アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、改善法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第27回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんに「更年期のデリケートゾーンのかゆみ」についてお聞きしました。
こんにちは、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」で薬剤師として働いている、 清水みゆきです。
40代になってから、急にデリケートゾーンのかゆみを感じるようになった、陰部がヒリヒリするというお悩みをお持ちではありませんか?
それはもしかしたら更年期のせいかもしれません。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれており、この時期はホルモンバランスの影響でデリケートゾーンにかゆみが生じることが多くなります。
私が対応したお客様でも、閉経後から急にデリケートゾーンにひどいかゆみが出るようになった、とお困りの方がいらっしゃいました。
場所が場所だけに受診もためらわれて、かゆみとヒリヒリとした痛みで仕事にも集中できず、つらい思いをしていたそうです。
そんなKさん(52歳)が漢方でデリケートゾーンのかゆみを改善できた事例を通して、更年期の不調の改善方法をお伝えいたします。
1.更年期のデリケートゾーンのかゆみの原因とは?
更年期は、女性ホルモンが一番激しく変動する時期です。
40歳代後半から50歳代になると、女性のからだは、女性ホルモンのひとつのエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に減少します。
膣の粘液やおりものはエストロゲンの影響をうけるため、エストロゲンが減少すると、膣の自浄作用が弱まり、デリケートゾーンが乾燥しやすくなります。
そのため更年期には、デリケートゾーンにかゆみやかぶれが起きやすくなるのです。
また、更年期特有のほてりや多汗により、陰部が蒸れてかゆみを引き起こす可能性も考えられます。
漢方医学では、泌尿器系や、成長・発育・生殖を主り、からだを潤す機能をもつ<腎>が衰えると、陰部に潤いがなくなり、かゆみが生じると考えます。
更年期になると、この腎のはたらきが自然現象として衰えてきてしまいます。
また、体内に停滞した余分な水(水分)と熱が原因となり、陰部で炎症を引き起こし、かゆみが生じることもあります。
2.一生、薬を塗り続けるしかない? つらいデリケートゾーンのかゆみに悩む52歳女性
Kさん(52歳女性)のエピソードをご紹介します。
自動車メーカーの事務職で働くKさんは、54歳のご主人、専門学校1年生の長男、高校2年生の長女の四人家族です。
1年ほど前に閉経し、その頃から冷えや頻尿とともに肌の乾燥が気になるようになったそうです。
乾燥肌に対しては保湿剤などでケアしていたそうですが、デリケートゾーンのかゆみがひどく、悩みの種でした。
下着が触れるだけで陰部がヒリヒリし、掻きむしりたいほどの強烈なかゆみが起きていたそうです。
掻きたくても、人目が気になるため我慢するしかないと、お悩みでした。
「これまで、自分が敏感肌だと思うこともなく、肌トラブルもほとんどなかったんです。なのに、閉経を境に急に肌が敏感になって、乾燥も気になるようになってしまいました。とくに、デリケートゾーンのかゆみがひどくて...。トイレも近いので、その度に陰部がヒリヒリしてつらかったです。できるだけ掻かないようにして、毎日きれいに洗って清潔にしていましたが、かゆみはおさまりません。かゆみがつらいのでドラックストアで買ったデリケートゾーン用の塗り薬を塗ってしのいでいました。
激しいかゆみに襲われると仕事にも集中できなくなるので、職場のトイレで薬を塗ることも。薬を塗ればかゆみは若干ましになりますが、じきにまたかゆくなってしまいます。このまま一生、かゆみから解放されず、薬を塗る毎日が続くのかと思うと、しんどくてうんざりしていました」
場所が場所なだけに恥ずかしさもあって、皮膚科を受診するのも気がすすまなかったKさん。
偶然目にした女性誌の更年期の特集で、更年期になると乾燥しやすくなり、デリケートゾーンのかゆみが症状としてあらわれることもあると知ったそうです。
早速、女医がいる婦人科を探して受診したところ、塗り薬と共に漢方薬を処方されたとのことでした。
「先生がデリケートゾーンのかゆみだけでなく、頻尿や冷えなど、他に気になっていた不調についてもしっかり話を聞いてくださったので、とても安心しました。そして、『塗り薬だけでなく、漢方でからだ全体のバランスもととのえていきましょう』と、漢方薬も処方してくれました。
処方された漢方薬を飲みはじめたところ、まず腰回りや足の冷えがやわらぐ感じがして、かゆみも塗り薬ですぐにおさまりました。ただ『薬を塗るのをやめたらまたかゆくなるんだろうな』と思っていたのですが、先生の指示通りの期間を塗り続けた後には、薬を塗るのをやめてもかゆみは再発しませんでした! あんなにしつこくてつらいかゆみだったのに...。気付けば頻尿も改善していて、体調もよくなって嬉しいです。『我慢せずにもっと早く相談すればよかった』と、それだけがちょっと悔しいですね」
と、Kさんは元気な笑顔でお話してくださいました。
3.更年期のデリケートゾーンのかゆみは漢方で根本的に改善
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期の影響によるデリケートゾーンのかゆみかもしれません。
<これって更年期のデリケートゾーンのかゆみ? チェックリスト>
・以前より肌が敏感になった、刺激を感じやすくなった
・目の乾燥(ドライアイ)や口内の乾燥(ドライマウス)も気になる
・暑くもないのに大量の汗をかいたり、のぼせたりする
女性ホルモンのバランスの乱れには、さまざまな症状に効果と安全性が認められている医薬品の漢方薬が効果的です。
「できるだけからだに負担のない薬がいい」
「飲み続けても大丈夫な薬が欲しい」
そんな方にも漢方薬はおすすめです。
「皮膚のかゆみ」「湿疹」「皮膚の乾燥」など、女性ホルモンによるさまざまな症状に効果が認められている漢方薬はいくつもあります。
漢方は根本的な不調の改善と理想の健康を目的とした医学です。
これまで実に多くの人々のさまざまな症状を治してきました。
また漢方薬は、自然の草木や鉱物からできた生薬で作られています。
こうした自然のもつ力を上手に使うことは、私たちのからだの摂理に沿った、無理のないやさしい作用をもたらします。
とくに漢方薬は、もともとの体質だからとあきらめていたようなことや、検査では異常が見つからないような症状に、その力を発揮してくれます。
効果と安全性が認められている漢方医学を日常に取り入れ、不調の改善と健康的な生活を送りませんか?
また、食事の栄養バランスを意識したり、毎日運動を続けたりするのは難しいという場合でも、漢方薬なら自分の体質や症状に合うものを飲むだけなので、気軽に継続できるという点もメリットです。
今回Kさんが服用した漢方は「八味地黄丸(はちみじおうがん)」でした。
腎を補うことで腎の衰えを改善し、陰部に潤いをあたえてかゆみをやわらげる漢方薬です。冷えや頻尿、尿漏れなどにもよく使われます。
更年期のデリケートゾーンのかゆみの改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
<更年期のデリケートゾーンのかゆみにおすすめの漢方薬>
●尿の濁り、こしけ(おりもの)も気になる方:竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
下半身の湿熱をとり、陰部のかゆみをやわらげる漢方薬です。
●顔が赤い、のぼせやイライラ、高血圧も気になる方:黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
からだの過剰な熱を冷まし、のぼせや興奮と共にかゆみを和らげる漢方薬です。
ただ、どのような体質がその不調を招いたのかは人によって異なりますので、ご自身の状況に応じた漢方薬を選ぶことが大切です。
症状だけを見て漢方薬を選択すると、合っていない場合には副作用のリスクも高まります。
できるだけ漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談のうえで、ご購入ください。
自分の症状に効く漢方薬が知りたい。コスパ良く漢方を飲んでみたい。という方には、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」などの、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
4.更年期のデリケートゾーンのかゆみは一人で悩まないで!
「デリケートゾーンのかゆみがひどくて市販薬でも治らない」
「陰部がヒリヒリしてつらい」
気になるそのかゆみは、更年期が原因かもしれません。
相談しづらいデリケートゾーンのかゆみは、漢方でからだの内側からバランスを整えて改善していきましょう!