ、そこに菌が入り込んで感染し、緑色に変色します。

発症に気づいたら、すぐにネイルアートを取り、患部を消毒し、雑菌が増殖している部分の爪が生え変わるまで消毒しながら、清潔を保ちます。悪化すると爪がはがれる場合もあるので、その時は皮膚科を受診しましょう。

 

■足の爪の異変 チェックリスト■
(1)爪が厚くなってきた
(2)小指の爪がつぶれて小さくなってきた
(3)爪が肉の中に食い込んでいる
(4)爪に縦の線が目立つようになった
(5)爪に横の線が何本か入って凹凸がある
(6)爪がはがれたり、欠けたりしている

 

<診断>
(1)...爪の成長障害や靴との接触による「肥厚爪(ひこうそう)」、「爪白癬(つめはくせん))が考えられます。

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(2)...小指と地面や靴との接触によるもの。「内反小趾(ないはんしょうし)」を起こしている場合が多くあります。

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(3)...「巻き爪」、「陥入爪(かんにゅうそう)を起こしています。

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(4)...乾燥や加齢によるものが多いです。黒い線の場合は、「メラノーマ(悪性黒色腫)」という皮膚がんの一種かもしれないので、要注意。

(5)(6)...靴など外からの圧迫のほか、爪の乾燥によって起こります。


普段から自分の爪をよくチェックして、こまめにケアしたいものです。

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取材・文/岡田知子(BLOOM)

 

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高山かおる(たかやま・かおる)先生

医師・医学博士。済生会川口総合病院皮膚科主任部長、東京医科歯科大学臨床准教授。接触性皮膚炎、フットケアを専門とする。難治性の巻き爪、陥入爪、肥厚爪などの疾患に対し、トラブルの根治を目指した原因の追求、診察、専門治療のほか、セルフケアの指導を行う。「100歳まで自分の足で歩ける社会」を目的に発足した「足育研究会」の代表、日本フットケア学会の理事を務め、フットケアの啓発活動も行っている。著書に『巻き爪、陥入爪、外反母趾の特効セルフケア』(マキノ出版)、監修に『皮膚科医が教える本当に正しい足のケア』(家の光協会)

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