アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、改善法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第24回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんに「更年期の腰痛」についてお聞きしました。
こんにちは、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」で薬剤師として働いている、 清水みゆきです。
40代になってから、急に腰痛がひどくなった、腰の痛みが続く、などのお悩みをお持ちではありませんか?
それはもしかしたら更年期のせいかもしれません。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれており、この時期はホルモンバランスの影響で腰痛が悪化することがあります。
私が対応したお客様でも、閉経後に腰痛が悪化してお困りの方がいらっしゃいました。激しい腰の痛みと再発の不安で、仕事も趣味も続けることができなくなり大変な思いをしたそうです。
そんなTさん(53歳)が漢方で腰痛を改善できた事例を通して、更年期の不調の改善方法をお伝えいたします。
1.更年期の腰痛の原因とは?
更年期は、女性ホルモンが一番激しく変動する時期です。
40歳後半から50歳代になると、女性のからだは、女性ホルモンのひとつのエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に減少します。
このホルモンバランスの乱れが自律神経を不安定な状態にするため、血液循環が悪くなります。
また、エストロゲン減少は、背骨や手足の関節を支える筋肉量の低下や関節の軟骨不足を生じさせ、骨粗鬆症の原因となる骨密度の低下を招きます。
さらに、加齢による筋力の低下も加わり更年期の腰痛を引き起こします。
漢方医学では、気(生命エネルギー)や血(血液)が滞ると、筋肉や関節、骨などに気・血が行き渡らなくなるため腰痛が生じると考えます。
また、泌尿器系、成長・発育・生殖を主る機能をもつ「腎」の働きの低下や冷えも腰痛を引き起こす原因となります。
2.腰に爆弾を抱えているよう・・・53歳主婦を悩ます更年期の腰痛
53歳女性Tさんのエピソードをご紹介します。
Tさんは、ご主人(53歳)と高校1年生の息子さんの三人暮らしで、パートで介護士として働いていらっしゃいます。
2年ほど前に閉経を迎え、その頃から腰の痛みや便秘が悪化し、体重増加やイライラも気になるようになってきたそうです。
ダイエットとリフレッシュをかねて週1回体操教室に通っていましたが、腰痛が悪化して仕事をこなすだけで精一杯となり、最近では教室は休みがち。楽しみだった教室の友人とのおしゃべりもできなくなって気が滅入る毎日をお過ごしでした。
やっと腰の痛みが落ち着いたので久しぶりに教室に参加したところ、大変な事態が起きてしまったということでした。
「毎週、体操教室に行くのを楽しみにしていたのですが、腰痛が悪化してからというもの、なかなか参加できなくなってしまったんです。ようやく痛みが落ち着いたので、先日久しぶりに参加したのですが・・・教室が終わった後にみんなでおしゃべりをしていて、帰ろうとしたところ、腰に激痛がはしり、椅子から立ち上がれなくなってしまったんです。
友人に抱えられて車で送ってもらい、なんとか家に着いたものの、その日から数日間ほど動けなくなってしまいました。痛みもつらかったのですが、仕事も休むことになって職場に迷惑をかけてしまいましたし、家事もできないので家の中も散らかるしで大変でした。やっと動けるようになって整形外科を受診しましたが、検査では異常なし。原因はわからず、湿布と痛み止め薬を処方されただけでした。
『また腰痛が悪化したらどうしよう』
『今度、痛みがひどくなったら、そのまま寝たきりになってしまうかもしれない』
それからは、また腰痛が悪化するのが怖くなってしまい、仕事も一時休職し、体操教室も退会することにしました。重いものを持ちたくないので毎日こまめにスーパーに買い物に行っていますが、それ以外はずっと家にこもる日々です。そのせいか、ストレスがたまって、些細なことでイライラしたり、家族に文句を言ったりしてしまいます。
『最近一緒にいると疲れるよ。今は腰痛も落ち着いているなら大丈夫だろ、神経質過ぎるんだよ!』と主人にも言われてしまいました。でも、腰痛が悪化することへの不安、さらに仕事もできない、家にこもりっぱなしという状況でイライラが溜まって、私の心もからだも限界でした」
心配して電話をくれた体操教室の友人に相談したところ、「更年期障害で腰や肩に痛みが出ることもあるらしいよ。更年期外来に行ってみたら?」と勧められたそうです。
なんとかして腰痛を根本的に改善したいTさんは、病院を探して早速受診してみました。
「更年期外来のあるクリニックを受診したところ、医師からは『更年期や加齢が原因で腰痛が悪化したのだろう』と言われました。『痛みを抑えるだけでなく、今後腰痛が起きないように根本的に治したい』と相談したところ、漢方薬が処方されました。漢方薬を服用すると、まず、すぐに便通がよくなりました。と同時に、不安やイライラを感じることも少なくなってきました。不思議ですね。
そのまま服用を続けて3か月後には腰痛もかなり改善しました。今では、腰痛ベルトをして姿勢に気をつけながら仕事にも復帰し、体操教室も再開しています。元気になった私の姿に家族も同僚も友人も喜んでくれています。介護という仕事柄、どうしても腰には負担がかかります。職業病だからしょうがないと思っていましたが、諦めなくてよかったです」
Tさんは明るい笑顔でお話してくださいました。
3.更年期の腰痛は漢方で根本的に改善
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期の影響による腰痛かもしれません。
<これって更年期の腰痛?チェックリスト>
・肩こりや背中の痛みが急に出るようになった
・冷えが悪化している
・暑くもないのに大量の汗をかいたり、のぼせたりする
ただし、下腹部痛や不正出血などをともなう腰痛の場合は、原因を自己判断せずに婦人科などを受診して検査してもらいましょう。
女性ホルモンのバランスの乱れには、さまざまな症状に効果と安全性が認められている医薬品の漢方薬が効果的です!
「腰痛」「冷え」「しびれ」「関節痛」など、さまざまな症状に効果が認められている漢方薬はいくつもあります。
漢方薬は、自然の草木や鉱物からできた生薬で作られています。
こうした自然のもつ力を上手に使うことは、私たちのからだの摂理に沿った無理のないやさしい作用をもたらします。
「できるだけからだに負担のない薬がいい」
「飲み続けても大丈夫な薬が欲しい」
そんな方にも漢方薬はおすすめです。
とくに漢方薬は、もともとの体質だからとあきらめていたような症状や、検査では異常が見つからないような症状に、その力を発揮してくれます。
漢方医学を日常に取り入れ、不調の改善と健康的な生活を送りませんか?
また、食事の栄養バランスを意識したり、毎日運動を続けたりするのは難しいという場合でも、漢方薬なら自分の体質や症状に合うものを飲むだけなので、気軽に継続できるという点もメリットです。
今回Tさんが服用した漢方は「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」でした。
桃核承気湯は、滞った血の巡りをよくする漢方薬です。
ホルモンバランスを整え、腰痛や月経の不調、イライラ、便秘などを改善します。
更年期の腰痛の改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
<更年期の腰痛におすすめの漢方薬>
●疲れやすい、冷え、頻尿も気になる方:八味地黄丸(はちみじおうがん)
からだをあたためて腎を補うことで腎の衰えや冷えを改善し、腰痛を和らげる漢方薬です。
●冷え、関節痛、頭痛も気になる方:五積散(ごしゃくさん)
気、血、水、食(飲食物)、寒(冷え)の滞りを改善し、腰痛をやわらげる漢方薬です。
ただ、どのような体質がその不調を招いたのかは人によって異なりますので、ご自身の状況に応じた漢方薬を選ぶことが大切です。
症状だけを見て漢方薬を選択すると、合っていない場合には副作用のリスクも高まります。
できるだけ漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談の上で、ご購入ください。
自分の症状に効く漢方薬が知りたい。コスパ良く漢方を飲んでみたい。という方には、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」などの、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
4.更年期の腰痛は我慢せずに漢方で改善しよう!
「最近、腰痛が悪化している」
「腰が痛くて前にかがむとつらい」
続くとつらい腰の痛みは、更年期が原因かもしれません。
痛みを我慢したり、鎮痛薬や湿布で痛みをやり過ごしたりするのはやめませんか?
漢方でからだの内側から腰痛を改善して更年期も元気な笑顔で過ごしていきましょう!