アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、改善法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第26回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんに「更年期の喉の違和感」についてお聞きしました。
こんにちは、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」で薬剤師として働いている、 清水みゆきです。
40代になってから、急に喉に違和感を感じるようになった、何かが喉につまった感じが続くなどのお悩みをお持ちではありませんか?
それはもしかしたら、更年期のせいかもしれません。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれており、この時期はホルモンバランスの影響で、喉のつまりやつかえ感などの違和感がでることがあります。
私が対応した、更年期世代の女性のお客様にも、喉のつまりや違和感が続いてスッキリしないとお悩みの方がいらっしゃいました。
長引く喉の違和感がストレスになり、精神的にも不安定になってしまい、睡眠も十分にとれなくなってつらい毎日だったそうです。
そんなHさん(48歳)が漢方で喉の違和感を改善できた事例を通して、更年期の不調の改善方法をお伝えいたします。
1.更年期の喉の違和感の原因とは?
更年期は、女性ホルモンが一番激しく変動する時期です。
40歳後半から50歳代になると、女性のからだは、女性ホルモンのひとつのエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に減少します。
このホルモンバランスの乱れが自律神経を不安定な状態にするため、喉の粘膜が過敏に反応したり、食道付近の筋肉が過度に収縮して、喉の詰まり感や違和感が生じると考えられています。
また、自律神経の乱れが原因の喉の違和感は、喉に球が詰まった感じがするという意味で『ヒステリー球』といわれることもあります。
漢方医学では、喉の詰まりなどの違和感は気(生命エネルギー)の滞りが原因と考えます。
まるで喉に梅の種(梅核)がある感じがするという意味で『梅核気(ばいかくき)』といわれることもあります。
2.何かがずっと喉に詰まっている...48歳主婦を悩ます更年期の喉の違和感
48歳女性、Hさんのエピソードをご紹介します。
Hさんは、同じ年のご主人と高校3年生の息子さんの三人暮らしで、市役所にお勤めです。
1年ほど前、まだコロナ禍に入る前のこと。
月経が2〜3ヵ月に1回に減っており、そろそろ閉経かもと感じ始めてから、疲れやすくなり、精神的に不安定になることが増えたそうです。
仕事や家事で忙しいせいだと思いそのままにしていたそうですが、さらに、喉がつまった感じが続き、喉に痛みはないがつかえ感があり、咳払いばかりしているとお悩みでした。
「仕事に家事にとただでさえ忙しく、毎日がいっぱいいっぱいだったのですが、そこに子供の大学受験と親の入院が重なってしまったんです。私の負担がさらに増えて、ストレスのせいか精神的にもまいってしまいました。ちょうどその頃から、喉の違和感も悪化しはじめました。喉に食べ物がひっかかった感じがするので食事の時間が苦痛ですし、咳が続くのも気になるので、忙しい中なんとか時間を工面して病院も受診しました。
ですが、検査の結果は異常なし。他に症状もなく、風邪でもないので治療はしなくて大丈夫と医師に言われてしまいました。『病気じゃないんだし、そのうち治るだろう』と自分に言い聞かせていたのですが、喉のつまりはなかなか改善しません。病院に行っても原因も治療法もわからないし、長引く喉の違和感がストレスになって、ますます精神的に不安定になり、夜もぐっすり眠れなくなってしまいました。毎日が憂鬱でつらくて、あの頃は本当に私の心もからだも限界でした」
喉の違和感の解決法がわからず途方に暮れていたHさんですが、息子さんから『ネットで調べてみたら、母さんと同じような悩みの女性は多いみたいだよ』と、ある病院のHPを見せてもらったそうです。その病院のHPには、喉のつまりや違和感は更年期にもみられる不調であることと、漢方の著効例が書いてありました。『もしかしたら私も治るかもしれない!』と藁にもすがる思いで、Hさんは自宅近くの漢方クリニックを探し、さっそく受診してみました。
「漢方薬といえば苦いというイメージがありましたが、私が処方された漢方薬は苦さは気にならず、飲むと気持ちが落ち着く感じがしました。そのまま服用を続け、1か月後には喉のつまりや不安感も気にならなくなってきました。喉の違和感が改善すると、夜もぐっすり眠れるようになり、睡眠の質が良くなったのか、前よりも疲れにくくなったような気がします。
漢方薬のおかげで心もからだも元気になり、息子の受験や親の入院のサポートも続けることができました。受験で大変だっただろうに、私のことを心配してネット検索してくれていた息子には感謝の気持ちでいっぱいです」
やさしい笑顔でHさんはお話してくださいました。
3.更年期の喉の違和感は漢方で根本的に改善
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期の影響による喉の違和感かもしれません。
<これって更年期の喉の違和感?チェックリスト>
・動悸も気になる
・強い不安感がある
・暑くもないのに大量の汗をかいたり、のぼせたりする
ただし、逆流性食道炎や喉の粘膜の炎症を引き起こす病気が原因のこともあります。
症状が長引く、悪化する場合は一度、内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
女性ホルモンのバランスの乱れには、さまざまな症状に効果と安全性が認められている医薬品の漢方薬が効果的です!
「喉の違和感」「ストレス」「冷え」など、さまざまな症状に効果が認められている漢方薬はいくつもあります。
漢方薬は、自然の草木や鉱物からできた生薬で作られています。
こうした自然のもつ力を上手に使うことは、私たちのからだの摂理に沿った無理のないやさしい作用をもたらします。
「できるだけからだに負担のない薬がいい」
「飲み続けても大丈夫な薬が欲しい」
そんな方にも漢方薬はおすすめです。
とくに漢方薬は、もともとの体質だからとあきらめていたような症状や、検査では異常が見つからないような症状に、その力を発揮してくれます。
効果と安全性が認められている漢方医学を日常に取り入れ、不調の改善と健康的な生活を送りませんか?
また、食事の栄養バランスを意識したり、毎日運動を続けたりするのは難しいという場合でも、漢方薬なら自分の体質や症状に合うものを飲むだけなので、気軽に継続できるという点もメリットです。
今回Hさんが服用した漢方は「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」でした。
半夏厚朴湯は、滞った気の巡りをよくする漢方薬です。
喉の詰まりやつかえなどの喉や食道部の異物感や咳、不安神経症、不眠などを改善します。
更年期の喉の違和感の改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
<更年期の喉の違和感におすすめの漢方薬>
●イライラや不安、咳も気になる方:柴朴湯(さいぼくとう)
気の滞りを改善する半夏厚朴湯と自律神経系や体の免疫機能を調整する小柴胡湯を合わせた処方で、喉の違和感を和らげます。
●ストレスや動悸、のぼせも気になる方:柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
気の滞りを改善し、喉の違和感を和らげる漢方薬です。
ただ、どのような体質がその不調を招いたのかは人によって異なりますので、ご自身の状況に応じた漢方薬を選ぶことが大切です。
症状だけを見て漢方薬を選択すると、合っていない場合には副作用のリスクも高まります。
できるだけ漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談の上で、ご購入ください。
自分の症状に効く漢方薬が知りたい。コスパ良く漢方を飲んでみたい。という方には、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」などの、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
4.更年期の喉の詰まりなどの違和感をスッキリ改善しよう!
「喉がつまった感じが続いて食べ物がうまく飲み込めない」
「喉のつかえ感や吐き気がする」
その不快な喉の違和感は、更年期が原因かもしれません。
漢方でからだの内側から喉の詰まりやつかえを改善して、更年期も元気な笑顔で過ごしていきましょう!