「忙しくて睡眠時間が取れない」「寝付けない」「朝起きたときに疲労感が取れない...」など、睡眠に対して悩みがある人も多いのでは? 最近では睡眠不足により「脳のごみ」がたまり、それがアルツハイマー型認知症につながるという研究も。今回は脳神経外科医の奥村歩先生に、「脳のごみ」を洗い流すためのポイントをおうかがいしました。
この記事は月刊誌『毎日が発見』2024年2月号に掲載の情報です。
【前回】アルツハイマー型認知症を防ぐ!脳の掃除につながる睡眠とは【脳神経外科医の奥村歩先生に教わる】
脳のごみを洗い流す
「熟睡」のための一日の過ごし方
<朝>
決まった時間に食事をする
朝、オレキシンを活性化させることは体を目覚めさせて活動モードに。
「決まった時間に食事をし、よく味わい、嚙んで食べることは、筋肉での糖代謝とオレキシンの活性化に役立ちます」と、奥村先生。
レプチンを増やすことも睡眠の改善に役立ちます。
肉だけでなく、卵、豆類など、動物性と植物性のたんぱく質をバランス良く摂ることでレプチンの分泌が促されます。
日の光を浴びる
朝起きてから太陽の光を浴びることは、夜に睡眠ホルモンであるメラトニンのスイッチを入れるためにとても大切なことです。
「日中、外に出て日光浴をするのがおすすめですが、外出がしんどいというときは、家の中で日光浴をするだけでもOK。手のひらや足の裏を、5〜10分程度、太陽に向けて当てるだけでも十分です」
<昼>
運動は夕方まで
夜に向けて、オレキシンを抑制することが熟睡には欠かせません。
「運動で体に刺激を与えると、オレキシンは覚醒モードになります。ですから、運動は明るい時間に行うのが基本。散歩や水泳、ヨガなど一定のリズムで行う運動をするとセロトニンが活性化されます。季節感を楽しんで歩けば、脳の疲れの解消にもなります」
活動量を増やす
昼間にしっかりと活動すると、ノルアドレナリンやセロトニン、ドーパミンの分泌が増えます。
「日中に覚醒の神経伝達物質が十分に活性化すると、夜に反対の作用(負のフィードバック)が働き、オレキシンを抑制するので、熟睡できるようになります」
日中はよく動き、他者と触れ合うなど、脳を活性化させましょう。