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不安で、なんだか心が沈むよ.../医師に聞いた「更年期、こんな時どうすれば?」(1)[PR]

日々の暮らしの中で、なんだか気分や体調がスッキリしない...というあなた、「もうすぐ更年期?」かもしれません。更年期は閉経をはさんだ前後約10年間のこと。それまでよりも疲れやすくなったり、気分が落ち込んだり、人によってさまざまな症状がみられます。でも、なかなかハッキリしないし、どう対処していいのか分かりませんよね。そこで、あなたに寄り添ってくれるお医者様に「こんな時どうすればいいの?」をお尋ねする連載がスタート! 第1回は、医学博士で常喜医院院長の常喜眞理先生に「不安感」についてお聞きしました。

特集「更年期に備えませんか? ようやく、わたしの時間」について(別ページに移動します)

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心がザワザワして落ち着かない...

さっそくですが常喜先生、更年期を迎えた女性の症状に「不安感」があると思いますが、先生の患者さんにもそういった訴えは多いのでしょうか?

常喜先生(以下、常喜):とても多いですね。「なんだか分わからないザワザワ感」「脈が速いわけではないのにドックンドックンとした鼓動を感じる」「胸の詰まり感」といった症状のほか、「頭がもやもやする」「頭がチリチリする」などとおっしゃる方もいます。

先生の患者さんで、特に印象に残っている方はいらっしゃいますか?

常喜:人前でお話される職業のAさんという方がいるんです。更年期に差し掛かるころに、いつものように話をしようとすると、最初はなんだかドキドキするな...と感じて、そのうちしゃべりづらくなってしまったそうなんです。

そういった症状って、ある日突然起こるものなんですか?

常喜:わりと突然ですね。思い返すと、数カ月前からなんとなく思い当たることはあったけれども...という感じ。それが、何かしらのストレスがきっかけとなって、強い症状につながってしまうようです。Aさんは、特にいつもいるメンバーと違う人と対面するときになると、一気に汗がダラダラと出て、うまくしゃべれず本当に困ったそうです。

なんだか他人事じゃない気がします(汗)。

常喜:更年期の不快な症状に悩む人は、自分の身体に対する自信がなくなってしまっている状態なので、以前は「大丈夫」と思えたことが、「私、どうしたんだろう?」と、「不安が不安を呼んでしまう」ようです。

他人の目も気になりますもんね。

常喜:そう! 年齢的に髪のボリュームが減っていたりすると、汗で濡れると「自分の頭髪の状態」が気になって、さらに大量の汗をかいてしまう...という「不安のスパイラル」が起こってしまう。そうすると、さらに「うまくしゃべれない」という状態が追い打ちをかけて仕事のパフォーマンスが落ちてしまい、気持ちが追い詰められちゃうんですよね。

不安感の正体は、自律神経にある?

でも先生、多少体調を崩したり、不安なことがあったりは20代や30代の頃にもあったと思うのですが、なぜいわゆる更年期になると、こういった「不安感」の症状がひどくなるのでしょう?

常喜:更年期特有の不安感は、特に明確な理由があるわけではないけれど、いまこの時が不安で仕方ないという人が多いようです。例えば「これまでは普通に眠れていたのに、なんだか眠れない」「のどの不調がなんだか治らない」「しょっちゅう風邪をひく」といった「ちょっとした体の不調」に対して、必要以上に不安になってしまう。

それは分かる気がします...。

常喜:でも、そもそも若い頃とは体力も違うでしょう? 不安なことばかり考えるよりも、自分自身を「いたわってあげる」ことの方が大切なんです。

自分をいたわるって意外とできてないかも...(汗)。

常喜:女性の身体は更年期を迎える頃になると、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が始まります。女性ホルモンがたっぷりとあった頃はまさに"人生の春"といったイメージで、心も身体も怖いものなんてありません。ですが、女性ホルモンが変化してくると「何ともいえない不安感」が襲ってきます。これは、ホルモン分泌の司令塔である脳の視床下部がストレスを受け、自律神経が乱れてしまうために起こるんです。

ど、どうなっちゃうんですか?

常喜:不安感が強くなるだけでなく、よく眠れなくなり、疲れやすくなって......。先ほどのAさんの場合と同じように、さらに外部的な要因でのストレスが重なると、「私ってなぜこんなに不安なんだろう」と理由を探し始めて、「不安のスパイラル」にハマっちゃう。そもそも、心身ともに不調が重なっても、無理のないことなんです。

ああ...、思い浮かべるだけでシンドイです...。でも、それなら自律神経を整えることができれば不調は少し和らぐってことですか? 

常喜:その通り! 自律神経には、仕事中や活動中、ストレスを感じているときに主に働く「交感神経」と、睡眠中やリラックスモードのときに働く「副交感神経」があります。更年期の不調は、女性ホルモンの低下によって視床下部がストレスを受けている状態ですから、交感神経に針が傾いた状態。ですから、意識的に副交感神経のスイッチを入れ、そのバランスをとってあげるといいわけです。

温かい飲み物でひと息入れて、副交感神経スイッチをオン!

なんだか希望が見えてきました! ところで、副交感神経を刺激するエクササイズがあるそうですが、そういったことを習慣化するのも更年期の対策に役立つのでしょうか?

常喜:「副交感神経エクササイズ」は医師の教科書にも記載されているものなのですが、自分の身体の内部に意識を向けて、副交感神経を刺激するというものです。やってみて、心地よいと思う方はとり入れるといいですね。ただ、気持ち的に余裕をもってやらないとできないので、時間のあるときに試してみるぐらいの気軽さでかまいません。

<副交感神経エクササイズのやり方>

(1) 目をつぶり、体を大の字にして仰向けに横たわる。
(2) ゆっくり深呼吸を繰り返し、できるだけ呼吸することだけに意識を集中する。
(3) 落ち着いてきたら、深呼吸しながら右手の指先に意識を集中する。
(4) 右手に温かさを感じたら、意識を左手の指先に向ける。
(5) 同じように右足、左足を意識していく。
※さらに右手からもう2~3回繰り返す。

もっと手軽な方法もあるのでしょうか?

常喜:身体の調子は悪いけれど、仕事や家事、子育て、介護など何かと忙しく、自分のペースで生活ができないという方が多い年代ですから、いろいろなことを行うのは大変です。ですから、10分でもいいので、温かい飲み物でリラックスする時間を作ってください。

温かい飲み物ですか? それならできそうです。

常喜:実は飲み物を飲むときって、副交感神経が働いていないとむせてしまって飲めないのですよ。ですから、ノンカフェインのフレーバーティーや薄めのお茶など、できれば温かいものをゆっくり飲むと副交感神経が優位になって、体も温まるのでいいですね。少し甘いものを加えてあげると、ごほうび感も出て、よりリラックスできます。

甘いものも摂っていいのですね。それはうれしい! 

常喜:甘いものを摂った後には、歯は磨いてほしいですけれどね。特に寝る前は...(笑)。

はい、分かりました! ところで、「体を温める」のもいいのでしょうか?

常喜:いいところに気付きましたね。ですから、お風呂でお湯につかるのもいいのですが、最近はシャワーで済ませる人も多かったり、小さなお子さんがいて自分の時間がゆっくりとれないという人も少なくないので、できる範囲でいいと思います。

手とか、足とか...?

実は自律神経系の実働部分は、背骨の近くにあります。そのため、背骨を冷やさないこともポイント。私自身も「更年期のさまざまな不調」と長い間付き合っていますが、その対処法の一つが体幹を冷やさないことなんです。

背骨...体幹を冷やさないことが大切なんですね!

常喜:私の場合、ほてりとは違うのですが、急に暑くなったり、寒くなったりといった症状が数分おきに現れることがあります。「ちょうどいい」という状態がない感じ。また、関節の痛みもあります。これらには、体幹を冷やさないことが重要で、寝るときにはハイネックを着て、首回りを冷やさないようにしています。首回りにタオルを巻くのもいいですよ。それから、肩甲骨の間と腰回りを温めると体が緩んで痛みもラクになります。みなさんも、「体幹を冷やさない」ということをぜひ、覚えておいてくださいね。

取材・文/寳田真由美(オフィス・エム)

<教えてくれた先生>

常喜眞理(じょうき・まり)

1963年東京生まれ。家庭医、医学博士。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医、人間ドック健診専門医。院長を務める常喜医院(内科、皮膚科)での診療のほか、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として、健康診断(人間ドック)の内科診察を務め、婦人科や乳腺外科の診断も担当。長年、大手企業での職場におけるメンタルヘルスサポートの産業医としても活躍。著書に『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)など。

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