食べているのに低栄養? たんぱく質不足を防ぐには卵がおすすめです

pixta_17680105_S.jpg健康長寿の3つの柱は「栄養」「運動」「社会参加」。どれも欠かすことのできない大切な要素ですが、中でも「栄養」は日々の暮らしのベースになる命の源です。そこで、高齢者の食生活で気をつけるべきことを、キユーピー株式会社の高齢者食育推進部の植村和之さんと、研究開発本部の卵の栄養と健康に詳しい西山 博さんに伺いました。

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健康長寿に必要な食生活とは? まずは必要な栄養素をおさらい

私たちは食べ物から栄養をとることで、体をつくり、調子を整え、エネルギー(熱や力)を保って生命を維持しています。その代表的な栄養素が糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素。整腸作用など体の中で有用な働きをする食物繊維を加えて6大栄養素とされることもあります。

「どの栄養素もすべての年代にわたって必要で、大切なのはこれらをバランスよく摂取することです」と高齢者食育推進部の植村和之さん。

「なぜなら、栄養素には体内に吸収されるときに必要になる成分や要素があり、複合的に働くからです。例えばビタミンAは油と一緒にとれば吸収率が上がり、カルシウムはビタミンDや日光、運動により吸収率が上がります。また、たんぱく質は消化吸収においてビタミンB6が必要になります。何かひとつだけを多量に摂取しても活用されないので、いろいろな食品を摂ることがバランスのよい食事、バランスのよい栄養摂取につながるのです」(植村さん)。

妊婦や授乳婦は多くとることを推奨されている栄養素もありますが、基本的には生命維持に必要な栄養素に性別・年代別で特別な違いはなく、体重や日常生活の強度によって異なります。

  

筋肉の少ない高齢者は、たんぱく質を意識して多く摂る必要がある!

65歳以上の高齢期の食生活で気をつけたいのは、「食が細くなるため、『低栄養』になりやすい点です」と植村さん。低栄養とは、文字どおり「栄養が少ない、足りていない状態」のこと。とくにエネルギーやたんぱく質が足りない状況をいいます。「食事をしているのだから栄養は摂れている」と思うかもしれませんが、食べる量や食べるものによっては低栄養になっていることもあるのだとか。

「低栄養状態になると、筋肉が減り筋力が低下して疲れやすくなってきます。そうなると体をあまり動かさなくなるので、さらに筋力が低下したり、食欲がわかずに食べる量が減ったりして悪循環に陥りやすくなります。そうして低栄養状態が長期にわたると、『フレイル』、『サルコペニア』、『ロコモティブシンドローム』と呼ばれる身体機能低下の引き金になることがあります」(植村さん)。

「フレイル」とは、健康な体を維持する機能やストレスに対する力が低下した、虚弱・脆弱な状態のこと。疲れやすくなったり、歩きにくくなったりします。「サルコペニア」とは、筋肉量減弱症ともいい、筋肉量減少・筋力低下により、体全体の機能が低下する状態です。「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」は、筋肉や骨など運動器の障害により日常生活に支障が出る状態で、変形性膝関節症や骨粗しょう症などがあり、要介護になるリスクが高まります。

「"若い時ほど活動しないから食事は少なくていい" "肉類や油物は控えて粗食にする"などと考えがちですが、それは間違いです。高齢者こそ、たんぱく質とエネルギーを日々の食事からしっかり摂ることが重要になってきます」と植村さん。

 

高齢期の低栄養は「卵」で防ごう

では、高齢期の低栄養を防ぐには、何を食べればいいのでしょう?
「卵がおすすめです。加熱してもやわらかくて食べやすく、調理が簡単なうえさまざまな料理に使えます。どこでも入手しやすいので、ふだんの食事に手軽に取り入れられるのもうれしいところ。特にたんぱく質の体内利用率は高く、量を食べたくても食べられなくなってくる高齢期にはぴったりの優秀食材です」と研究開発本部の西山 博さん。


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出典元:キユーピー(株)「健康長寿の3つの柱」

また、広報部の森田里佳さんはバランスよく栄養をとるための具体的な方法として「10食品群チェックシート」を紹介してくれました。これは主食以外のおかずを10種類の食品群に分け、1日の食事の中でバランスよく摂れているかどうかをチェックできる、というもの。10個に近いほど、バランスよく食べていることになります。

・肉類
・卵
・牛乳
・油脂類
・魚介類
・大豆・大豆製品
・緑黄色野菜
・いも類
・果物
・海藻類

ここにも西山さんのおすすめ食材「卵」がしっかり挙げられていることに注目です! パソコンやスマホで「10食品群チェックシート」で検索すれば、ダウンロードできるシートや管理までできるアプリが見つかるので、ぜひ上手に利用して低栄養に陥らないようにしましょう。

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中年期から、10年後の自分を考えて食生活を見直す

高齢期は誰しも突然訪れるものではありません。中年期の食生活が反映した体で、高齢期を迎えます。「高齢期になってから食生活や生活習慣を変えることは難しく、消化吸収能力も落ちてきてしまうため、その前の時点、つまり中年期から体をつくることが大事になります」と植村さん。

40代から50代の中年期は、食べすぎ・飲みすぎ・運動不足による「メタボリックシンドローム」や、そこから広がっていく動脈硬化、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の予防と改善に努めたい時期です。

「中年期は、高齢期と違って『摂りすぎ』に注意が必要です。特に塩分・エネルギー・脂質の摂取量をコントロールし、摂りすぎないようにすることが大切。野菜や果物を積極的に摂ることも心がけてください」(植村さん)。

こう語る植村さんも中年期。実はお連れ合いに注意され、3年ほど前からダイエットを意識し始めたそうです。心がけたのは、夕食のご飯を減らし、スポーツジムに行くこと。「無理に食事制限しても続かないと思ったので、自分のレベルに合わせて食事の内容を見直したのですが、毎年3~4kg体重が減ったので、毎日の食事の影響は大きいと実感しています」。

また、広報部の森田さんも「私も10年後の自分のために、と卵とサラダを食べること、運動することを心がけています。バランスのよい食事・栄養をとることの大切さを日々実感しています」といいます。

高齢期の食生活も心配ですが、まずはその前の中年期で健康によい食生活を意識しなければ始まりません。健康長寿を目指すなら、10年後の自分を考えて中年期から食べ物や生活習慣を見直し、変えるという意識をもってみませんか?

 

次の記事「「卵は1日1個まで」は過去の話!? 卵の栄養をおさらいしよう(2)」はこちら。

 

取材・文/岸田直子


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植村和之さん(写真右)

キユーピー株式会社 高齢者食育推進部 学術教育チーム チームリーダー。入社以来、市販のマヨネーズの営業に携わり、グループの企画や戦略提案に貢献。その実績から、昨年の高齢者食育推進部立ち上げ時からリーダーとして活躍している。


西山 博さん

ーピー株式会社 研究開発本部 技術ソリューション研究所 評価・解析研究部 チームリーダー。マヨネーズをはじめ、ファインケミカルや野菜などキピーが扱う商品全般の健康・栄養関係の学術分野を担当。

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