「少しだけど使って」コロナ禍の中、我が家に「ある届け物」をしに来てくれた義母の愛情

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:くあら
性別:女
年齢:53
プロフィール:子育てが終了したと思ったら自分の健康が心配な50代。

「少しだけど使って」コロナ禍の中、我が家に「ある届け物」をしに来てくれた義母の愛情 23.jpg

義母は70代後半です。高速道路を使って車で1時間以上かかるところに1人で住んでいます。

1年ほど前まで元気にバリバリと働いていましたが、75歳を過ぎてさすがに体力に不安を覚えたようで、退職しました。

それでも家でゆっくりすることはあまりなく、亡き義父から譲り受けた家庭菜園やご近所付き合いで毎日忙しく過ごしているようです。

コロナ以前は2〜3カ月に一度くらいは夫とランチがてら遊びに行ったり、盆と正月は家族で泊まりに行ったりしていました。

最近はなかなか行き来することができずにいましたが、電話ではしょっちゅう近況などを喋っていました。

数日前義母から「家庭菜園で野菜がたくさんできたので持って行くね」と電話がありました。

緊急事態宣言は終わっていましたが、なるべくステイホームと呼びかけられている時期なのにわざわざ......と、少し迷惑に思った私。

しかも夫のいない平日のことだったので、余計に面倒に思ってしまったのです。

でも、義母はこうと決めたらすぐに行動する人なので、止めても無駄だと了承しました。

お茶とお菓子くらいは出さないといけないかしら、それとも夕飯を食べて行くのかしらと思いを巡らせていましたが、到着した義母は意に反して「玄関先で野菜を渡したらすぐに帰るから」と言います。

ほっとしつつも、わざわざ車で来てくれたのにと戸惑っていると、義母は封筒を渡してきました。

「これ、コロナで仕事が減って困っていると思って。少しだけど使って」と封筒を渡されました。

「いえ、そんな、悪いんで......」と言う間もなく義母は車に乗り込みました。

「いいからいいから、またゆっくりランチでもできるようになったらいいわね〜、じゃまたね〜」

義母が飛ぶように去って行ってから封筒の中身を見ると、予想以上の金額が入っていました。

電話のたびに「元気? 仕事どう?」と気にかけてくれていた義母。

夫は会社員なのでなんとか大丈夫だけど、私はコロナで4月5月の仕事がゼロになってしまったと義母に愚痴っていました。

スーパーも特売を控えているせいか野菜も高いんだ、とも。

それを聞いて義母はなんとかしてあげようと飛んで来てくれたんだと思いました。

なのに少しでも迷惑に思ってしまったことがすごく恥ずかしくなりました。

常に自分のことより家族の心配ばかりをしている義母。

その日以降も手作りのマスクを何枚も何枚も作っては郵送してくれました。

コロナが収束したら、また家族で義母の家に遊びに行き、美味しいものでも食べようと思っています。

その時は是非ご馳走するから待っててね、と義母にお礼の手紙を書きました。

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