懐かしい「母の料理」を再現して胸がいっぱいに...。64歳になった今、思い出す「働き者だった母のこと」

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:大家ぽん子
性別:女
年齢:64
プロフィール:主婦です。1歳年上の夫と猫と暮らしています。

懐かしい「母の料理」を再現して胸がいっぱいに...。64歳になった今、思い出す「働き者だった母のこと」 17.jpg

64歳の主婦です。

地方紙の懸賞に「思い出の味を教えてください」という募集があり、ふと思いました。

「そういえば、うちの子どもたちは何が好きだったのかな?」

さっそく娘に「母の思い出の味」を聞いてみました。

すると意外なものが挙がりました。

「フライの時、必ずドーナツつけてくれたでしょ? あれ好きだったんだよね」

それは、名付けて「ころもドーナツ」。

フライを作る時に余った衣のパン粉、小麦粉、卵を全部混ぜ、少しの重曹と砂糖を入れて丸めて揚げただけのものです。

手の込んだ料理でなく、「余りもの処分」メニューでした。

思い出は手間に比例しないものなのね~と、面白いような、ちょっと残念なような。

そういえば...と私の母の思い出の味を考えてみると、大好きだったのは「野菜の薄焼き」。

小麦粉と水を混ぜ、みそと砂糖を入れ甘しょっぱくした生地に、畑でとれた野菜をまぜて焼いたもので、母の故郷の郷土料理だったそうです。

これが大好物で、出てくるといつも2枚はおかわりしていました。

具は季節によって変わるのですが、ご飯が入っていたり、時には生地だけ薄く焼いたものも出てきました。

今思えばこれも余りものですね。

中途半端に余ったおかずやご飯を、おやつにリメイクしてくれていたのだと思います。

懐かしくなり、久しぶりに作ってみました。

小麦粉を水で溶き、細かく切ったニラと、みそと、多めの砂糖を入れました。

一枚目はあれ? こんなにパサパサだったかしら? と思う出来栄え。

記憶の中の「野菜の薄焼き」はふちが香ばしく焼けていました。

少し油を増やして焼いてみると、「そうそう! これ!」甘じょっぱくてしっとり。

ついつい食べ過ぎてしまう味です。

懐かしい味に嬉しくなるのと同時に、若い頃の母の姿を思い出しました。

私の実家は、その頃地元で増えてきていた「兼業農家」でした。

父は会社勤めの週末農家、なので母は広くないとはいえ畑仕事をほとんど一手に引き受けていました。

出荷の時期になると母は日が昇る頃から畑に出て準備をし、朝食を作り私たちと父を学校に送り出し、出荷をし、また畑仕事。

子供と夫が帰ればお世話をし、残った作業を片付け...と本当に忙しく働いていました。

小学校から帰ってきた時、玄関先で地下足袋を脱ぐ気力もなく座り込んでいた母の姿を見て、子供心にショックを受けた事を今もふと思い出します。

そんな忙しい日々の中でも、母はおやつを手作りして食べさせてくれていたのです。

「野菜の薄焼き」の甘じょっぱさに、母は本当に働き者だったなあ......と胸がいっぱいになりました。

みなさんの思い出の味はなんですか?

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