かゆみの原因は便
ほとんどのかゆみは「肛門そう痒症」が原因
痔とともに、おしりのトラブルで多い悩みに「かゆみ」があります。中でも、かぶれやカビが原因ではないかゆみの場合、圧倒的に多いのが「肛門そう痒(よう)症」です。これは、じん麻疹のようにカラダの内側から出てきた湿疹ではなく、自分で掻いたりこすったり、洗ったり、皮膚を刺激して自分で人工的につくりあげた湿疹です。
そして、この湿疹の原因も、出口の便秘が関係しています。便をすべて出し切れていないため、おしりを何度も拭いたり洗ったりしているうちに皮膚が荒れ、肛門そう痒症となり、洗えば洗うほど、かゆみが増して湿疹がひどくなってしまうのです。
正しいお手入れと過剰な衛生習慣を改善
肛門そう痒症の人のおしりは、出口の便秘に加え、洗いすぎや過剰なケアで皮脂膜がなくなり、皮膚のバリア機能が低下しています。そのため、治療ではできるだけ皮膚に刺激を与えないように注意します。
まずは下のような「正しいおしりのお手入れ」法による衛生習慣の改善をおこないます。塗り薬によって一時的に症状が改善しても、出残り便があると、再発の確率が高いからです。
塗り薬は、湿疹がひどい場合はステロイドを用いますが、軽症の場合は「正しいおしりのお手入れ」の実行とワセリンや軟膏をぬるだけでも軽快します。
正しいおしりのお手入れ
正しいおしりのお手入れ法で、おしりのトラブルを予防、改善しよう。
<洗い方>
×温水洗浄便座を使わない
肛門を刺激しないためにも温水洗浄便座は使わずに、紙で軽く拭くだけにする。
×入浴時の石けん洗浄は禁止
入浴時に石けんやボディーソープをつけておしりを洗わない。
×おしりにシャワーを直撃させない
肛門にシャワーを直接当てたり、手でこすったりしない。
<拭き方>
×3回より多くは拭かない
排便後の拭き取りは3回まで。それでも紙が汚れるようなら「座浴」がおすすめ。
×おしり拭きやウエットティッシュなどを使わない
市販されているおしりのケア用品は、かぶれの原因となるので使わない。
×消毒しない
アルコールなどの強い刺激はかゆみだけでなく、ヒリヒリとした痛みの原因にも。