脳神経外科医が教える「特上睡眠」のための日中の過ごし方。1日5分の「ぼんやりタイム」も効果あり!

「なかなか寝付けない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」「ある程度の睡眠時間は確保しているのに、起きた時にすっきりしない」...など、日々の睡眠にお悩みの方も多いのでは。今回は睡眠の質を上げるための暮らし方のヒントをご紹介します。熟睡の習慣のカギを握る「メラトニン」といった神経伝達物質をコントロールする方法とは? 脳神経外科医・医学博士の奥村 歩(おくむら・あゆみ)先生にお話をうかがいました。

この記事は紙&WEBマガジン『毎日が発見』2024年10月号に掲載の情報です。

【前回】腸活は極上睡眠にも効果あり!「脳と体を若返らせる睡眠」につながる食生活のヒント9

日々の暮らし方でも睡眠の質が上がります

熟睡のためには、太陽の動きと共に暮らしていた祖先の生活リズムが理想的。昼は活動的に過ごして覚醒系の神経伝達物質を増やすと、夜はオレキシンが抑制され、眠れるように。

ぐっすり眠るための1日の過ごし方

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<ポイント1>体内時計をつかさどるメラトニン

「メラトニン」は、オレキシンと相互に作用する脳内物質の一つ。体内時計に働きかけて覚醒と睡眠のスイッチを切り替え、自然な眠りへ導く作用を持ちます。朝日を浴びると分泌が止まり、約14~16時間後に再び分泌され、眠りのサイクルを作っていますが、高齢になると分泌量が減り不眠の原因に。

<ポイント2>季節によって1時間程度の違いはOK

奥村先生によると、1日のスケジュールは季節により1時間ほど前後してもよいそうです。欧米のサマータイムのように、夜明けが早い夏は1時間早め、早朝はまだ暗い冬は1時間遅くしても。太陽の動きに合わせて活動することが大切ですが、個々の生活スタイルもあるので、無理せず行いましょう。

日中の活動

(1)誰かと一緒に過ごす
(2)運動は夕方までに
(3)1日5分は〝ぼんやりタイム″

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太陽を浴びながら生活リズムを保ち、脳や体に刺激を与えて日中の覚醒を維持することが重要。散歩などの身体的活動の他、他者と触れ合って脳を活性化させましょう。例えば、1人で行うクロスワードパズルより、他者と楽しむトランプやダンス、ゴルフなどがおすすめ。運動は週3回、1回30分程度が目安。「1日5分ほど何もせず頭をぼーっとさせる時間を設けると、脳が休まります」

就寝前の過ごし方

(1)入浴は寝る2~3時間前に
(2)スマホとテレビはスイッチオフ
(3)就寝時刻にとらわれ過ぎない

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「体の深部体温が下がるとオレキシンが抑制され、スムーズな入眠に。寝る2~3時間前に入浴すると、布団に入る頃にちょうどよく深部体温が下がります」。また、夜間に強い光を浴びるとメラトニンの分泌が抑えられるため、ベッドでのスマホ操作などは厳禁。就寝時刻はある程度の規則を保っていれば、頑なに守らなくても多少の前後はOK。自分のリズムで寝ることが大切です。

 

<教えてくれた人>

おくむらメモリークリニック理事長
奥村 歩(おくむら・あゆみ)先生

脳神経外科医、医学博士。米国・ノースカロライナ神経科学センターに留学後、岐阜大学附属病院 脳神経外科病棟 医長併任講師などを経て、2008年より現職。『スマホ脳・脳過労からあなたを救う 脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」』など著書多数。

※この記事は紙&WEBマガジン『毎日が発見』2024年10月号に掲載の情報です。

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