<この体験記を書いた人>
ペンネーム:向日葵
性別:女
年齢:51
プロフィール:12歳から24歳の3人の子ども&脳梗塞の夫と暮らす、ワーキングマザーです。
OLをしている長女の異変に気付いたのは、11月に入ったころでした。
いつもはほぼ定時で18時くらいには家に帰ってきていたのに、この頃は私が夜勤の仕事に出かける21時になっても帰ってこないことが増えてきました。
週末には、「今日は帰らないから」といってどこかへ泊ってくることも。
行き先を尋ねると「うん、仕事関係で......」と言葉を濁します。
「もしかして、彼氏ができたの?」と思い娘に直接聞いてみても、「彼氏なんていないよー」と笑うばかり。
事務職で残業もほとんとなかった職場ですが、忙しくなったのだろうか?と不思議に思いましたが、特にそれ以上追求することなく、日々が過ぎていきました。
大きな変化が訪れたのは、そんな状況が続いたある日の週末の夜のことです。
その日は夜勤の仕事が公休日だったため、私は自室でパソコンに向かって調べ物をしていました。
すると、珍しく娘が「話があるんだけど、いいかな?」と言って部屋に入ってきました。
娘から改まって話があるなんて言われたのは初めてで、私は「これはいよいよ彼氏ができた報告!? それともいきなり結婚報告!?」と内心ドキドキしました。
しかし、娘が語ったのは、私の予想とはまったく違うものでした。
「お母さん、私、東京の会社に転職するから」。
いきなりの娘の転職宣言に、私は驚きました。
それも就職先の会社からはすでに内定をもらっていて、来月の初めから出社することになっているとのこと。
そのうえ、家からは通勤しきれないため、11月末には東京の隣接県のアパートに引っ越す予定になっているのだとか。
「ああ、なるほど、それで帰りが遅かったり、泊まり込みになったりしていたのか」と、妙に納得しました。
転職先の会社について尋ねてみると、「コンピューター関連の会社で、プログラマーとして就職する」と答えが返ってきて、またもビックリ。
娘のパソコンスキルがプログラマーとして就職できるほど高かったことに、心底驚きました。
確かに、家にいる時間はパソコンに向かって何やら作業をしていましたが、「何してるの?」と聞くと「ゲームだよ」と笑って答えていた娘。
実は、着々とパソコンスキルを磨いていたのでした。
そして、娘は宣言通り、12月の初めに我が家から引っ越していきました。
脳梗塞の夫の代わりに働きだした私を陰から支えてくれた、優しい長女。
その成長を喜ぶ半面、手元から旅立ってしまったことに寂しさがつのります。
空っぽになった娘の部屋を掃除しながら、少ししんみりとしてしまう今日この頃です。
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