<この体験記を書いた人>
ペンネーム:おかあ
性別:女
年齢:46
プロフィール:5歳年下の夫と、中学生の息子と小学生の娘との4人で地方暮らしをしている、まだまだ子育て真っ最中の会社員です。
最近テレビで、企業から接待を受けていた元官僚の女性が「私は飲み会は断らない女」と言っていたのを見て、私が3年前まで働いていた会社のことを思い出しました。
そこは体育会系気質が強い、典型的な古い体質の会社だったのですが、そのためか変な裏ルールのようなものがありました。
それは「若手は飲み会は断らない。そして、食事には手をつけずにお酌をして回る」というものです。
そのルールを初めて知ったのは新入社員歓迎会の時でした。
歓迎会で乾杯、自己紹介と続き、いよいよ食事...と思った矢先に数年先輩の方々がビール瓶とグラスを持って立ち上がったのです。
何を始めるのかと思っていたら「ほら、あなたたちも早くついて来て!」と言われ、目の前のご馳走には一切手をつけず先輩方の後を追うことになりました。
先輩方が一番上座から順番にお酌をし、お返しに注がれた場合はそれを飲むを繰り返すので、私たちも同じように後に続きました。
お酌の列は延々と続き、いつになったら食事が出来るのかな? と思っている間に会はお開きとなりました。
歓迎会の時は会費を支払っていなかったのでまだ良かったのですが、その後も飲み会のたびに会費を支払っていても、同じことをしなければなりませんでした。
若手の頃はお金もないのに、お金を払って食事もせずに、お酌だけするのが苦痛でたまりませんでした。
もちろん私と同じように考える人もいて、何人かが飲み会を断ったり、お酌の途中で自席に戻り食事に手を付けたりしました。
しかしそのたびに直近の先輩が怒られるということを知り、みんな従わざるを得なくなっていきました。
「どうだ? 酌なんてせずにメシを食いたいだろう? だがな、こうやって一人ひとり酌して回って、いろんな話を聞かせてもらうことで、メシより大事な物を頂いているんだぞ」
お酌をしている私たちに、もっともらしいことを言う人もいましたが、酔っぱらいの説教から得る物がそんなにあるとも思えませんでした。
入社から年数が経つと、そろそろやらなくても良いかなという雰囲気を感じ始め、次第にしなくなります。
それでも、先輩がお酌に回っているのを見つけると慌てて食事の手を止めて追いかけることもありました。
こんな下らないルール廃止してやりたい! と思っていましたが、声をあげる勇気もないまま20年在籍し、お酌してもらう側になりました。
古株になった私が出来たことは、若手が食事を持ち帰れるようにテイクアウトをお店に頼んであげるくらいでした。
今なら完全なパワハラですね。
退職して3年経ちましたが、あのルールがなくなっていたらいいなぁと思います。
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