森永卓郎さん「悲惨だった6年前の体の状態」。豊かな老後生活を送るためには健康が大前提

定期誌『毎日が発見』の森永卓郎さんの人気連載「人生を楽しむ経済学」。今回は、「健康を維持するために」についてお聞きしました。

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悲惨だった6年前の体の状態

豊かな老後生活を送るためには、健康であることが大前提になります。

私の体は、現在どこも悪いところがなく、何の治療も受けていないのですが、6年前までは、大変深刻な状態にありました。

2009年の暮れ、私が52歳のときでした。

ふくらはぎが、突然パンパンに腫れ上がってしまったのです。

深夜に病院に行って、診断を受けたところ、雑菌が入って化膿していると言われました。

免疫力が落ちていることを懸念した医師から、「一度、糖尿病の検査を受けたほうがいい」と強くすすめられたので、家の近くに開業したばかりの糖尿病専門クリニックで検査を受けることになりました。

検査の結果は悲惨なもので、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は11.4%でした。

HbA1cというのは、血中の糖化したヘモグロビンの濃度のことで、基準値が6.5%未満(※)、7%以上になると要治療、8%を超えると神経障害や腎障害などの合併症を起こす可能性があるとされています。

実際、当時は、いつものどが渇き、手足のしびれもありました。

しかも、眼底検査の結果、眼底出血がみつかり、私は、失明の危機に陥っていたのです。

院長からは、「ボクには森永さんが健康で60代を迎える姿をどうしても想像できない」とまで言われてしまいました。

本来なら、即刻入院の状態だったのですが、当時は仕事がとても忙しくて、投薬に加えてインシュリンの分泌を促すGLP-1受容体作動薬を注射する治療をしました。

症状の進行は、ある程度収まったのですが、病状は一進一退で、私のHbA1cは9%前後と、なかなか改善しませんでした。

そこに大きな変化が生じたのは、2015年のことでした。

TBSの「オールスター感謝祭」でライザップのCM出演権をかけたコンテストがあり、私が、視聴者投票で1位に選ばれたのです。

その時に交わしたCM出演契約は、その後6年間続いたのですが、最近ようやく終了したので、その時のことを書こうと思います。

※糖尿病の診断基準は、目的などによって複数の基準値があります。

森永卓郎さん「悲惨だった6年前の体の状態」。豊かな老後生活を送るためには健康が大前提 名称未設定-11.jpgトレーニングの効果は劇的でした。

トレーニングでHbA1cが正常値に

私の不健康は、すぐに発覚しました。

ライザップの社内では私の起用に反対する声もあったそうです。

トレーニング中に私に万が一のことがあったら、笑い話では済まないからです。

ただ、「一度決めたことはやる」というライザップの社長の鶴の一声で、実施が決まりました。

ただし、最初の1カ月半は、トレーニングではなく、徹底的な医療検査でした。

医療チームが、トレーニングをしても大丈夫だと判断できるまで、私の健康状態を詳細に調べたのです。

同時にトレーナーも、眼圧がかかりにくいトレーニングメニューを考えてくれました。

ライザップのダイエットプログラムは、基本的に週2回、50分間のジムでのトレーニングと徹底的な糖質制限という二本柱です。

私を担当してくれたトレーナーは、「褒めて伸ばす」タイプでした。

例えば、バーベルを上げる時も、私の息遣いや筋肉の震えを細かく観察していて、そろそろ限界に近付いたと判断すると、こう言うのです。

「森永さん、素晴らしい。はい、あと2回上げましょう」。

筋トレは、自分が感じる限界よりも、ほんの少し余分にやるのがコツだそうです。

限界を超えると筋肉の組織が壊れて筋肉痛になります。

その状態でタンパク質を摂取すると、タンパク質が筋肉を補修しにいくので、筋肉が太って、基礎代謝が上がるからです。

ただ、一人でトレーニングをしていると、限界を超えるのはとても難しいのです。

人間は、自分に甘いので、限界だと思ったら、そこでやめてしまうからです。

ライザップのもう一つの柱は、糖質カットの健康的な食事です。

ライザップでは、食事の写真を毎回スマホで撮って、トレーナーのところに送らないといけません。

そして、写真を送ると、どんどんアドバイスが返ってきます。

私のトレーナーは、糖質の低い食品を食べている分には、どんなに量を食べても、問題視しませんでした。

ただ、糖質の高い食品に関しては、次回から食べないようにアドバイスをくれました。

米飯、麺類、パン類、スイーツ、フルーツ、根菜類は基本的に禁止で、肉、魚、卵、豆腐、納豆、葉物野菜などが主食になったのです。

ライザップの効果は劇的でした。

トレーニングを始めて、2カ月半で、私の体重は20kg減り、ウエストも23cm減りました。

そして、何よりすごかったのが、HbA1cが5.8%と、完全に正常値に戻ってしまったことです。

それから6年間、私のHbA1cは正常値を維持し続けています。

この結果には、多くの医師が驚きの声を上げました。

もちろん、すべての人がそうなるわけではないのですが、私の場合、すい臓が壊れていなかったので、健康を取り戻せたのだそうです。

問題は、ライザップの契約と毎月の計量がなくなった今後の健康ですが、私は心配していません。

その理由は次回にお伝えします。

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森永卓郎(もりなが・たくろう)
1957年生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。東京大学卒業。日本専売公社、経済企画庁などを経て現職。50年間集めてきたコレクションを展示するB宝館が話題。近著に、『長生き地獄 資産尽き、狂ったマネープランへの処方箋』(角川新書)がある。

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『なぜ日本経済は後手に回るのか』

(森永 卓郎 森永 康平/KADOKAWA)

新型コロナウイルス感染症によって生じた日本経済の失速。その原因は長年続いている「官僚主義と東京中心主義」にあると、森永さんは分析します。では今後どうすれば感染拡大を抑え、経済的苦境を脱することができるのか――。豊富な統計やデータを基に導き出された、未来への提言が記された一冊です。

この記事は『毎日が発見』2022年2月号に掲載の情報です。

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