温熱、マッサージなどによる物理療法で、患部の血行を促進/坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、腰から足にかけて延びている坐骨神経が、さまざまな原因によって圧迫されたり、刺激されたりすることであらわれる、痛みやしびれなどの症状を指します。
坐骨神経痛の原因となる病気はいくつかあり、また、症状がよく似ていても坐骨神経痛ではない場合もあります。そこで、平和病院副院長で横浜脊椎脊髄病センター長の田村睦弘先生に症状の見極め方や治療方法、痛みを改善するセルフケアのやり方などを教えていただきました。

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温熱療法やマッサージで
血行を良くして痛みを改善

痛みが強いときは動きたくないものですが、痛みのために長期間体を動かさないでいると、筋肉が低下してきたり、関節が固くなったりします。理学療法の目的は痛みを取るだけではなく、このような痛みに伴う症状をやわらげ、生活の質を向上させることにあります。理学療法には、物理療法と運動療法がありますが、ここで物理療法について詳しくお話ししましょう。

物理療法の代表的なものが腰を温める「温熱療法」で、最も手軽に血行を改善できる治療法です。血行が良くなり、筋肉の緊張がやわらぐとともに、痛み物質の排出が促されます。患部に温めた温湿布を当てるホットパックや体の深部を温める超短波、マイクロ波、赤外線などがあります。自宅でできるセルフケアとして、ぬるめの湯にゆっくりとつかる入浴もおすすめ。お風呂上がりにストレッチを行うとさらに効果的です。

また、筋肉や靭帯のこわばりをやわらげる「マッサージ療法」も手軽に行える物理療法の一つ。こわばった筋肉や靭帯をもみほぐし、血行を良くします。治療としてマッサージを行う場合は、あん摩マッサージ指圧師という国家資格が必要なので、免許を受けているか確認して施術を受けましょう。

「温熱療法やマッサージ療法は、効果があれば積極的に行いたい治療方法です。しかし、痛みなどの症状が悪化することもあるので、そういった場合は医師に相談の上、問題があればすぐに中止してください」(田村先生)

専用の装具を使って行う牽引療法もあります。専用の装置で首や腰を引っ張り、腰椎の間隔を広げ、椎間板にかかる圧力を減じる治療法です。腰椎椎間板ヘルニアの場合は、骨盤にベルトをかけ、足の方向に引っ張る「骨盤牽引」を行います。牽引療法は、坐骨神経痛だけでなく、腰痛もある場合は有効だとされていますが、効果が確かでないという意見もあり、医師によっては行わない場合もあります。

物理療法と一言でいってもさまざまな治療法があります。施術を受ける際は必ず事前に治療内容を確認し、納得した上で受けるようにしましょう。物理療法では病気そのものを治すことはできませんが、体の安静を保ち、状態を整え、回復を促す効果があります。

 

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取材・文/笑(寳田真由美)

 

<教えてくれた人>

田村睦弘(たむら・むつひろ)先生

平和病院副院長・横浜脊椎脊脊髄病センター長、高月整形外科病院・脊椎センター長兼任。日本整形外科学会認定整形外科専門医。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医。『完全図解 坐骨神経痛のすべて 自分で治すプログラムつき』(主婦の友社)、『女性のつらい「坐骨神経痛」はこうして改善する!』(PHP研究所)など著書多数。

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