2021年の新刊から不朽の名著まで、「毎日が発見」連載陣ら11人が推薦する「年末年始に読みたい良書33選」。今回は経済アナリストで獨協大学経済学部教授の森永卓郎さんが薦める「これからの暮らしを考える本」3選をご紹介します。
【前回】角川武蔵野ミュージアム館長の松岡正剛さんが薦める年末年始に読みたい「知的好奇心を満たす本」3選
【最初から読む】医師、作家の鎌田 實さんが薦める「生き方を見つめなおせる本」3選
森永卓郎さんが薦める「これからの暮らしを考える本」
(1)『空き家幸福論 問題解決のカギは「 心」と「新しい経済」にあった』
藤木哲也/著 日経BP 1,760円(税込)
空き家の売買から生まれる幸せ
(2)2021年刊『東京を捨てる コロナ移住のリアル』
澤田晃宏/著 中公新書ラクレ 946円(税込)
(3)『住み開き 増補版 もう一つのコミュニティづくり』
アサダワタル/著 ちくま文庫 902円(税込)
おうち時間が増えたことで、住まいへの関心が高まっている。
(1)は、買い手のつかない田舎の不動産を個人間で取引する「家いちば」というサイトを創業した著者による幸福論だ。
空き家の購入理由は移住目的だけでなく、多拠点居住や倉庫代わり、リフォームを楽しむ、趣味のバイク置き場などさまざまだ。
だが、空き家を舞台に幸福なライフスタイルを築いている点は共通だ。
(2)は、コロナをきっかけに東京から淡路島に移住したルポライターの著者が、コロナ移住の実態を客観的に描いたものだ。
物書きのプロが書いたから読みやすく、移住のよいところも、悪いところも、きちんと書いている。
移住支援金や地域おこし協力隊、さらには農地売買の規制など、制度面のこともきちんと取材していて、移住ガイドブックとしての価値もある。
(3)は、著者の造語である「住み開き」を実践する37件の事例紹介だ。
住み開きとは、自宅の一部を開放し、そこに新たなコミュニティを作る活動だ。
活動の種類は、シェアハウス、シェアオフィス、セミナーハウス、ライブハウス、画廊、博物館、水族館など実にさまざま。
家は、生活の場だけでなく、生きがいを生み出すステージにもなるのだ。
取材・文/オフィス・エム(寳田真由美)