痛みの原因となる坐骨神経って、どこにあるの?/坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、腰から足にかけて延びている坐骨神経が、さまざまな原因によって圧迫されたり、刺激されたりすることであらわれる、痛みやしびれなどの症状を指します。
坐骨神経痛の原因となる病気はいくつかあり、また、症状がよく似ていても坐骨神経痛ではない場合もあります。そこで、平和病院副院長で横浜脊椎脊髄病センター長の田村睦弘先生に症状の見極め方や治療方法、痛みを改善するセルフケアのやり方などを教えていただきました。

前の記事「腰からお尻、下肢の痛み、しびれ。それ、坐骨神経痛かも!/坐骨神経痛(1)」はこちら。

腰から足先まで延びる人体の中で最も長い神経

坐骨神経が圧迫されるなど刺激を受けると、腰やお尻、太もも、ふくらはぎ、足の先などに、鋭い痛みを感じたり、ビリビリとしたしびれを感じるなどの症状が出ます。では、坐骨神経とは、体のどこにあるのでしょう? 

坐骨神経は、腰からお尻を通り、足先まで延びている、末梢神経の中で最も太く長い神経で、太さは鉛筆ほどあります。腰から延びた神経は、ひざの裏側で大きく二つに分かれます。一つは総腓骨(そうひこつ)神経といい、太ももの後ろ側からふくらはぎ、足の裏と足の指にかけての筋肉と皮膚を支配しています。もう一方は、脛骨(けいこつ)神経といい、太ももの下部の前側、すねの外側、足の甲と足の指にかけての筋肉と皮膚を支配しています。長い坐骨神経のどの部分に圧迫や刺激を受けるかによって、不調を感じる部位や症状は違ってきます。

●坐骨神経があらわれる部位
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坐骨神経は末梢神経の一つです。末梢神経とは、脳と脊髄からなる中枢神経と体の各部位とを結ぶ神経で、運動神経と知覚神経、自律神経の三つから構成されています。運動神経は、脳や脊髄から、体や内臓の筋肉の動きを指令するために信号を伝える役割を。知覚神経は、皮膚の感覚や筋肉・内臓の深部感覚、視野や聴覚などの感覚を中枢神経へと伝える働きを。そして自律神経は、内臓や血管などの働きを調整する役割を担っています。

末梢神経である坐骨神経は、脳から下肢へと指令を伝え、下肢で感じた感覚を情報として脳に伝えます。私たちが自由に下肢を動かしたり、痛みや熱の刺激を感じたりすることができるのは、坐骨神経が正常に働いているからなのです。

「坐骨神経痛とは、人体の中で最も長い神経が圧迫されることによって起こる痛みやしびれの症状で、検査をすれば、原因となる疾患が比較的見つかりやすいものです。痛みをやわらげようと、マッサージや鍼灸などのいわゆる代替療法を受けている人も珍しくありませんが、代替療法を受ける前に、坐骨神経痛の原因を明らかにしておくことが重要です。臀部(でんぶ)や下肢に痛みやしびれが出ていたら、すぐに整形外科を受診してください。また、臀部に慢性的な腫れや痛みを感じていたら、坐骨神経痛の初期症状です。一度、整形外科で相談してみるのがいいでしょう」(田村先生)。

 

取材・文/笑(寳田真由美) イラスト/添田あき

 

 

<教えてくれた人>

田村睦弘(たむら・むつひろ)先生

平和病院副院長・横浜脊椎脊脊髄病センター長、高月整形外科病院・脊椎センター長兼任。日本整形外科学会認定整形外科専門医。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医。『完全図解 坐骨神経痛のすべて 自分で治すプログラムつき』(主婦の友社)、『女性のつらい「坐骨神経痛」はこうして改善する!』(PHP研究所)など著書多数。

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